私流 媒酌人挨拶
2003年7月5日
弥高会館
ご指名にあずかりました福田と申します。新婦の◎◎子さんが現在勤務している病棟の診療部長でもあります。
本日はこのようなお目出度い席にお招きいただき,また,お祝いを述べる機会も戴きまして,まことに嬉しく,光栄に存じます。心から御礼申し上げます。
◎◎子さん、○○さん、ご結婚まことにおめでとうございます。
ご両家の皆様方も、さぞやお喜びのことと,謹んでお祝い申し上げます。
◎◎子さんは,中通高等看護学院を卒業し,中通リハビリテーション病院で約5年間過ごされ,平成13年11月に私どもの病棟に異動して参りました。その時以来,仕事上でのおつきあいが生まれました。
私は、病棟の仕事は静かな早朝に済ませることにしております。そのために患者さんが具合が悪くなったときは別ですが,日勤帯で看護師さん方と接する機会はそれほど多くありません。
従って,私が◎◎子さんと言葉を交わしたのは大部分が,彼女の深夜勤務の時であります。深夜勤務の6時半から8時頃の時間は誰にとっても最もつらい時間帯です。そのために,出来るだけ面倒なことは頼まないように,話しかけないように心がけておりますが,ちょっとしたこと,たとえば,「リハビリ訓練の申込書は何処にあるのか?」「あの患者さんの夜間の状態は?」など、どうしても聞かざるを得ないこともあります。
その際の,◎◎子さんの受け答えがとても明るく,はっきりとして,実に素晴らしいのです。嫌な表情は一瞬たりとも見せません。最初の頃は勤務交代後でもあるし,無理しているのかな・・とも思いましたが,何度かそのような受け答えをしているうちに,彼女自身に備わった素晴らしい資質であると理解し,私はすっかり気に入ってしまいました。
何人かの看護師さん方に◎◎子さんの人となりを尋ねましたが,温厚な中にも芯がある方だと言いますし,その丁寧な話し方は,特にご高齢の患者さんから好感を持たれている・・・と申しており,その評価をきいて私もうれしく感じました。
さて,ヒトは他の動物に比べて,極めて未熟な状態で生まれて来ます。呼吸し,乳を吸い,排泄出来るだけ,あとは全く何も出来ません。こんな動物は他にはいません。目も見えず,耳も聞こえません,唯一感覚器として備わって来ているのは皮膚の感覚であります。そのために,触られると確実に喜びを表現します。
何故なんだ,ヒトだけは何故こんなに弱々しく,危険な状態で生まれてくるのか??どうしてこんなに育てるのに手がかかるのかと,私は三人の子を育てながらいつも疑問に思っていました。
◎◎子さんのお父様は獣医さんだと聞いております。こんな私の素朴な疑問には,きちんとした答えがあるのかもしれません。
私もそれなりに答えを見つけました。それは,赤ちゃんは生まれた環境、その社会の中でその子が最大限に可能性を伸ばせるように,白無垢のままで生まれてくるのだ,だからこそ手がかかるのだ,その積み重ねがあってこそ,ヒトになれるのだ,と納得しております。
従って,成長する間の環境が,育て方が,その個人の資質に重大な影響を及ぼすことになります。特に10歳位までのスキンシップ,特に両親から,家族から,環境から受ける影響は大きく,それによって如何様な人間にも変わりうるということであります。だから,子供を育てると言うことは,とても意義のあることであり,一方ではとても怖い事でもあるのだ,という風に感じております。
その点,この様なすてきな娘さんに育て上げられたご両親は、とても素晴らしいお仕事を社会のために為し遂げられたのだと思います。
新郎の○○さんには、今日はじめてお目にかかりますが,地道な努力を怠らない堅実な方と伺っております。お二人は,今後,息の合ったご夫婦になられ、末永く仲むつまじい生活を送られることと、心からお喜び申し上げます。
時間をとって申し訳ありませんが,ここでお二人のために、またご参列されている皆様方のために、大好きな詩を一つ朗読したいと思います。スエーデンのドロシー・ロー・ホルトの「子ども」と言う詩です。
この詩は,何故か,私の心に深く入り込んで忘れることの出来ない詩であります。
5月でしたか,新婦ご本人から本日の席で一言話して欲しいとお話ががあったとき,彼女から感じ取った印象を表す言葉として、この詩を是非読もうときめていたものです。
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批判ばかりされた 子どもは 非難することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは 力にたよることを おぼえる
笑いものにされた 子どもは ものを言わずにいることを おぼえる
皮肉にさらされた 子どもは 鈍い心の もちぬしとなる
しかし、激励をうけた 子どもは 自信を おぼえる
寛容に出会った 子どもは 忍耐をおぼえる
賞賛を受けた 子どもは 評価すること をおぼえる
フェアプレーを経験した 子どもは 公正を おぼえる
友情を知る 子どもは 親切をおぼえる
安心を経験した 子どもは 信頼を おぼえる
可愛がられ 抱きしめられた 子どもは 世の中の愛情を 感じとることを おぼえる
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それでは、お二人の幸多い将来とご両家のご繁栄を祈りまして、お祝いのご挨拶に代えさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
結婚式の祝辞 (2004年2月14日 於 アニヴェルセル ヴィラ ヨコハマ)
ご指名にあずかりました福田と申します。
新婦の◎◎子さんが現在勤務している病院の副院長であり、同時に病棟の診療部長でもあります。
本日はこのようなお目出度い席にお招きいただき,また,お祝いを述べる機会も戴きました。心から御礼申し上げます。
◎◎さん、○○さん、ご結婚まことにおめでとう御座います。
ご両家の皆様方も、さぞやお喜びのことと,謹んでお祝い申し上げます。
私は、新婦の◎◎さんに対して日頃から感じ取っていたことをご披露しながらお祝いを述べさせていただきます。
◎◎さんは,平成11年、◎◎高等看護学院を卒業し,中通総合病院に勤務することとなり内科・呼吸器科病棟に配属となりました。
私は、病棟の仕事は静かな早朝に済ませることにしており、日中は滅多に病棟には参りません。従って,私が病棟スタッフと言葉を交わすのは、大部分が,彼女達が深夜勤務の時であります。
朝6時半頃に病棟に上がりますが、看護師さんは手短に夜間の患者さんの状態や経過の報告をしてくれるわけですが、徹夜勤務中ですので看護師さんの性格などがもろに出ます。◎◎さんの看護師としての実力は十分水準には達していますが、まだまだ経験不足は否めません。これからももっといろいろな経験を積む必要があります。
しかし、それとは別に◎◎さんは受け答えがとても明るく,はっきりとして,礼儀正しく、実に素晴らしいのです。何度かそのような受け答えをしているうちに,彼女自身に何か特別な資質を持っているのでは?と感じておりましたが、最近まで何であるのか分かりませんでした。
ただ、何かの話題のついでに、「私は今日これから盛岡に行くんです。実は毎週のように行っています」・・と話してくれ、その表情からぴんと来るものがありました。実は私は盛岡出身でありまして雄大な岩手山、北上川の清流を毎日眺めて育ちましたし、未だに誇りも愛着もあります。それ以降は盛岡のことを中心に雑談を交わすことも何度かありました。盛岡にも見るべき施設など沢山ありますのでそれらを紹介したのですが、多分、お二人はまだ行っていないのではないかと思います。
さて、機が熟したのでしょう、結婚式の招待状が届き、私は職場の責任者として出席させていただくことになったのですが、◎◎さんには双子のお姉さんがいらっしゃることを聞きました。
私はそのときに◎◎さんに備わった素晴らしい資質は、実は、お母さんの胎内から今日のこの時間までの間、良しにつけ悪しきときもあったでしょう、自分と遺伝子的に全く同じの、もう一人を、あたかも鏡を見るが如くに見続けながら育った結果、すなわち、自分を見つめ直す機会が誰よりも多かったことであり、そのことを通じて自分をより客観的に見ることが出来たから、なのではないか?多分そうだろう・・・と納得できました。
私は血液・免疫等を学び、骨髄移植を手がけた関係で移植医療の立場からも一卵性双生児に対し興味はあるのですが、今はそれ以上に双子の心理的影響について興味を持っております。
ヒトは他の動物に比べて,極めて未熟な状態で、何も出来ない状態で生まれて来ます。従って,成長する間の環境が,育て方が,その個人の資質に重大な影響を及ぼすことになります。特に10歳位までのスキンシップ,特に両親から,家族から,環境から受ける影響は大きく,それによって如何様な人間にも変わりうるということであります。だから,子供を育てると言うことは,とても意義のあることであり,一方ではとても怖い事でもあるのだ,という風に感じております。
その点,この様な素敵な娘さんに育て上げられたご両親は、とても素晴らしいお仕事を社会のために為し遂げられたのだと思います。
新郎の○○さんには、今日はじめてお目にかかりますが,地道な努力を怠らない、明るく、堅実な方と伺っております。お二人は,今後,息の合ったご夫婦になられ、末永く仲むつまじい生活を送られることと、心からお喜び申し上げます。
それでは、お二人の幸多い将来とご両家のご繁栄を祈りまして、お祝いのご挨拶に代えさせていただきます。