徒然日記
2009年6月分

 日記と言うより、自分の行動記録からの抜粋と日々の雑感です。

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先月の日記          来月の日記


6/30(火)雨 外来 常務会 医局会議 友遠方より来たる
2:00起床,ドック判定総括x1他。5:10病院着。6:30回診他。8:00救急カンファ、8:45-13:20外来。 14:45-16:00法人常務会、17:00県医工プロジェクト・スタッフ来訪。17:30-18:150医局カンファ。学会発表報告。20:45友人を駅に迎え歓談。23:00帰宅。23:45就寝。

新秋田県知事の基本的医療政策をお聞きしたい
 衆議院解散を目前にして永田町も、各政党も浮き足立っている。与党内も解散前に内閣改造だ、いやすべきでないなど、方向性が定まらず昏迷状態である。
 加えて、ここ1-2週間特に大阪府知事や宮崎県知事など、何人かの知事のまとまった動きも表立ってきた。彼らの発言はいろんな受け取り方があるが、時に軽く、時に意味深である。

 地元の秋田県では4月20に佐竹新知事が誕生した。人口減、経済低迷の中での県政の舵取りが注目される。
 私ども医療関係者にとって大きな関心事はやはり新知事の基本的医療政策である。私もこの点について関心を持って注目していたが、選挙期間にも、所信表明においても具体的な方策が示されたとは言い難い。是非、そろそろ基本的医療政策についての提示が欲しいところである。

 本県は高齢化率が全国有数であり、いわゆる三大生活習慣病による死亡が全体の約6割を占め、がんと脳血管疾患の死亡率は全国で最も高い。加えて、秋田県の医療を取り巻く環境が大きく悪化しつつある。
 医療提供体制の面では、県内各地域の公的病院は深刻な医師不足を背景に、機能低下し、その運営は困窮を深めている。このことはマスコミ等を通じて徐々に知られつつあるが、県民の健康維持を下支えしている800余の私的医療機関にとっても深刻な問題である。

 このような状況の中、県も医療保険福祉計画に基づき数々の施策を行って来たが、事実上、県民が受けられる医療の格差は開大している。
 地域医療が迎えている苦境の背景には政府の医療費削減政策、医師の絶対数の不足など、全国的共通の問題点があるが、それとは別に秋田県が長年とってきた地域医療を政策が果たして県の地域医療にとってどうであったのか検証が必要になる。それには時間が必要である。

 県は県内9カ所の厚生連病院を2次医療圏の中核的医療機関と位置づけ、施設整備費や運営費を補助してきた。本年2月には厚生連の決算が3年連続で赤字となる見通しになったことを受け、一般会計補正予算で約13.5億円を緊急支援した。
 新知事は6月の定例県議会において、JA秋田厚生連に関連する質問にたいし「経営改善を実現するための業務執行体制の整備に向け、積極的にかかわっていく」とし、「厚生連、県は独立した組織、機関だが、厚生連の経営に対しより主体的に関わりたい。金を出すだけが支援ではない。厚生連が経営改善を行うに当たり、体制整備を構築するための枠組みに県が入り込むことも支援である」と述べた(2009/06/18 魁新聞)とされるが、早急に対応しなければ事態は好転せず泥沼化してしまう。

 来月下旬に県健康福祉部と県医師会で医療行政懇談会が開催されるが、この席では是非新知事の基本的医療政策について具体的に提示いただきたいものである。


6/29(月)晴れ 管理会議 安全管理者と打ち合わせ 療養病棟判定会議 長副会議 
2:30起床、ドック判定総括x1。文献チェック。5:15バイク病院着.事務処理、回診他。7:45-8:25管理会議。 10:00-10:40医療安全管理者と打ち合わせ。新イ疑い?患者診察。患者関連書類処理。16:00-16:45療養病棟判定会議。 17:00-18:45長副会議。21:10帰宅、夕食、21:50就眠。

「じゃんけんで 負けて蛍に生まれたの」 池田 澄子(1)良い句に共感
 NHKラジオ深夜便、4:55am頃「本日の一句」のコーナーがある。先日、20日頃だったと思う。ここで読まれた句である。連日この番組は録音しているのでそう集中して聞くことはないが、この日この句が読まれたときにはスッと頭に入ってきた。

 私は作者の池田澄子氏についても、この句も初めて聞いた。実際には私が無知で知らなかっただけで、結構有名で教科書にも載っているらしい。アナウンサーは実際何に生まれてくるか、分からないものですね・・と解説的に付け加えていた、そんなものだろうか。

 私には俳句などよく分からないので何も言えないが、一見幼稚に見える句であるが、名句だと思う。主人公である蛍は蛍に生まれたことを全然悲しんではいない、運命を完璧に受け入れている。ここが良い。単純な言葉の並びだから何とでも解釈できる。おそらく百人百様の感じ方があるだろう。私には解説は不要であった。共感し、私は感じ入った。

 当たり前のことであるが、人も、あらゆる生き物も、それぞれ、与えられた環境の中で、与えられた運命の中で生きていかざるえない。何に生まれるか、生まれる日も、どんな親のもとなのか、男児なのか女児なのか、勿論、この国に生まれたことも、自分の意思とは全くかかわりがない。

 自分以外のことは越権だからあえて言わないが、自分のこととして言えば、もうそのように運命づけられているという様に考え納得するしかない。
 その上で、どのように生きるかは、人それぞれによるだろう。ただ、願わくは、与えられた条件のなかで、最善と思われる生き方をしたいものであり、させたいものである。それが人として天命を果たすことであり、自らの願いや意思を実現することにも通じていく。

 何で今、自分がここにいてこんな事を考えてキーボードを叩いているのか、考えたって解決しない難題である。それに対して池田氏は見事な答えを私に与えてくれた。
 「じゃんけんで 負けて私に生まれたの」・・である。


6/28(日)快晴  病棟拘束 バイク車検仕上がり
2:30起床、ドック判定総括x1。随想読み、徒然など。新聞チェック。6:30病院、回診、8:30救急カンファ。11:00帰宅、ドックなど 処理。車検仕上がったバイクにて病院へ。患者関連書類。18:00帰宅、夕食。我が家の猫どもと子犬と初対面。20:20就眠。 

書評「日本人の知らない日本語」 蛇蔵&海野凪子著 メディアファクトリー
 上記の本が私のベット脇にあった。家族か誰か置いていったのだろう。

 最近は漢字にしろ、四文字熟語関連書籍、口に出して読みたい日本語、などなど、日本語に関するいろいろな書籍が出版されている。私は文章力や日本語の使い方に些かの劣等感があるので興味ないわけではない。難しい本だろうか、と思ったが、なんとマンガであった。

 日本語学校の日本人教師が外国人に日本語を教えていく日々の中で繰り返される奇問・珍問を具に話題を展開していく設定である。こんなこと疑問に思うのか、という発見がいろいろある。これが日本人間の対話なら絶対発想しないだろうと思われる話題が次々と展開されていく。

 第一に絵が単純で良い。登場人物の表情も良い。随所に出てくるジョークも良い。「人間を数える単位は?」「匹です」「何で?」「日本語辞書に男一匹という表現がありました・・」。このあたりのやりとりが実に軽妙である。

 スウェーデンからの留学生の弁、「日本の武士は魂があって一般人を切ったりしない から安全だと周囲を説得して留学してきました。来てみたら馬でなく車が走っていたのでびっくりしました・・」、とある。このあたりは私が子供の頃には当た り前の話題であったが、最近の本にも取り上げられるなんてホントかいな、と思ってしまう。

 文化の違いも教えてくれる。テストでが多いと米仏中ではがっくりするのだそうだ。その国では正解にバツ印をつけては間違いの場所の指摘なのだそうだ。この辺のことは驚きであった。

 まだまだ紹介したい話題も多く、実に面白かった。挙げても著者の真意は伝わらない。

 日本語の乱れが嘆かわしいという意見も多いが、この本によると何時の世でも同様の感想はあったようだ。エジプトのピラミッドにもあるとされる「今時の若者は・・・」というのと似ている。
 ただ、この本の題名は正しいのか?疑問である。「日本人の知らない日本語」でなく「日本人が知らない日本語」でないのだろうか。


6/27(土)快晴  ドック結果説明 病棟拘束 県医師会第136回定例代議員会+情報交換会 新型インフ2例目
2:10起床、5:05病院着.事務処理、6:30回診他。8:30救急カンファ。9:00ドック結果説明。その後は総括・書類と格闘。代議員会での事業報告予習。15:30-18:15第136回県医師会臨時代議員会+懇親会。中座帰宅。20:30就眠。

ブタインフ(21)米国のブタインフ感染は100万人の予想
 日本国内の報告数は6月26日18時現在1.037人、秋田でも本日二人目の感染者が診断された。
 WHO発表では、26日現在世界の報告数は59.814人で死者は263人となっている。米国の感染者数は約28.000人で世界の感染者の半数を占めている。うち入院例3.065人、127人の死者が出ている。

 入院例には基礎疾患があり、3人に1人は喘息持ち、16%は糖尿病であった。12%は免疫システムに問題があり、11%には慢性心疾患があった、とされている。
 特に若い世代がH1N1に感染しやすく、大人が感染するとより危険であることが示されている。感染者の平均年齢は12歳、入院患者の平均年齢は20歳。死亡者の平均年齢は37歳である。65歳以上の高齢者はより危険性が高く、感染高齢者の2%以上が亡くなっている。

 一方、米国保健当局(CDC)の25日の発表では、米国のH1N1感染者は 100万人に上っていて、都市部では6%以上が感染している、と付け加えている。この数は保健当局の調査に基づいた数学的モデルからはじき出された数値 で、豚インフを注意深く観察していた専門家たちには想定内のことだった。
 ちなみに、米国の季節性インフの感染者は毎年1.500万人から6.000万人である。

こ れほど蔓延している背景は、わが国のような蔓延防止策を殆どとっておらず、重症患者対策を中心にしているためと思われる。わが国ではマスク姿が当たり前に なっているが、帰国者、感染者の何人かは米国では誰も着用しておらず、自ら病人であることを宣言しているようで心苦しくかつ恥ずかしく、とても出来なかっ たと語っている。

 今回、厚労省の指針ではわが国でも対策をレベルダウンさせた。だから、これからわが国でも急速に感染者が広がる可能性がある。
 厚労省では全ての医療機関が、発熱者との導線を分けるなどで院内感染を防ぎながら診療するよう指針を出しているが、現実には困難を伴う。入院患者を持っ ている病院ではいかにして入院患者を感染から守かが重要なポイントとなるが、病棟への出入りの制限等は困難であることから、感染対策はきわめて困難である。


6/26(金)快晴 M.ジャクソン死去 ドック診察 法人理事会
2:30起床,ドック総括、徒然など。5:20病院着、6:30回診他、7:00NHK-TV M.ジャクソン死去を報じた。8:00救急カンファ。患者書類処理、入院患者対応など中心に。13:45ドック診察。17:30-19:30法人理事会、 21:00帰宅、21:30就寝。

M.ジャクソン(50)死去  実と虚の間の乖離
 今朝、7:00amNHK-TV はM.ジャクソン氏の死去を報じた。享年50歳、死因は心不全とのこと、わずか2時間ほど前の死亡だったらしい。

 私は彼がアメリカポップス界のスーパースターであった事ぐらいは知っているが、曲は一度も聴いていないし映像上でも見たことがない。

 20数年前、ある職員が宴会の席で物まねとして細身のGパン姿で歌を歌い、舞台の上を不思議な足取りで左右に動き回わりやんやの喝采を浴びたが、それが M.ジャクソンの曲であり、ジャクソンウオーク?と言われるものであると初めて知った。次に彼を知ったのは5-6年前に性的児童虐待の疑いで逮捕され、連日新聞紙上をにぎわした時であった。その後のことはフォローしていないが確か無罪判決が出た様な気がする。3回目のニュースは今朝の死去のニュースである。詳細は分からないが、ロス市内の自宅で心臓発作を生じ、呼吸停止状態でUCLAメディカルセンターに搬送された、とのことであった。

 ラジオ番組の紹介によると1958年生まれ、1966年に兄弟で結成したボーカルグループでリードボーカルを担当、不世出の天才児との評価であったという。1971年ソロデビューし、アルバム「スリラー」は全世界で1億枚も売れたという。1990年代以降は奇行も目立つようになり性的児童虐待が疑われたりした、とのことである。

 若くもないある看護師は、彼の死はジョンレノン、ダイアナ妃の死と同等、あるいはそれ以上の大事件なのだと言っていた。へー、そんなものかと改めて驚いた。
 私にとってはプレスリーやモンローと同等の、どちらかと言えば非業の死のように思える。これから明らかになっていくだろうが、M.ジャクソン氏も持病持ちだったのだろうか、あるいはドラッグ?等が関連していないのだろうか。

 如何に世界的人気があっても、舞台の陰の時間、生身の人間一人としてとらえればそれほどの大差があるはずもないから、その実と虚の間のギャップの大きさが葛藤の因になっていて、ドラッグや奇行因になっているのではないだろうか。私は余り知識がないが、私の頭に浮かんでくる有名芸能人の最期はどちらかと言えば恵まれない状況で迎えている様に思われてならない。

 生身の、人としての進化は世代を重ねながら少しずつ変わっていく。それがつい数世代前までの姿であった。ところが今はどうだろうか。社会、文化、文明は人そのものが変わっていないのに目まぐるしくすごい早さで変わっている。人は対応能力も広いといえども1世代の中でのこれだけの変化には、ついて行けないものがある。高齢者は当惑しているし、私も当惑している。世代別に多様な価値観がありすぎて若者も子供達も当惑している。

 社会不安の因は経済とか生活苦とかいった切実なものも勿論あるだろうが、それ以上に実と虚のギャップの狭間に由来している様な気がしてならない。
 M.ジャクソン氏の死を機に、実と虚のギャップについて改めて感じてしまった。


6/25(木)晴れ 外来 ドック結果説明 県健康推進課スタッフ来訪 療養病棟診療部会 秋田市医師会総会 
2:10起床,ドック判定総括など。5:10病院着。6:15回診他。 8:10ドック診察、8:00救急カンファ、8:45-14:00外来+ドック結果説明。14:30県健康推進課スタッフ来訪、15:00秋田矢留ライオ ンズクラブ会長来訪。18:50から秋田市医師会総会に出席、新イに関して要望した。21:00帰宅、夕食、21:45就寝。

自分を知る難しさ(3)自分と同じ個体は恐らくは存在しない
 自分、自分と言って自己の独自性を強調するからには、まず自分が他と違う存在であるのだと言うことをはっきりしなければならない。

 親子であれ、兄弟であれ、互いに個体であり離れているから、あえて他人とまでは 言わなくても良いのだが、自分とは別人と見なすのは簡単だ。深く考えるまでもなくこれは真実なのだが、例えば一卵性双生児、あるいは将来出てくるであろう クローン人間などの場合の個別性は一体どうなのだ?と思ってしまう。

 2004年2月私はある双子の一人である看護師の結婚式に招かれて祝辞を述べ た。「・・新婦はいつも受け答えがとても明るく礼儀正しいのです。彼女自身が何か特別な資質を持っているのでは?と感じておりましたが、先日双子のお一人 であることを聞きました。私は新婦の資質は自分と遺伝子的に全く同じもう一人を、あたかも鏡を見るが如くに見続けながら育った結果、すなわち、自分を見つ め直す機会が誰よりも多かったと言うことであり、そのことを通じて自分をより客観的に見ることが出来たからなのではないか?と納得できました・・・」と述 べたことがある。その際は、一卵性双生児は基本的に同じ、と言う前提でグローバルなとらえ方の範囲で話した。

 その前後、多少勉強し一卵性双生児でも、60兆個もある全身の細胞がすべて同じ DNA配列を持っているはずがない、との考えを持つに至った。一卵性双胎と言っても、少数の細胞である間は遺伝子的には多分同じであろうが、分裂を繰り返 して個体を作って行くとき、分裂のたびにDNAの複製ミスが一定数ランダムに生じる、と考えられているからである。

 だから、この確率論を持ち込めば、例え一卵性と言ってもそれぞれお互いに少しず つDNA配列が異なっている可能性が高い、と言うことになる。そして、この複製ミスはランダムに一定頻度で生じているはずだから、一卵性双生児相互でも二 人の体細胞全体を比較するとDNAの塩基配列は超厳密な意味では異なっている。

 これはクローン人間にしても同じのはずである。


6/24(水)快晴 外来 ドック診察 県健康推進課スタッフ来訪 県総合保険事業団理事会 県医師会委員会
2:20起床,ドック判定・総括x1他いつもの如く。5:20病院着、6:10回診他、重症患者対応。8:00救急カンファ。 8:45-13:00外来。ドック診察。13:30A Bank来訪。14:00県健康推進課スタッフ来訪、打ち合わせ。16:00-15:15 県総合保健事業団理事会。18:00-19:45県医師会委員会。20:50帰宅、21:15就寝。

携帯電話をiPhone3Gに替えた(3)基本ソフトをVer3.0にした
 昨年暮れに携帯をiPhone3Gに替えたが、それまで用いて来た数機種と異なりとても使い勝手が良い。特に電話機能が簡単で、日本語や数字をパソコンと同じキーボード感覚で入力できることが最大の理由である。私は親指のプチプチ入力はやる気が全くしない。

 携帯の所持歴は長いが、あまり利用してこなかったから自分では評価できないが、iPhoneは革新的電話機能、ワイドスクリーンiPod、インターネットデバイスと、の3つのの集合体というのが特徴なのだそうだ。確かにこれらは使い勝手は悪くない。

 iPod機能が丸ごと内蔵されていて、音楽CD80枚ほどのデータを入れてあるが、私はこの機能はあまり用いていない。この用途に関しては2ヶのiPod shaffleの方が便利だからである。

 購入して半年たった。頻用とは言えないが、電話機能、メール機構、カメラ、メモ帳機能、スケジュール、ボイスメモを始めとして、時折いろんなことに利用し始めている。インターネットに簡単にアクセス出来るし、自分のMacと簡単に同期させることが出来るのも便利である。それでも私はiPhoneの機能の 1割ほどしか用いていないことになるだろう。
 
 Apple社は先般、よりデータ処理機能を進化させたiPhone 3G Sと言う新機種を発売した。基本ソフトもVer2.0から3.0に進化させた。いろいろ変わったようである。嬉しいことに、この基本ソフトは旧式となった私のiPhoneにも利用できるという。一昨日夜おそるおそるバージョンアップを試みた。初体験なので不安もあったが1時間ほどで何とか無事終了し、私の iPhoneもVer3.0に進化し、機能が最新型と同じになった。
 
 私にとって最も便利になったのはキーボードで、従来のミニ・キーボードはどうしてもミスタッチが多かったが今回からiPhoneを横向きにするとより大きなキーボードが使えるから入力の効率が大きく向上した。

 私のパソコンは全部Macである。現在6機種が現役でいろいろ活躍しているが、古いのは10年以上も前の製品、新しい機種でももう4年になる。インテル製CPU搭載機はまだ用いていない。いつも次男からのお下がりで、一般的に言えば時代遅れの機種である。動作ものろい。それでも私はほぼ満足している。1 機種はまだOS9.1であるが、ほかはすべてOS-Xにしている。
 このようにMacの場合、古い機種でもソフトをバージョンアップしながら長く使えるので私の感覚に合っていて、この点でも満足している。

 このコンセプトがiPhoneにも生かされているのが嬉しい。iPhoneは勉強すればするほど進化していく。だから、今後が楽しみである。


6/23(火)雨→晴れ 外来 法人常務会 全職員学習会「病院新築計画の基本的な考え方」
2:00起床,ドック判定・総括x1、他.5:15病院着、6:20回診他。8:00救急カンファ。8:45-13:45外来、14:45-16:00法人常務会。18:00-19:20全職員学習会「病院新築計画の基本的な考え方」。21:00帰宅、21:30就寝。

自分を知る難しさ(2)健康面では自己判断は危ない
 ことわざの「ヒトの一寸、我が一尺」は他人の問題点は小さいことも見逃さないが、自分のことには気がつかない、と言うことを指している。

 ところで私どもは自分のことをどれだけ知っているのだろうか。
 「自分のことは自分が一番よく知っている」とも言えるし、「自らのことを自分が一番知らない」ともいえる。例えば、嘘をついていることや、隠し事をしていることなどは自分しか知らない、と言うことになる。しかし、陰で自分について囁かれている評価や中傷などは、自分だけが知らない、という可能性がある。自分の才能や能力などは、自分で思っているのと、周囲が思っていることとの間には通常大きな乖離がある。

 患者の中には今でも、自分の健康のことは自分が一番知っている、と大見得を切るケースがあり、嫌々受けさせられた初ドックや外来の初診で病気の終末期、人生の終末期にさしかかっていることが判明することも後を絶たない。病気によっては自覚的に異常や不健康が分かるときには、もう手遅れ状態の兆候であることが少なくない。

 現在では自分の健康状態は医師の判断や検査結果に依らなければ客観的には判断できない、と言うのが正しい考え方と言うべきで、ドックとか職場検診の受診率結構高い。一方、住民検診、ガン検診などは受診率がとても低く、社会の健康、個人の健康管理上も問題である。是非、検診は受けてほしいものである。

 一方、性格面、精神面、欲望、感性、思考などのメンタルな部分は自分が一番知っている、と大部分の人は思いこんでいる様であるが、21世紀の視点はそれに対してですら異論を唱えている。

 自分を、自分が・・と言うからには自分がほかと違う存在でなければならない。互いに離れているから自分と自分以外、と考えるのは簡単だし、真実なのだが、ちょっと待てよホントかな?例えば一卵性双生児などの場合のアイデンティティは一体どうなのだ?と思ってしまう。

 それはともかく、現実的には思い込みや自己過信に気づかない人は、個としては勝手な存在として良いのであるが、社会的に見て要注意人物であることは確かである。


6/22(月)雨 管理会議 外来 療養判定会議 長副会議 
2:30起床,人間ドック総括など。5:20病院着。回診,書類処理。7:45-8:25管理会議、8:45-14:00外来、混雑。16:00-16:30療養病棟判定会議。17:00-19:50長副会議。21:00帰宅,夕食、21:45就眠。

ブタインフ(20)国の対策レベルダウンは対策なしに等しいのでは??
 国は6月19日H1N1対策をレベルダウンさせて、原則として全医療機関で新型患者を診察し、軽症者は自宅療養とするなど、対策の運用指針の改定案を固めた。     

 厚労省の原文を秋田医報様に要約してみるが、これでは対策を採らないのに等しい、蔓延に対して無防備状態である。一方、医療機関には意味のない努力を強いているのではないかなどと、実際の医療をあずかっている立場からはなかなか納得し難いところもある。
 
 改訂指針ではサーベイランスは個々の患者発生でなく、大幅な増加の端緒となり得る例や、全国的な傾向を探知する方向に変えていくとしている。
 医療体制は感染症指定病院や協力病院中心の対応でなく診療所を含む全医療機関に広げる方向となっている。その際、発熱患者と一般患者との区分けや院内感染の予防についての配慮を求めている。

 この改訂では、検疫、封じ込め対策、サーベイランスの変更から感染を積極的に抑制するという方向は消えている。だから、今後国内の感染者はほぼ野放し状態になるからどんどんと増えていくであろう。

 さらに、患者を全医療機関で診療するとなると発症前から感染力を持つインフルエンザの場合、実効のある院内感染対策を採ることはきわめて困難と思われ、逆に医療機関が感染蔓延の源に、特に虚弱な基礎疾患を有する方々への感染伝播の温床となる可能性が高くなる。だから、医療機関として如何に対応していくか、今後検討を要する

 基礎疾患を有する医療従事者がウイルスに暴露した場合には、抗ウイルス薬の予防投与を行い、その上で、感染の可能性が高くない場合には職務の継続を可としている。この点は明確で良い。厚労省の言う基礎疾患を有する者等とは以下を示す:妊婦、幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病等)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており治療経過や管理の状況等を勘案して医師により重症化へのリスクが高いと判断される者等。

 検疫に関しては、既に世界的まん延状況にあるとの認識の下、検疫の方針を入国者全員への十分な注意喚起と国内対策の変更に応じた運用へ転換し、全入国者に対して検疫ブース前で呼びかけを行うだけだという。検疫で判明した有症者は、原則、新イPCR検査を行わず、マスク着用や公共交通機関を使わない様指導して自宅療養させるとのことである。これでは入国者は野放し状態となる。厚労省は蔓延抑制は諦めたらしい。

 ちなみに、日本国内の報告数は6月22日 18時現在838人、世界の報告数(WHO発表月17日 6時現在)は44.287人で死者は180人となっている。


6/21(日)早朝雨のち快晴 病棟拘束 久々若干の開放感
2:30起床、疲れと酒のためか爆睡した。ドック判定、新聞チェックほか。7:00病院、回診ほか。8:30救急カンファ。10:30帰宅、業務若干。以 降若干のんびり過ごす。購入したものの一度も開くことがなかった雑誌「音楽の友」を半年分まとめて目を通した。知らないでいるうちに音楽界も随分様変わり している。昨年末以降、本日初めて楽器取り出し若干練習した。離秋する長女送り16:00病院に。退院総括3件その他処理。20:00帰宅、夕食、 21:00就眠。

ことわざ「ヒトの一寸、我が一尺」 これを逆手にとればいい
 民話とか童謡もなかなか良いが、昔からのことわざにも事のポイントを鋭く突いているのが多くてなかなか興味深い。

 「ヒトの一寸、我が一尺」は他人の欠点や問題点は小さなことも見逃さないが、自分のこととなると大きな欠点にも気がつかない、と言うことを指しているのだという。
 物の見方や考え方の評価には客観的な尺度もあるのだろうが、最終的にはどうしても自分中心で、自分の尺度で他人を判断する。しかも、その尺度を形成する ときに、誰もが自分の顔や背中が見えないという自分に対する無知に加えて、自信や慢心、プライドが自己評価を知らず知らずに大きくしてしまう。だから、自 分に対する尺度は甘くなる。年齢を重ね、社会的評価や地位が上がってくれば来るほどその傾向は強まっていく。

 一方、他人のことは一面的にしかとらえる事が出来ないし、どうしても相手に対しての好き嫌いの感情が入ってしまうから、評価は他人に対して厳しくなることが一般的である。

 他人を批判・批評することは好みでないがそんなに難しいことではない。しかし、私はその時、同時にその人の持っている良い面、美点、評価すべき点を最低 3つ挙げてから考えるようにしている。美点を上げられないと言うことは相手を十分知っていないことでもある。だから、その様な方を安易には批判すべきでは ない、と自身に言い聞かせている。ただし、政治家とか社会的に大きい影響力を持つ方の場合は、ちょっと別であるが、それでもその様に考えたいとは思ってい る。

 かつて、どなたの言葉であるか失念したが、「自分より臨床力が劣っていると感じたらその医師の実力は自分と同等と考えよ。自分と同レベルと感じたら自分 より相当優れていると考えよ。自分より優れていると感じたら実は、とてつもなく凄い医師なのだ」と言う言葉を知り、深く感じ入ったことがある。年を経る毎 に全くその通りだと私は思っている。

  ことわざは同じようなのがたくさんある。
 「ヒトの一寸、我が一尺」に近いものとして「人の七難は見えれど自己の十難は見えず」、「人の針ほど我が棒ほど」などがある。一方では、「隣の芝生はよく見える」など、逆の意味の言葉やことわざも必ず見つかるから面白い。
 それだけ人の立場、感情、尺度など一面的でなく多様だと言うことである。


6/20(土)快晴 病棟拘束 友の会総会基調講演+総会+懇親会
2:00起床,ドック判定・総括x1、院内業務等。5:20病院着、回診他。8:30救急カンファ。講演準備、12:00第45回中通病院友の会総会会場へ。12:30-13:50基調講演 。14:00総会+情報交換会。16:30病院。18:30帰宅。19:10就寝。

113年間生きて、2年間世界最長齢であった方が死去された 
 1895年宮崎県都城市生まれで、ギネスブックで113歳で男性長寿世界一に認定されていた田鍋氏が19日自宅で死去したとのことである。2006年6 月に鹿児島市の徳田氏が111歳で死去したあと自動的に日本最高齢男性になった。次いで07年6月に米自治領プエルトリコの115歳男性が死去したことで世界最高齢男性にも認定されていた。

 田鍋氏が19日死去したことに伴い、京都府の木村氏が112歳で国内の男性最高齢になった。木村氏は足腰が弱っており、外出の機会はあまりないが、毎日規則正しく生活している、とのことである。

 なかなか大変なニュースである。110年も生きなければ記録保持者になれないとは、大変な世界であるが、世界一の超寿命国である日本の状況をよく示している。亡くなられた田鍋氏も天寿であろうし、自宅からだと言うので、おそらくは眠るが如くに旅立たれたのだろうと思う。死亡のお知らせであるが、何となく嬉しいニュースでもある。

 厚労省によると、国内最高齢は沖縄県の女性で現在114歳だとのことで、国内の100歳以上の高齢者、これを百寿者と言うらしいが、2007年の時点で3万人以上で、女性は27,682人で85.7%を占めで、毎年3-4.000人増えているとのことであった。

 百寿者など望んで出来ることではないし、自分としては望みたくもないが、喫煙、肥満、運動不足、糖尿病、高血圧を改善すれば、54%の確率で90歳まで生き続けることが出来、一方、これらの習慣を改善できなかった人は4%の確率だった、という研究結果もあるという。だから、長生きしたい方はまず生活習慣病を防ぐ習慣を身につけることが重要ということになる。後は運でないだろうか。

 ところで、百寿者の方々は一体どのような暮らしぶりなのであろうか。興味が持たれるところである。どなたかの川柳に「寝たきりを増やして今年も世界一」というのがあったが、これでは意味がない。実際にはどんなものだろうか。

 私は高齢の方をお世話する病棟を受け持っているが100寿者の方はここ数年の間にお一人しかいない。
 日本一あるいは世界一長命とされる方々は一体自分がそのような記録保持者であることを認識して喜んでおられる状況なのだろうか?果たして、本人そっちのけで周辺だけが騒いでいるのではなかろうか。ちょっと心配になる。


6/19(金)晴 患者家族面談 岩手県医療局医師支援室員来訪 NHK収録 ドック診察
2:30起床,ドック判定・総括x1、徒然など.5:10病院着、6:30回診他、書類と格闘。11:00患者家族面談+入院患者対応、 13:00岩手県医療局医師支援室員来訪、14:00人間ドック診察、15:00-15:30NHK収録。書類処理他。20:10帰宅、長女帰省、夕食、 21:00就眠.

医師不足(28)老医の私まで勧誘された 岩手県医療局医師支援推進室員来訪
 一月ほど前に岩手県庁の関係者からアポイントを求められ本日にセットしていた。県庁には私の宮古病院時代の年金関係の問い合わせを何度かしていたのでその関係かとも思ったが、実際に来訪されたのは岩手県医療局の医師支援室のスタッフお二人で、来訪目的は私に対する県立病院群への就職勧誘であった。

 昨日は酒田市に行き、本日は秋田に来たのだという。
 定年間際の老医師である私を勧誘しても実現性は殆どないだろうし、実際にはろくに役にも立たないだろう。まさか、いくら何でも、私との面談のためだけにわざわざお出でになったのではないだろう。岩手県出身者の何人かを訪問する予定になっているのかもしれないが、恐縮して確認するのを忘れてしまった。

 私は岩手生まれであり、2年間岩手県医療局の職員でもあった。したがって、岩手県の医療事情にも無関心ではいられない。それに、私が岩手の医療に何らかの形で参加する可能性も、限りなくゼロに近いがゼロではない。だから、訪問を受けて若干ながら嬉しくなった。

 岩手県医療局は最近、病院再編で岐路に立っている。岩手県医療局は22病院、5地域医療センターを運営している。総病床数5.551床、県内の一般病床の25.6%、一般+療養病床では34%を占め、県立病院群としては全国最大の規模である。今は巨大な組織をかかえて県は運営に苦慮している。

 岩手の特殊性は勿論あるのだが、運営困難になった理由は深刻な医師不足もあった。人口10万人あたりの岩手の医師174人は全国平均より27人少ない。秋田県よりも少ない。少ない医師が広い県内に分散しているから、一人ひとりの負担は重くなっている。2006年12月現在の1平方キロあたりの医師数は、全国平均0.74人、東京が13.6人、秋田0.2人、岩手は0.17、北海道は0.15と秋田県よりも医師の状態は厳しい。2003年に県立病院医師は 535人であったが2007年には460人に減少したことも運営困難の元になっている(岩手県立病院等の新しい経営計画平成21年2月版より)。地元の大学が私立であることも県とのタイアップが困難な理由になっていて、医師確保がうまくいっていない。

 提供された医療局のパンフレットを見ると懐かしい病院名が並んでいるが、知らない病院名も散見される。それは吸収合併によって名称が変わったためと、数病院が県立診療所に縮小されたからである。
 県の医師の処遇も説明された。給与、勤務時間、研修助成、厚生福利、女性医師の待遇、子育て支援も随分力を入れていることが分かる。今年度から勤務医の業務改善のために医療クラークを100人近く配備する予定と言うなど、私の目から見てもこれは、と思うような施策が並んでいる。

 私にとって岩手県の医療事情に無関心ではいられない。さりとて、もう遅すぎる。私が岩手の住民に戻ることはあっても医療に参加する可能性は、事実上ないだろう、と思う。


6/18(木)晴れ 外来+ドック診察 オーダリング操作説明会 
2:30起床,ドック判定、新聞チェックほか。5:10病院着。6:15回診他。8:00救急カンファ。8:45-14:30外来、混雑せず若干余裕。書類等、講演準備。事前打ち合わせ2件。20:10帰宅、夕食、21:00就寝。

ブタインフ(19)県内は二次感染の広がりなし 国は対策をレベルダウン
 6月11日夕方、仙北市の女性(45)が新型インフルエンザに感染していることが判明し、県内で初の発生となった。
 女性は直ちに入院にて隔離され、家族、職場、感染源となった神奈川県から修学旅行の中学生がホームステイした40件ほどの農家に情報を与えると共に、外出の自粛の協力要請、健康チェックを進めてきた。修学旅行は5人単位でグループ分けされていたが神奈川で同じグループの全員が感染していた、という。今回のH1N1感染者は友人関係、クラブ活動関係とかでのそのグループ内での感染が目立つ。私は会話を通じての横の感染が主のような気がする。

 今週中頃迄二次感染したという報告はない。従って、今回のケースに関しては感染拡大が無く収束したと考えている。この辺のことは地域の民放TVニュース番組で16日、17日の二夜私が説明した。

 今回の例の発生も含めて県民にはかなり新型インフについての注意点、特に発熱相談センターに電話すると言うことが浸透したと思われる。今回は病原性が低いために国の方針転換と共に徐々にその意義は小さくなっていくが、決してH5N1等の高病原性の新・新型インフルエンザの発生の可能性は小さくないだけに、更に一層の広報活動が望まれる。

 広報はTVとか新聞では不十分である。企業、職場、町内会ほかのコミュニティ毎に講演会とか説明会を開催するのがもっとも効果的である。その場を通じて蔓延期のコミュニティ毎の対策も論じられるからである。

 自らそう言っている以上、実行せねばならない。6月20日中通病院友の会総会の私の講演の演題は「患者から学んだ医療」から予定を急遽変更して「自身と家族を新イから守るには」とした。

 一方、国は今回のH1N1の医療対策をレベルダウンさせて、原則として全医療機関で新型患者を診察し、軽症者は自宅療養とするなど、対策の運用指針の改定案を固めた。
■患者の全数把握は中止し、学校などで集団感染が起きた場合の早期探知に力を入れる。
■感染疑い患者の診療を発熱外来だけでなく全医療機関が引き受ける。
■原則自宅療養とし、入院は他に病気がある患者や重症者に限る。
■ぜんそくや糖尿病など重症化しやすい人には、疑いの段階から治療薬のタミフルを予防投与する。
■妊婦やがん患者、透析患者らを専門的に診る医療機関は院内感染防止のため、都道府県の判断で発熱患者を原則診療しないことも認める。
■流行状況の把握は、全数把握から、感染拡大の早期探知へ目的を変更。
■遺伝子検査については、学校などで集団感染とみられる事例に限定する。
■学校や保育施設は流行の発端となる恐れが高いため、引き続き都道府県が周辺地域も含めた休校・休園を要請できる。出席停止者数などの監視も強化する。
■ウイルスの変異も監視し、対策に反映させる。
■検疫では、入国者に感染の疑いがあっても遺伝子検査や隔離入院は原則行わず、自宅療養を勧める。
■入国者全員への健康質問票の配布や、濃厚接触者の健康観察もやめる。

 日本国内の報告数は6月18日 9時現在655人、世界の報告数(WHO発表月17日 6時現在)は35.928人で死者は163人となっている。

 一般医療機関で患者を受け入れるとなると、またそれなりの問題点が浮上してくる。


6/17(水)快晴 外来 AKT収録 院内感染対策委員会
2:45起床,ドック判定・総括x1等、他いつもの如く.5:10病院着、6:10回診他、8:00救急カンファ、8:45-14:10外来、14:00 AKT収録。16:00-17:00院内感染対策委員会、20:25帰宅、夕食。21:15就寝。

ことわざ「下手の真ん中、上手の縁矢」を「Beginer`s luck」に置き換えてみれば
 先日の地方紙、秋田魁新聞のコラムにことわざの「下手の真ん中、上手の縁矢」が取り上げられ簡単な解説が付いていた。
 私はこのことわざそのものを知らなかったが、解説によると、弓道で矢を射るときに、下手なヒトの他が真ん中に当たり、上手といわれているヒトの矢が的の縁にしか当たらないことがある、という意味なのだそうだ。そのことから、「物事には、時として手違いが起こる」、「予想に反したことが起こる」という意味でもある、とあった。

 後者の意味づけの正否はよく分からないが「Beginer`s luck」ということかな、と思った。私も「Beginer`s luck」としか言いようのない経験が何度かある。このコラムを見てたまたま4件ほど思い出した。

 一つは、パチンコ。大学一年の時、初めて入った新潟のパチンコ店で冗談半分でやってみたら、50円分の玉がみるみる1.800円分になったこと。もう一つは同じ大学一年の時、初めてのボーリングで第一投がストライクであったこと、三番目は卒業して三陸の宮古病院に赴任して2ヶ月目ほどの頃、院内釣り大会で4.5Kgほどのアイナメ、ソイを釣り上げ優勝、4番目は秋田に来てから家内に教わって私もテニスを始めたが、イタリアントマト・カップなるミックスダブルスの大会に夫婦で出場、当然初心者クラスだったと思うが、何故か順調に勝ち進んで3位になった、ことである。

 勿論、「Beginer`s luck」の逆も多々あったのは当然であるが、幸いなことにそれらはすっかり忘れてしまって良い結果のものだけが残っている。その後の経過である。

 パチンコでは学生の頃の生活費、教科書購入の資金稼ぎになったし、二日間奮闘して、当時まだ高価だった小型の白黒テレビも購入できた。当時は自動でなく玉を一つずつ入れるタイプで大変だったが、それだけ満足感は大きかった。
 ボーリングはその後も続け、宮古市の大会で自己最高の236のスコアで3位になった。釣りも宮古時代は主に磯釣りで、大学で修練中は週末には男鹿沖で鯛釣りを随分楽しんだ。釣果はまずまずというところであったが、今の病院に赴任してからは時間をとれず一度も行っていない。テニスは昨年まで続けていたが、徐々に劣勢になって昨年春、ついにダブルス相手に断られた。昨年6月まで家内と細々と続けていたが共に体調を崩してからやっていない。

 私にとっての「Beginer`s luck」はその時だけのことに終わらずその後も継続するきっかけにもなったし、お陰でいい経験もいろいろ出来た。そのことこそが真の意味で「Beginer`s luck」だったと思う。


6/16(火)晴れ 外来 法人常務会 医局カンファ(外科) 
 2:30起床,ドック判定・総括x1等いつもの如く.5:15Taxi病院着、回診他。8:00救急カンファ。8:40-13:30外来、比較的余裕。14:45-15:30法人常務会, 17:30-18:25医局カンファ「大腸ガン化学療法関連神経障害の予防治療」。身近な問題であり興味深く聞いた。20:50帰宅、21:30就寝。

自身で危険を感知できないシステムに身をまかせる不安
 今月初めに山口秋芳プラザホテルでの一酸化炭素中毒事故は、22人が病院に運ばれ男性一人が死亡、4人が意識不朋となった。入院した児童6人は事故翌日の3日午前に退院、比較的重症で入院していた看護師も先日退院した。被害に遭われた方々は何が起こったのか分からなかったはずで、実にお気の毒であった。

 事故はまだ検証が終了していないが、欠陥ボイラーの再使用、蓋で塞がれていた煙突の使用、が原因とされる。蓋を開けてみれば信じ難い事故であった。
 事故当時稼働していたのは二台のうちの古い方のボイラーで、2007年に不調で一旦外されたが、何故か再び使われていた。一方、煙突2本のうち片方は 04年ごろ蓋が被せられ、07年以降に古いポイラーに繋がれていたらしい。それが事実ならば、ずっと長期間危険を秘めていたことになる。何であの日、あの時間に、あの事件が生じたのだろうか?運が悪かったのだろうか。

 このホテルは所有者や経営者か何度も交代し、正確な建設時期や煙突の構造を示す書類も確認できていないとのことであった。同ホテルは9日、「旅館業廃止届」を提出し、同日受理され廃薬が決まった。経営や運営上でいろいろ問題があったような印象を持つ。

 私は事故関連ニュースを読んでいて、2007年夏頃にも同じようなことを考えたことを思い出した。
 2007年3月伊丹発高知行きのANAボンバルディアDHC8-400型機が前輪が出ず、機体前部を滑走路に擦りつけつつも無事に着陸した。8月には韓国釜山市で8人乗りのコンドラから一家7人のうち5人が落下し死亡した。同8月20日、那覇空港に着陸した中華航空B737-800型機が爆発炎上した。間一髪165人の乗客乗員全員が脱出して死傷者はいなかった。

 これらの3件の事故はボルト一本の脱落や緩み、取り付けミスが原因であった。原因が解明されてみるとホントにちょっとしたことが重大事故の原因となっているものである。

 現代の生活の中では私どもは住居にしろ、交通系にしろ、職場でも、ほぼあらゆる場面で巨大な建造物やシステムの中に身を委ねざるを得ない。私は巨大な建造物、高速の移動手段などを用いる度毎に、技術・科学・文明の進化の素晴らしさを享受する一方で、いつも底知れない恐怖感を感じている。実際にはそれらを避けて暮らせないだけに、何時かは事故に遭遇する可能性は有り得るという、ある種の諦めの気持ちも持っているが、私にとっては感知できないブラックボックスで、すべて他人様任せにするしかない。
 一つ一つの事故を教訓にして一層安全性を高めて欲しい、と願うしかないのが悲しい。

 自分が関与できるレベルは住宅ならほったて小屋、交通手段ならせいぜい自転車程度でしかない。これ以上になると知らない部分が多くなって他人様任せの部分が増えてくる。そうなれば自分で安全を確保できなくなる。だから、自分は恐怖感と不安感から逃れ得ない世界に暮らしているものだ、と思ってしまう。

 天災はいつ生じるか分からない。昨年の14日は岩手宮城内陸地震が生じて犠牲者が出た。天災ならまだ考えようもあるが、人災は見て、聞いて、読むだけで、とてもつらくなる。


6/15(月)晴れ 管理会議 安全管理者・事務長との打ち合わせ 療養病棟判定会議 長副会議 地域包括実習歓迎会 
2:00起床。ドック総括x1,新聞チェック.5:10病院着。6:10回診他。7:45-8:20管理会議。10:00-10:50安全管理者・事務長打ち合わせ。紹介状など。16:00療養病棟判定会議。17:00-19:20長副会議。19:30地域包括実習歓迎会、21:00中座帰宅。21:30 就眠。

何でこんなに書類が多いのだ!!! 締め切りに追われる日々
 私は整理整頓が好きである。時間を有効に使い、物事を手際よく進めるためには、いつも身の回りは整理した状態ですっきりしておきたい。しかし、それのためには若干の時間が必要である。
 最近、院長室の執務用の机上に書類やカルテがうず高く積み上げられていることが多くなった。ということは、私に時間的余裕が無くなったと言うことである。キーボードを書類の下から引っ張り出し、書類や本の上で入力や書類処理しなければならないことも多々ある。

 こんな事態になった理由として、受け持ち患者が増え関連書類が増えた、新型インフルエンザ問題が発生した、・・などの外患もあるが、基本的に私自身の業務処理能力の低下、体力の低下等の内憂もある。最近、倦怠感、睡魔のために能率が下がることも希でなくなった。今の私の一日の過ごし方はそろそろ限界かな?とも思うようになってきた。されど、何をどうすればいいのか、考えている間も書類は次々と積まれる。解決は難しい。

 理由を挙げればそれで良いというものではない。何とかしなければならない。
 まずは見栄えの維持である。院長室には職員や来客が頻回に訪れるので、業務用の机上はざっとは整頓して一応は整えている。そんな時、未処理の書類や資料を積み重ねたらもうだめである。だから、ほかの方々には見えない奥のスペースの床の上に広げて並べる。よく「足の踏み場もないほど」との表現が見られるが、最悪の場合にはそんな状態になる。書類の上はよく滑る。だから、歩くためのスペースは何とか確保する。それでも時に書類を踏むことになるので、汚さないように執務机の奥ではスリッパは履かない。

 乱雑になるだけならまだ良いが、最近は患者関連書類の提出が遅れ、医事課や病診連携室、ドック担当者、はては患者や家族からも催促の電話を受ける。期限を守れなかったのは100%私の責任だから、平謝りに謝る。その件はすぐやらねばならないからまたまた予定が狂い時間が無くなる。

 実際、こんな状態になると何所に何があるか分かり難くなり、必要な書類や資料を探すのにムダな時間がかかってしまう。昨日から公用の印鑑が見えず、ちょっと苛ついている。

 ちょっとした整理のための時間を惜しむと、後で大きくしっぺ返しがくる。重々分かっているのだが・・・。


6/14(日)晴れ 病棟拘束 千秋公園あやめだんごにて会食
2:30起床。ドック総括x1、本読み、文献チェック。7:10病院へ、8:30救急カンファ。11:00帰宅。15:30再度病院。18:00千秋公園内にあるあやめだんごなるところで近親者12名集まり会食。20:00帰宅、就寝。

動物は死をどう認識するのか(2)動かないことで認識する?
 私の経験はそう多くはないが、動物の死を端から見ていると十姉妹とかの小鳥、ウサギなどは仲間あるいは伴侶の死を全く認識しないのではないかと思う。仲間の亡きがらが傍らにあっても特にその動きに違いは見いだせなかった。

 犬や猫になると生死を認識するらしく、なめることで刺激を与えたり、臭いを嗅いだりして動きを感知しようとしている様に見える。身体の動きが全くない時に相手の死を自らがしっかりと認識し、区切りをつけているようである。
 
 私は我が子が死んでいると判断した親猫をしばし見ていたが、すっかり諦めたのか我が子の死体にはもうそれほどの興味を感じないようであった。私は庭先に死んだ子猫を埋めたが、付いてきた親猫には我が子が埋められるのを見ていても何も変化はなかったし、その後も我が子が埋められた場所として認識している様子は全く見られなかった。動物にとって死は動かない物体としての認識であり、それ以降にまで引きずるような感覚は無いようである。

 ヒトの死においては、蘇生は医療関係者にとってなされ、死の判定は医師によってなされ、宣告される。そばに付き添っている方々にとっては医師とはいえ他人の判断だから、たとえ医学的に正しい判断であろうとも肉親達にとっては直ちに死を受容できないことも大いにあり得る。だから、その瞬間にご遺族になられた方々にはいろいろな反応が見られる。若い患者さんの死に際してはなかなか受容されず我々医療者に対する反応も多様である。救急医は特に大変だろうと思う。

 私もこの年になると、親しかった方々、知人であった方々が亡くなったとの知らせを受けることがあるが、その時、故人に対し身体的な死について思いをはせることは殆どない。そこにあるのは故人との間で交わされた数々の思い出であり、それらが走馬燈の如くに次々と浮かんでくる。勿論、姿形を思うこともないわけではないが、もうそれは虚像であり、小さなものでしかない。
 私はこの様な経験の毎に、他者との付き合いは決して物理的なものではなく、心(?)の触れ合いによるおつきあいであったことを認識する。消息が無いときには全く考えることの無かった様な遠い間柄でも、死亡を知った瞬間から一層希薄にはなるが、新たな関係としての再出発でもある。

 私は飼い猫や犬の前で何度か死んだふりをしてみたが、そばに来てちらっと様子を見ただけで全然なめってもくれなかった。飼い主の本当の死の場であれば、犬猫たちはどんな反応をするのだろうか。現実に知り得ないことであるが、ちょっとだけ興味がある。


6/13(土)晴 病棟拘束 散髪 ハーレー車検に
2:30起床、ドック総括x1他、文献検索若干のみ。5;10病院着。6;20回診その他、書類と格闘。8:30救急カンファ。退院総括、書類と格闘。11:45次男宅犬を見に。13:00Castles昼食。14:00散髪。19:10バイク車検に。19:50帰宅、夕食、21:00就寝。

また犬を飼うことになりそうな予感 うふふの感じ
 


次男夫婦が関東のブリーダーを訪れ、ボーダー・コリー(Border Collie)なる種の犬を買って来たという。


 飼い始めて1週間、まだ3ヶ月ほどの子犬で結構人見知りするのだという。本日、昼に早速見に行った。突然の訪問に犬もびっくりして落ちつきない。表情も今ひとつであったが、これからの成長が楽しみである。



 図鑑によると、ボーダー・コリーは高さの割に体長がやや長く優雅さと持久力に富み、聡明で、適度な警戒心があり、なおかつ知的好奇心に溢れた犬種である、と良いことばかり並んでいる。ホントかいな、と思わないわけではないが、この先の成長が楽しみでもある。



 次男たちが今度引っ越した一戸建ての借家は動物を飼っていいとのことで、室内で飼育するらしい。
 ただ心配なのは、暇もない共働きの若夫婦が果たしてうまく飼えるのだろうか?ということである。そのほかにも心配の種もある。もちろん飼い主達は可能との見込みで飼い始めたのであろうが、犬の立場で考えれば日中、一匹だけで孤独に耐えられるのだろうか、無人の室内の真夏の暑さに耐えられるのか・・などいろいろ心配の種は尽きない。
 



 そうなればどうなるか、我が家に預けることになる可能性も無いわけでない。そうならんことを願いつつ、そうなってもやむを得ん、うーんそれも悪くないな、と複雑な思いを抱きつつ対面した。
 我が家のハスキー犬ルーが旅だってもう10年以上になる。新しく飼う気はそう生じないが、あずかる程度なら悪くないかな、と飼い主に無断で、勝手に思いを馳せてしまった。



 そういえば、我が家の黒猫も関東出身で秋田に来てからもう4年である。同郷のよしみで仲良くなるのだろうか。こっちは超元気だからあまり心配ないが、高齢で老衰と認知症のナンナンはどんな反応するのだろうか、いろいろ我が家の猫どものことも心配である。







6/12(金)晴れ、内科外来代診 ドック診察 感染制御部と打ち合わせ 患者家族面談 法人理事会 柴田元教授講演会
2:30起床。ドック総括x1etcいつもの如く。5:20病院着、回診など。8:00救急カンファ、8:45-12:20内科外来代診。14:00ドック診察x5、15:00感染制御部との打ち合わせ。17:30患者家族面談、18:00-18:45法人理事会に合流。19:00-20:50柴田元教授講演会、21:15帰宅、22:00就眠。

動物は死をどう認識するのか(1)我が家の猫から学んだこと
 今国会では子どもの臓器移植の道を広げようと、臓器移植法を改正する動きが活発になってきた。
 我が国では子どもの心臓は移植できず、渡航移植例が続いてきた。秋田からも一人数日前に心臓移植のために渡米したばかりである。しかし、WHOが渡航臓器移植を規制する方向を打ち出していることから、子供の脳死移植を可能にしようと言う動きが再度活発になってきた。

 脳死移植を認める法律は1997年に成立した。しかし、脳死を人の死と一律に認める社会的合意は無く、移植に限って脳死を人の死とする妥協が図られ成立したという経緯がある。

 脳死状態で臓器の摘出をするには本人の書面による意思表示を必要なことから、民法上で遺言が有効でない15歳未満の若年者の脳死提供の道は閉ざされた。そのような法的事情のほかに、子どもの場合、脳死の診断後にも脳の機能が回復する例もあり、脳死イコール死と判定できないと述べる医師は少なくないことも挙げられる。また、救急医は脳死判定における救急現場の厳しい実情を訴えている。

 ほかに、親が子どもの死をなかなか受容しないとの側面も背景になっているようである。
 人の場合には死の概念、死の現実に対する認識は些か薄らいできているとはいえ、いま生きている一人一人に純然たるものがあると思う。しかし、そうは言っても現実に自分の身内が死を迎えたときにはなかなか受け入れられないことも確かである。
 私も患者さんの旅立ちに数100例も立ち会ったが、家族の反応は千差万別で驚かされる。

 動物には果たして死の認識はあるのだろうか?
 国会のニュースを新聞で見ながらつらつらと考えた。といっても私にもそれほどの観察経験はない。

 たぶん小学校一年の頃だったと思うが、私の布団の中で私にとって最初の飼い猫が初めての子を一匹産んだ。
 私は妊娠していたことも知らなかったし、妊娠や出産の意味すらも知らなかった。足下に猫がいたのでいつものように足でしばし弄んでから起き出した。しばらくしてから戻ってみると布団の外に産まれたばかりの子猫が一匹いて、親となった猫が一生懸命舐め続けていた。子猫は全く動かなかった。おそらく、私が足でつぶしてしまったのかもしれない。私も動転したが親猫も必死である。ほかのものが全く目に入らぬと言う必死さで舐め続けていた。どれほどの時間であったかはわからない。30分だったろうか、1時間ほどでもあっただろうか、突然舐めるのを止め、臭いを嗅いでいたのかはわからないが、しばし鼻をくっつけていたがやがて諦めたらしく頭を上げ私をじっと見つめた。
 私はその表情を見たその瞬間から、この猫に対して申し訳なく思い、一生頭が上がらなくなった。


6/11(木)晴 外来 院内対策会議 21世紀の医療をまもる会幹事会 県障害者福祉専門分科会・審査会 院内倫理委員会 県新型インフ対策本部会議
2:00起床。ドック総括x1etc、いつもの如し。5:10病院着、6:30回診など。7:45院内対策会議。8:45-12:30外来。 13:00-14:00 21世紀の医療をまもる会幹事会 15:00-16:20県障害者福祉専門分科会・審査会。17:30-18:45院内倫理委員会。 20:15-22:00第2回県新型インフ対策会議。22:30帰宅、夕食、23:15就眠。多忙な日であった。

ブタインフ(18)新型インフ県内感染例発生 WHOフェーズ6に
 本日夕方、仙北市の女性(45)が新型インフルエンザに感染していることが判明した。県内では初の発生となる。
 県は本日20:15から緊急に第二回目となる対策本部会議を開き対策を協議した。私もそのメンバーの一人で出席した。

 感染拡大を防ぐ対策を進める一方、感染ルートがほぼ推定できること等から現時点では学校や幼稚園、保育園、福祉施設の休校・休業要請をしないことなどを決めた。終了後の記者会見にも同席したが、知事は記者達の質問にも適正に説明を加えた。

 感染が確認された女性は10日夜から微熱、咽頭痛、咳嗽等の症状があり、発熱相談センターを経て大仙市内の発熱外来を受診した。簡易検査で陰性であったが、大事を取って遺伝子検査を行ったところ、H1N1ウイルスが検出され、感染症指定医療機関である仙北組合総合病院に入院した。

 対策本部会議時に配付された資料によると、今月6日から8日に神奈川県から修学旅行で本県を訪れた女子中学生が、9日に地元で新型インフル感染が確認されたが、この中学生と感染した女性は仙北市内の土産物店で接触があったとされている。修学旅行には190人ほどが来県し、5人単位程で農家にホームステイして田植えなどを体験したのだという。今のところこの5人のグループだけから複数の感染者がでているのだという。県は濃厚接触者を中心に健康状態のチェック、外出の自粛などの要請を行っていく。

 感染が拡大しないことが望まれるが、今回の例から見て県民にはかなり新型インフについての注意点、特に発熱相談センターに電話すると言うことが浸透しているようである。県内で発生した機会に県民の感受性は高まっているはずだから、更に一層の広報活動が望まれる。

 一方、WHOのチャン事務総長は先ほど記者会見し、新型インフの警戒水準を最高の「フェーズ6」に引き上げたと発表した。また、ウイルスの病原性は中程度と認識していることを示した。
 今後も地球規模で感染が拡大するとの見通しを示す一方で、各国に国境閉鎖や旅行制限など過剰な反応は不要であると呼び掛けた。
 新型インフは冬季にさしかかった南半球を含む多数の国に拡大している。オーストラリアは地域社会内での持続感染発生状態を認め、これがフェーズ6への格上げの判断になった。
 ワクチンは既に我が国を含む世界の主要メーカーが開発準備に入っており、今秋には流通し始める見通しとなっている。

 日本国内の報告数は6月11日 9時現在508人、世界の報告数(WHO発表月10日 6時現在)は27.737人で死者は141人となっている。


6/10(水)晴 外来 県長寿社会振興財団大学園開校講演 県医師会理事会 
2:20起床。人間ドック総括x1など処理。5:10病院着、回診など。8:00救急カンファ。8:45-13:00外来、14:00-15:30県長寿社会振興財団大学園開校講演、16:30 -18:45県医師会理事会。21:00帰宅.夕食、21:20就眠。

県南うろうろ(3)雄勝中央病院 県近代美術館 粋果の雫
 10:00am過ぎに鷹ノ湯温泉を出発、先ず雄勝中央病院に立ち寄ってみることとした。
 雄勝中央病院は380床で湯沢雄勝地区の中核的な医療機関として昭和8年から地域医療を担って来ている。平成17年8月に駅前から現在の郊外に移転新築した。新病院は市街を抜けた小高い丘に緑に囲まれた良い環境のなかにあった。現院長は私と同じ岩手県出身で高校の同窓生でもある。彼は県の医療の最大の課題である医師充足問題等に果敢に取り組んでいる。私もいつか一度は訪れてみたいと思っていたが今回まで機会が得られなかった。
 当日は日曜であったので正面玄関は閉じられており救急側から入ってみた。外来部分、病棟の一部を遠目に見させて頂いただけなので何とも言えないが、廊下、病室も広く、談話室なども広く取ってあり、アメニティという意味でも、物理的な余裕は私共の病院の3倍はあるような感じがしてとても羨ましく思えた。ただ、現地域に移転して住民にとってかかり難くなったのではないかと思われた。

 次に秋田県立近代美術館に寄ってみた。
 パンフによると、1994年、秋田ふるさと村内にオープンしたとのことで、江戸時代中・後期、秋田藩主や家臣がさかんに描いていた洋風画「秋田蘭画」を始め、近代以降のすぐれた美術作品を収集・展示していると言う。私は5Fのハイヴィジョンシアターで秋田ゆかりの芸術家に関連する映像をしばし楽しんだ。館内外には彫刻が並んでいたがちょうど降雨もありすべてを見ることが出来なかったのが心残りであった。またいつか、と楽しみを残して後にした。

 横手のふるさと村は美術館と直結している郷土館である。いろんなイベント会場にもなっているようであるが、地域の特産品とかも豊かにしてある。
 私はスイカが大好きで通年手に入れている。だからスイカについての話題は目に飛び込んでくる。スイカの汁を煮詰めた製品がこの地域の特産としてあることを数年前に新聞で読んでいて、機を見て購入したいと考えていた。あんまり宣伝していないのか加工品を見つけるのが大変であったが、棚の上にひっそりと「粋果の雫」「スイカ糖」の2つの製品が陳列されており両者とも求めてきた。

 これらは旧雄物川町の特産品であるスイカの果肉を絞り、その果汁を4〜5時間ほど煮詰めて作った、まさに100%自然素材のジャム、エキスということである。弱火で時間も手間もたっぷりかけている。1個のスイカから約250gしか作れないという。かなり労力や燃料代もかかっているのだろう。価格は150g入り2.000円と決して安くはない。エキスの方は1.500円であった。
 ヨーグルトに入れたりパンの耳にぬったりいろいろ試みているが、甘さの他に適度な苦みもあってなかなか良い味である。ただ、やはりスイカそのものの方が美味である。


6/9(火)曇り 外来 法人常務会 県健康推進課スタッフ来訪 医局カンファ(欠) 医療安全委員会08年度報告集会(欠)  県医師会委員会
2:00起床。ドック総括x1、病院業務他etc。5:10病院着、6:30回診他、8:00救急カンファ。8:45-13:30外来。 14:45-15:40法人常務会。16:30県健康推進課スタッフ来訪新型インフ打ち合わせ。17:30医局カンファと医療安全委員会08年度報告集会は欠席。18:30-20:00県医師会委員会、21:30帰宅.22:00就眠。

「ハドソンの奇跡」の仰角11度 スペースシャトルの侵入角2度に驚く
 本年1月18日にUSエアウエイズ1549便、乗客乗員155人、エアバスA320機がニューヨーク・ラガーディア空港を離陸直後に両側エンジンに鳥を吸い込み、推力を失ったが、奇跡的にハドソン川に不時着水して一人の死者も出さなかった快挙が報じられてもう半年になる。
 サレンバーガー機長は記者会見で「日常の訓練の通りやるべき事をこなしただけ・・・」というようなことを淡々と述べたのが印象的であった。

 この事故の記録を詳しく読んだわけではないが,後にでた何かの出版物にエアバスA320機が着水する際は速度280Km/h、機の仰角は11度という事になっているのだという。それを知ってまたまた驚いた。たまたま無事だったのではなかったのだ。

 離陸直後の鳥を吸い込み事故は通常もっと低い高度で生じるが、この機は既に900m程の高度に達していたこと、一応機の速度も充分であった事が幸いしたことになるが、それでも大変な奇跡である。推力を失った航空機は500m/分程度の降下率でグライダーのように飛ぶ事が出来るとされているが、この機はせいぜい着水までの時間は2分程度しかなかった、と思われる。
 その間、操縦困難であっただろうと思われる機を巧みに操りハドソン川に方向を定め、着水の準備をしたクルーの技術にはただ驚くしかない。

 着水時には機の速度と仰角と姿勢がほぼ正確でないと機は大破するのだという。仰角が大きければ先に着水した後部が破壊され、水の抵抗で速度が急激に落ちて機体は水面にたたきつけられる。逆に仰角が小さいと先にエンジンが着水し前のめりに水面にたたきつけられるのだという。今までに何件かの旅客機が事故で不時着水を試みた見たケースはあるがすべて大破し多くの犠牲者が出ている。エジプト航空だったと思うが、着水の時の記録が映像で残っているが、それを見ると着水時に一瞬で大破している。

 日本でもJALで福岡発羽田行きのダグラスDC-8機が着陸侵入時に病気の機長が逆噴射をかけたために羽田沖に着水した事故があるが、この時機体は前1/3ほどのところで二つに折れ、何人かが犠牲になった、と記憶にある。

 それにしても、すごいことをやり遂げたのだと、半年も経ってから改めて感心し直した。なお、この機には二人の日本人が乗っていたとのことであった。

 ついでに、スペースシャトルが戻ってくる時の大気圏突入時のことであるが、速度は忘れたが、侵入角度は2度なのだという。これ以上角度が大きければ大きな空気の抵抗で燃え尽き、小さければ空気によってはじかれてと二度と帰還出来ないのだという。

 両者の巧みなコントロールについては、知れば知るほど論理的で正確である。何ら技術を持たない私からみてこの辺のことは驚きでしかない。


6/8(月)曇り 管理会議 外来 療養病棟判定会議 長副会議 
2:15起床。ドック判定総括。新聞チェック他資料整理etc、いつもの如し。6:10病院着、6:30回診など。7:45管理会議、 8:45-13:50外来、16:00-16:40療養病棟判定会議。17:00-19:20長副会議。20:50帰宅.夕食、21:30就眠。

やらせやサクラ 講演会などの盛り上げには必要なことも
 広辞苑によると、サクラとはタダで見るという意味で、芝居とか演劇の際、出演者のために声援を送るよう頼まれた無料の見物人を指すという。転じて、露天商などで業者と結託し客のふりして他の客の購買心をそそる回し者とのことである。
 桜の季節の行事に目立ったと言うことからサクラと呼ぶようになった、という説もあるようだ。マンガのサザエさんには時折サクラが登場するシーンがある。貧しかった頃の日本の細々とした活力を見る事が出来る。

 ところが、今はサクラ派遣業というのがあるらしい。興行支援企画業とでも言うのだろうか。パチンコ屋の新装開店、音楽のライブ、お笑いのライブ等に依頼が来るという。道に並んだ行列は次々と人を呼び、話題になるから間接的に広告になる。ある会社では登録しているアルバイト員は2.000人ほど、料金は一人1時間あたり3.000円で、そのうちの2.000円をサクラ員に支払うのだという。今は一大企業になっているらしい。爛熟した日本の活力の一角とも見る事が出来る。

 一方、現在は若者達はインターネットで情報を集める。これを逆手にとってある商品の使用体験、お勧めの意見をブログに次々と投稿するバイトもあるらしい。この使用体験記は影響力が大きいのだそうだ。だから、使用経験、お勧めの意見などは個人個人が投稿していると思って参考にすると時には危ない、という事になる。

 一見人為的操作と悟らせないこうした手法は米国の軍用機の特徴をもじって「ステルス広告」と呼ばれる。広告そのものは企策が消費者や社会に発信するメッセージで内容に虚偽があれば詐欺行為にあたる。これに抵触しないように消費者を装ったサクラで雰囲気を盛り上げている、という事になる。
 私共は一体何を信じればいいのか?と思ってしまう。

 ところで、そう言う私も講演会とかがある場合、主催者や司会者に会場からの反応がなかった時のために代わって質問を出して頂くサクラを数名御願いしておくように、と頼んでいる。講演会等で演者が話し終わった際、司会者は出席者に意見とか質問とかを求めるが秋田ではなかなか手を挙げる方はいない。だから、結果的に会は盛り上がらず、折角の会が一方向的な会になったり尻すぼみに終わる事になる。これは演者に対しても失礼な事でもあり、主催者や司会者の責任でもある。

 同じような事は企業の全体集会、学習会、討論会とかにも当て嵌まる。如何に上手に会を終了させて次の企画に結びつけるか、が重要である。企業の大会が尻すぼみに終わってしまうとその後のモチベーションにも関連してくるから結構重要な課題である。


6/6(日)母ハナ命日快晴 黒猫到着4年目 病棟拘束  患者家族面談
2:30起床、新聞チェック、文献など。7:00病院。8:30救急カンファ、10:00-11:45患者家族面談。12:15帰宅、14:30午睡、種々。19:00夕食、19:30病院、21:30帰宅。22:00就寝。

県南うろうろ(2)秋田の宮温泉郷 鷹ノ湯温泉 野鳥は当てはずれ
 6月6日、十文字、川連の後は国道398号線,県道310号線経由で秋ノ宮温泉郷に向かった。途中の山々の木々の豊かさ、緑の豊かさは見事であった。県中、県北の山とは異なる印象を得た。

 秋ノ宮温泉郷は奈良時代に発見されたとのことで、県内最古の温泉郷という。栗駒国定公園脇に各々が独立した源泉を持つ10数軒の温泉宿がある。傍らには役内川が流れ、その風光明媚な景観は武者小路実篤などの文人にも愛されたという(宿のパンフより)。
 その中で次男の薦めもあって鷹ノ湯温泉を選び宿泊した。建物などは大きく余裕があり、かつ、ひっそりとした佇まいで温泉郷に来たなと言う、こころ休まる感じであった。10組ばかりの宿泊があったようである。

 大きくあてがはずれたことがあった。
 今回の県南うろうろは家内が野鳥の声を聴きたいという事で急遽出かけてきたのであるが、鷹ノ湯温泉は秋野宮の宿の中でも役内川に最も近く、かつ私共が与えられた部屋はほぼ川岸の上に位置していた。結構水量があり、かなりの音を立てていた。したがって温泉宿で聴けるであろうと期待した野鳥の声は水音にかき消されて全く聴けなかった。

 部屋に落ち着いた後、私は居眠り事故も起こさずに無事着いたものだと思いながら畳の上で2時間ほどぐっすり眠った。夕食で起こされ、川魚や山菜を豊かに用いた質素な夕食を摂った。若干の地ビールに酔ったので、早々に眠ることとした。 PHS、携帯は身から離す事はないが、物理的に病院を離れることによる開放感は別物である。

 後はいつものペースである。
 1:30amに起きだし持ち込んだ本を数冊交互に斜め読みし、新聞を数日分チェックしゆったりと過ごした。この間、チェックアウト時間までの間に大浴場、屋根付き露天風呂、少し離れた場所にある露天風呂とハシゴしながら6回ほど入浴を楽しんだ。この間湯船をずっと一人で占拠でき、これまたマイペースで最高であった。朝食もあっさりとしたものであった。僅か2食だけであるが身体の脂が抜けたような気がした。これには心因要素もあろう。

 年に一度の盛岡の墓参りの時に盛岡近郊のつなぎ温泉郷で一泊するのを常にしているが、何時もは近代的なホテル形式である。ここの様な、古風な佇まいで静かな温泉郷に宿泊したのは中学3卒業時に祖母達の湯治に付き添いとして一週間過ごした花巻の志戸平温泉以来かな、と感慨にふけった。何で40年前の古い事を覚えているかというと、受信状態が悪くてガーガーピーピーと雑音の多い放送で高校受験の合格発表をドキドキしながら、耳をそばだてて聞いていたからである。


6/6(土)雨 病棟拘束 患者家族面談 第1回管理職会議+懇親会  
2:20起床、5;40病院着。6:30回診、書類処理などこなす。8:30救急カンファ。講演準備。9:00患者家族面談。 14:00-18:00第1回管理職会議+懇親会。アルコール誘因こむら返り??病院までの歩行難渋、倍以上の時間がかかった。18:15病院、書類処 理。20:30Taxi帰宅、20:50就寝。

数値を鵜呑みにして良いの? ハイブリッド車の燃費、新型インフの患者数
 日本自動車販売協会連合会は6月4日、軽自動車と輸入車を除く5月の新車販売台数を発表した。

 それによると、トヨタの「プリウス」が1.9015台で初めて首位に立った。4月の新車販売台数はホンダの「インサイト」が首位であったが、5月は8.183台で3位に後退した。2番目はホンダのフィットなのだという。
 プリウスの販売台数は4月は21位だったが、この一月間で一気に首位に躍り出たことになる。
 プリウスはエンジンを1.5Lから1.8Lと大型化し、モーターを軽量化するなどの改良で燃費を旧車より改善し38Km/Lと伸ばしたこと、最低価格も 旧型から約30万円下げ205万円と設定したこと、加えて低公害車対象の優遇税制も追い風となった。トヨタは今回の改良型を恐らくは大幅に値上げして発売 しようとしていたのだろうと私は思っているが、最低価格を189万円としたインサイトに対抗するために急遽出血覚悟で低価格にしたと思われる。売れても利 潤に結びつかないとすれば辛い商売だろう。

 省エネ車が最近ブームである。ハイブリッドなどの精密な車は後発組には無理だろうが、今後は構造の単純な、安い電気自動車が各社から出てくるだろう。三菱自動車は電気自動車「アイ・ミーブ」を来月発売するし、スバルも来年電気自動車を発売する予定となっている。

 ところで38Km/Lが強調されているが、どんなものだろうか。私の旧型プリウスはカタログ値は35Km/Lであるが、 最近のタウンユースでは半分の16Km/Lでしかない。新型はエンジンを1.8Lと大型化したと言うが燃費が改善する要素は高速ツーリングの際の燃費改善 なのだという。平均的ユーザーの年間走行距離は8.000 Km/年と言う。高速道をどれだけ走るか分からないが、果たして大きなメリットはあるのかな?と思う。プリウスについては38Km/Lの数値が一人歩きし 過ぎているような気がしてならない。それに、電池の処理やリサイクルを含めトータルで本当に省エネ、クリーンになっているのだろうか。

 数値のからくりは新型インフの感染者数の表現法にもある。
 新型インフは、本日の段階で国内は402例、世界的には19.273例である。ところでこの数値は何なのだ、と思う。
 今国内で発熱している感染者は10人程度のはずで、他の方々は通常の生活に戻っているはずである。せいぜい10日間程度しか感染力を持たず、完治する急 性疾患患者を累計で表示する意味は小さいし、現状を何も表していない。累計数も不要とは言わないが、現在入院中の患者数とか新規発生数を表現する意義の方 が遙かに大きい。


6/5(金)晴れ 医療的ケア実施状況巡回訪問 患者家族面談 ドック診察  
1:40 起床.書類処理、文献・新聞チェック。5:20病院着、6:30回診ほか。8:00救急カンファ。11:30-13:30県立養護学校へ。医療的ケア実施状況の見学と提言。14:00-14:45患者家族面談。15:15ドック診察x5。病棟患者対応ほか。20:45帰宅、夕食、21:30就寝。

県南うろうろ(1)十文字ラーメン 川連漆器伝統工芸館
 5月12日から不在であった家内が6月6日帰宅する予定であったが、家に帰らずそのまま県南に野鳥の声を聴きに行きたいと言う。脈絡もない突然の発案であったが何時ものことで驚きはしないが、まさか一人でやるわけにはいかないから、私も業務を片づけ、午後休暇を取り、緊急時の患者の対応を内科・外科の医師にお願いして、正午に病院を発った。

 県南は講演とかで何度か訪れているがすべてとんぼ返りで時間を取って出かけるのは始めてである。どこに何があるのか全く不案内である。先ず近所の書店で県南のガイドブックを購入、秋田道を一路南下した。寝不足下での運転は睡魔との闘いで、事故死と紙一重状態で大変であった。腹をつねり足をつねり眠気を凌いだが、助手席の家内は気付かず、外を見ては木々を楽しみ、鳥を見つけては大喜びで優雅なものであった。現代の人生なんてホントに紙一重のバランスで成り立っているものだと思う。

 最初に十文字ラーメンなるものを味わってみる事とした。
 十文字インターで降りたら流石である。さほど大きくない町のあちこちにラーメン屋がある。住民が如何にラーメン好きでもこれでは成り立つまい。恐らくラーメン目的の訪問者が各所から少なくないのであろう。店に入った時にカウンターでどちらから?と聞かれた事から推定できた。無頼のラーメン好きとは言え、胃袋が一つしかないから一軒しか楽しめないのが残念であった。
 澄んだ色調のスープと細い縮れた麺の素朴な、あっさりとした味のラーメンで私の好みに近い。各店にはそれなりの特徴があるのだろうから,別な店のも味わってみたいものである。初老の体格の良い店主の、低音のでっかいかけ声にも驚いた。民謡でも唄わせたら見事でなかろうか。

 次いで川連町に向かった。
 家内もそうだと思うが食器には落ち着いた雰囲気の漆器が好みである。幼少の時は漆器といえば輪島塗しか知らなかった。数10人分のお膳セットがわが家にあってすごい品なのだと言われて育ったが、家を処分した時に何処かの料亭に引き取られていった。わが家が今使っている食器は殆どが川連塗りなのだそうだ。

 川連塗りは800年の歴史があるという。伝統工芸館には数々の見事な製品が陳列され家内はいたく惹かれ、何個か購入したらしいが、私はむしろ下地となる木の種類、森からの伐採、運搬、乾燥、煮沸等を繰り返しつつ製品になっていくと木地の処理、職人達の工具、下地製品等に興味を覚え、古い記録映画の前にしばらく釘付けとなった。川連塗りの本当の価値は塗りもさることながら見事な木工にあると思う。私も基本的には木工が好きである。あり得ないだろうが、こんな作業に没頭してみたいものだと思った。


6/4(木)晴れ 外来 研修管理委員会
2:30起床.文献資料チェック、5:10病院着、6:10回診、紹介状x2など、8:00救急カンファ。8;40-14:30外来、地獄のごとし。紹介状x2、講演準備など。21;30帰宅、夕食、22:20就寝

ブタインフルエンザ(17)秋田医報シリーズ掲載を終えるにあたって
 秋田県医師会の秋田医報は隔週出版の会報である。3月15日以降6回にわたってシリーズ「新型インフルエンザ」を掲載してきた。この度シリーズ終了にあたって担当として編集後記を以下の如くに認めた。普遍的内容なので当欄にもアップした。



 本シリーズの掲載を始めた3月15日時点では新型インフルエンザ(新イ)は発生しておらず、県医師会感染症等危機管理対策委員会ではH5N1新イの発生を想定して情報提供のシリーズを開始した。
 
 米国とメキシコで豚インフルエンザが人に感染し、メキシコでの感染者は1.000人以上、死者が60人以上と報じられたのは4月25日であった。WHO が新型イと判断し、感染レベルを「フェイズ4」としたのは4月28日であった。その後も感染者、死亡者数は増加し続け、WHOは4月30日に「フェイズ 5」に引き上げた。
 WHOの対応はやや鈍いと思われたが、国際的に影響が大きいだけに各国からの政治的な圧力があるからなのだという。

 5月15日号の追記コメントを私が記載した5月8日の段階で、新イは23ヶ国、1.828人で、国内発生例はまだなかったが、一月後の6月5日現在、感染者は国内では16都府県で401人、世界的には66ヶ国で19.273人、うち死亡数117人に達している。当初は驚くべき蔓延の早さで、世界的に騒然となったが、北半球の各国では感染拡大はまだ続いているものの落ち着きつつある。しかし、冬を迎えつつある南半球では大幅に増加傾向にあり、WHOは「フェイズ6」に引き上げる検討も再度始めている。
 
 ブタ型の、感染力も病原性も比較的弱いと考えられるH1N1新イが、地球の裏側の国から発生したことは不幸中の幸いであった。危機管理は机上で計画するのは比較的簡単であるが、コストとマンパワーが必要で、かつ、日常業務に支障を及ぼす内容にならざるを得ないので、危機が目前に迫っていなければなかなか具体化しない。この間にH1N1新イの陽性者が一人も出ていなかった秋田県の新型イ危機管理対策は一気に具体化した。
 県内各地に発熱相談センター、発熱外来もが設置され機能している。私共医療関係者の念願であった発熱外来設置費用の補助、PPEの供給、タミフルの予防投薬、身分保障、報酬、公務災害の適応などについても確実に進展がみられている。
 ただ、県内の医療機関の新型イ対策には温度差が大きく、感染症指定病院、協力病院以外の病院、診療所の準備状態は一部の地域を除くと今ひとつと言わざるを得ない。今後は、秋田県に於いても大学病院など一部の特定の医療機関を除きすべての医療機関でH5N1新型イを診療しなければならなくなる、と考えられるのでその準備を怠らないで戴きたい。

 解説記事、情報提供のシリーズはタイミング良く開始された。
 掲載途上でH1N1新イが問題になり、5月15日号以降では前段部分でH1N1新イについても言及してはいるものの、基本的にはH5N1新イを想定した対策を会員に提供するという予定を変更することなく続けた。今回で一旦終了するが、それなりにお役に立てたのではないかと思う。

 H1N1新インフは小康状態にあると言え、これからも海外から感染者が我が国に継続的に入ってくるだろう。だから、何時また流行が再燃するか分からない。今秋からは季節性インフルエンザと混じり合ってどうなるか予想も付かない。H5N1等の別のタイプの新イ、新・新イ発生の可能性も高まりつつあることには変わりがない。

 このH1N1新イ蔓延の中で明らかになったことは、連日目まぐるしく変わる感染情報、危機管理対策の方針変更点などの情報提供は、隔週の、入稿から発行まで時間を要する医報では全く不十分であるという事であった。そのため、今後の会員への情報提供は県医師会のホームページを介して情報をリアルタイムに提供し、その時々に感染症等危機管理対策委員会委員による解説を加えたいと考えている。また、県医師会新イ対策本部を介して県医師会の統一見解を提示して行きたいと考えている。


6/3(水)快晴 外来 市発熱外来センター運営病院保健所協議会  県医師会・教育長との懇談会(欠) 県医師会常任理事会
2:00起床。ドック判定総括x1ほか、いつもの如し。5:20病院着。6:20回診。8:00救急カンファ、8:45-13:50外来。 16:00-17:20秋田市発熱外来センター運営病院保健所協議会。17:30-19:50県医師会常任理事会。代議員会前で長時間。21:20帰宅、 22:10就眠。

家内が退職し、1年経過した 豊かな時間が羨ましい
 家内が昨年5月末日で37年勤務した病院を退職し、満1年経過した。

 退職のきっかけは私の健康問題であったが、退職間もなく自身も健康を害したためにマイペースで診療所の手伝い、秋田ゾンタクラブ、医師会の委員会、女医会とかに参加し、一方では畠作りなども始めている。豊かになった自分の時間を有効に使って比較的静かに暮らしている。好きなTV、映画なども存分に観ているようだ。

 家内は仕事がのろいからという評価は付きまとったが、特に子供達が独立してからはいつ帰ってくるか、大抵は午前様、時には果たして帰ってくるのか分からないような生活で、決して心身的に健康的な生活とは言えなかったが、よく続いたものである。この一年はそれが100%変化した。

 日中は何しているか私には分からないが、結構積極的にいろんなところに出かけているようである。私が帰宅する頃に家内がいるというのは私にとって本当に不思議な感覚であった。

 家内が退職し自宅にいる時間が多くなったことの副作用としては、私の生活に対して気配り、目配りする余裕が出来たからであろう、特に食事に関しては口うるさくなった。かつては夕食時には好きなものをたらふく食べていたのであるが、皿を側から取り上げられたり、時には途中で片づけられたりする。だから、一日一回の食事の内容が若干健康的になったが、満足感・充足感がという意味ではちょっと乏しくなった。
 更に、4:00am頃、脈絡なく突如起き出して私に簡単な朝食を用意する事もある。さすがに毎日は続かない。それでも、私の一日一食主義の生活はここ一年若干乱れ気味である。

 もう一つの副作用は、これがなかなか調整が難しい問題であるが、台所奉行が二人居ては日常生活がむしろ機能低下すると言うことで、そのため賄いの石井さんの立場が微妙になってきていると言うことである。私は半ば諦めているのだが、石井さんに育てられたわが家の3人の子供達にとって心穏やかならぬ状態になっている。

 退職翌日の昨年6月に「森吉山の野鳥と歴史の会」に参加し、私も同伴して県北地方の森の豊かさを体感したが、2年目に入った先日は県南地方に野鳥の声を聴きに行ってきた。秋田に来て36年、初めて県南地方をうろうろしたが、川面塗りなどを始め秋田県の豊かさ、文化の一部を体感した。


6/2(火)晴れ 外来 常務会 医局会 
2:50起床,ドック判定総括ほか、いつもの如く。5:10病院着。6:10回診他。8:00救急カンファ。8:45-13:00外来。14:45-15:30常務会。17:30-18:40医局会。。20:45帰宅。21;00就眠。

サイズ(3)人生のサイズは?は70点ほどの中庸が良い
 大きいこと、小さいこと、それぞれに良さがある。
 ただ、物品の場合、それぞれについて使い慣れると新たな希望というか、欲が沸いて来る。TFTディスプレイは30インチ以上のサイズのも市販されているし、15gのiPod shuffleは私が気に入って楽しんでいが、既に改良されて更に小さく、容量は増している。ただ、両者とも私は値段も機能も納得できないから当面は購入の対象にはならない。

 一方、自分の生き方を大小のサイズに当てはめてみるとどうなるか。
 私は前から人生は100点満点中70点ほどの中庸が良い、目立たず、ひっそりと生きたいものだと思ってきた。大きからず、さりとて小さからず、と言うところである。 
 この世に生きておれる以上、自らの歩みに満足感が得られればもう最高である。とはいっても、この面の感じ方は人それぞれだから自分にとってどうか、と言う視点からしか語れない。私の場合は、その満足感も70点という中庸なレベルで良い、と考えており、結構目標とするレベルは低い。それで大方のことに満足出来ている。

 夢と目標をもって努力し、夢を達成することこそが人生、等と厳しい事を言う人もいる。確かにそんな人生もあるかもしれない。その様な方はそれで貫けばいい。しかし、自分の生きる目標を掲げられなかった人、叶えられない人の方が圧倒的に多いと思う。自分も実際そうだったから尚更そう思う。それでも充分に生きている満足感、喜びはある。

 私は講演や講話などでもよく「人生何事にも完壁を求めず70点主義が良い」と「70点主義」について話している。
 完璧主義など、当たり前の人間に、例えば私などにとっては不可能だ。今の私はいろんな事に関係しているから物理的にはちょっと余裕がない。されど「無理せず、背伸びせず、完全を求めないこと」と割り切って乗り切っている。
 コツは如何に上手に手を抜くかということだから、業務上でも仕事がたまっている。患者の書類などしょっちゅう急かせられている。急かせられたら可及的に処理する。手抜きが露見して厳しく責められることもしばしばであるが、それでも割り切る。

 そして、折りに付けて自らの足跡を再評価して場合によっては方向転換する事である。身の丈以上の目標を求め続けていたら、死の瞬間まで満足感、安息感を味わうことができないだろう。私は修行僧とは違う。日々、楽しくなければ生きてる意味がない、と思う。

 私は決していい加減にせよと言うつもりはない。しかし、無理は無理なのだ。 70点主義、それで充分である。


6/1(月)晴れ 管理会議 安全管理者と打ち合わせ 第5回新型インフ対策会議  療養病棟判定会議 長副会議 
2:00起床、新聞チェック、ドック判定総括x1。5:10病院着。6:15回診他。7:45-8:25管理会議。10:00-10:45安全管理者・事務長と打ち合わせ。患者関連書類処理に呻吟。14:00-14:45第5回新型インフ対策会議。16:00-16:3,0療養病棟判定会議。 17:00-20:10長副会議。21:00帰宅。夕食、22:00就眠。

ブタインフルエンザ(16)玄関先トリアージ、発熱外来機能縮小
 当院では、兵庫や大阪で国内蔓延の兆しが見られた5月16日にかねてから計画していたプランに沿って外来の一角に独立したスペースを確保して発熱外来を設置した。更に玄関先で来院患者に発熱の有無、蔓延地からの移動、あるいは蔓延地から来られた方との接触歴を確かめる発熱患者トリアージを行ってきた。

 秋田にも空路やJRにて何時感染者が現れるかもしれない状況の中、その様な方々を不用意に院内に入れないためであった。その目的の第一は外来・入院の患者を新型インフ感染から護ること,従業員の感染防御のためであった。
 現状で出来るベストの対応をしてきたと考える。この状況で更にすり抜けが生じた際にはやむを得ない、その際には二次感染防止に全力を挙げるしかないと割り切った。

 この後、新型インフの状況は関西地区では高校生を中心に蔓延し続け緊張させたが、幸いなことに秋田県では陽性者が一人も生じることなく関西地方での蔓延も終演し始めた。やはり、H1N1の感染力は季節性よりも弱いと考える。その中で、学校の休校措置がもっとも功を奏したと考えられる。私どもは休校措置が解除されてからの一週間の間の発生が鍵を握るとして先週までは体制を維持したまま事態の推移を見た。
 週末から今朝にかけての情報を収集し、新たな蔓延の兆しがないことから、本日をもってトリアージと発熱外来のスペースを元に戻すこととした。今後来院するかもしれない疑い患者の診察はかつてSARSの際に設けた特別診察室で行う事になる。

 この二週間の努力は何だったのか、思い返せば大きな空振りであったことになるが、それは結果論である。今回の当院の新型インフへの対応は次のH1N1蔓延、新・新型インフ、H5N1新型インフ等の出現の祭の危機管理に大きな足跡を残したと評価している。関連したすべてのスタッフの労を心から労いたい。

 日本では終演しつつあるが、世界的に見ればやはり南半球の諸国で急増している。従って、我が国には感染者が空路次々と入ってくる事になるだろう。だから、まだまだ気を緩めることは出来ないが、先ずはひとまず休息体制にはいる事となる。
 秋田市における公的な発熱外来の設置は遅まきながら進んでいる。今後はこちらの方に主眼を移し、次の危機管理の機会に備えたい。明日はそのため市保健所で市内の4病院の長が集まって詰めの作業をする事になっている。


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   年を通じてワンパターンで淡々とした毎日です。AM2:00-5:00にメールチェック・返事送付、人間ドック(HDD)判定・報告書作成、新聞切り抜き、病院・医師会業務など。
  月〜土曜は6:00頃出勤、HDD報告書印刷、外来書類処理など。病棟回診、HDD受診者とミーティングと診察。8:45-14:00外来とHDD受診者に結果説明。昼食は摂りません。午後は病院業務・医師会業務、各種委員会等に出席など。20:00頃帰宅。
  日曜・祭日もほぼ同様ですが、病院には午後出かけます。時間的に余裕無いのが悩みです。


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