手足口病の流行について


現在、熊本、佐賀、福岡、群馬、奈良等で手足口病の流行が見られており、全 国的に発生状況をみても過去大流行した90年、95年の流行曲線に近いので、大流行する可能性があり、今後の動向に注意が必要です。 手足口病は、手のひら、足の裏、口の中の発疹と水泡を特徴とするウイルス感染症で、我が国では毎年夏に流行します。通常は、発熱で始まり1週間から10日程度で自然治癒する一般的な感染症で、原因ウイルスはエンテロウイルス71(EV71)、コクサキーA16、Aユー等の複数のウイルスによって引き起こされます。
 
最近、この原因ウイルスのうち、エンテロウイルス71による手足口病に伴って急性脳疲等による死亡の報告が、1997年には日本、マレーシアにて、1998年には台湾と国内外から報告されています.
 
ついては、手足口病だからといって軽視することなく、各行政機関においては一般的な予防の呼びかけ、また各医療機関においては、患者の治療及ぴ説明にあたって、十分御留意願います。

手足口病Q&A



Q1手足口病とは

乳幼児・小児によくみられる疾患で、手のひら、足の裏、口の中の発疹と水泡を特徴とします。一般的には、発熱で始まる軽い病気で、ほとんどの人が、1週間から10日程度で自然に治ります。合併症も、ほとんどありませんが、まれに髄膜炎等の中枢神経症状が発生し、入院が必要となります。



Q2手足口病の原因は  

いくつかのウイルスが原因で起きます。一般的なのはコクサキーA16ですが、他のエンテロウイルス77なども原因となります。現れる症状は同じです。



Q3手足口病の症状は

発疹の特徴は、手のひら、足の裏、手や足の指と指の間を中心とした水痘性の発疹(中に水を持った水ぶくれのような小さな発疹で一みずぼうそう見本庖瘡に似ている)で、口の中にも同じような発疹がみられます。病気の始まりのころには、一般的には微熱を伴い、また、軽いのどの痛みとそれによる食欲の低下(おなかはすくが、痛みのため食べられない)程度であることが大半です。発疹は、手足全体、肘や膝、或いは、おしりあたりにみられることもあります。



Q4手足口病の発疹・水痘はどのようなものか


口の発疹は、舌や口の内側の粘膜に軽度の痛みを伴った小さな水泡です。水痘が破れて、潰瘍状になることもあります。一方皮膚の発疹は、手のひらと足の裏に限ってできる小さな赤い発疹で、小水泡を伴うこともあります。かゆみや痛みを伴わないのが普通です。



Q5手足口病の潜伏期間は

感染してから、症状がでるまでの期間は、一般的に3日から6日と報告されています。



Q6手足口病の感染経路は

感染者の鼻やのどからの分泌物や便に排出されるウイルスが、経口・飛沫・接触などの経路により人から人に感染します。



Q7手足口病はどのような人がかかるのか

通常は、10歳以下の乳幼児・小児に発生しますが、大人もかかることがあります。一度かかると免疫が成立しますが、複数のウイルスによって引き起こされますので、免疫の成立しているウイルスとは別のウイルスによって再び引き起こされることがあります。



Q8手足口病の治療法は


特異的な治療法はありません。発熱頭痛、口腔内の潰瘍の痛み等のそれぞれの症状に対する対処療法が中心です。



Q9どのような症状の変化に注意したらよいか


発熱は、通常は軽度で一時的です。突然の高熱或いは微熱でも持続するもの、嘔吐を繰り返すもの、意識状態に変化が見られるものは注意信号です。



QlO手足口病はどこの国で流行しているのか


世界中で発生しています。日本でも、毎年6月第2週目頃から増加し、夏を中心に流行しています。日本では、1995年に大きな流行がありましたが、1997年に は、マレーシアで、1998年には台湾で大きな流行が発生し、死者も報告されています。



Q11手足口病の予防方法は  


有効なワクチンがありません。従って、手洗いの励行、特ににおしめ交換の時に重要す.汚れた衣服は洗濯するといった一般的な注意が必要です。

(常任理事 福田光之)

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