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これからの医療の在り方 > 講演集 > 21世紀の医療を守る県民の集い > どうしてもっと良くなるまで、 この病院において貰えないんですか??
秋田県医師会副会長 福 田 光 之 氏
1.はじめに
秋田県医師会副会長の福田です。いま、体験談として示された患者さんの立場、これをどう考えたらいいのか、何が背景にあるのかをご説明いたします。
ただし、日本の保険診療は極めて複雑で、それを約30分でお話しするのは難しいので、内容を単純化した事をお断りいたします。
まず、今日のテーマは「どうしてもっと良くなるまで、この病院において貰えないんですか??」です。これは患者さん方にとって最も切実な問題ですが、この背景についてですが、結論は、すべて「政府の医療費抑制策のため」ということ、ただその一言で説明が可能です。現在「国民・患者・医療機関は厳しい現実」を迎えていますがその状況を解説いたします(図1)。
2.みなさん方は誤解されていませんか
皆さん方は「日本の医療費は値段がとても高い」、「日本の医療は遅れている」、「生命に関わることだから医療費はもっと安く、タダに近くて良いはずだ。生命は地球より思いのだ」、「病院は儲かっているハズだ。建物は立派だし、医師だって良い格好しているじゃないか。職員の給料も高いハズだ」、「医師は権威的で信用できない。全然、患者の立場に立ってくれない」、「病院から患者を追い出すなんてもってのほかだ」、「最近、病院の医師やスタッフはかなりたるんでいる。サービスも悪いし、事故も起きている」ということをお感じになっていませんか。
また、皆さん方は、医療に過度の期待をされていると思います。「キンさん、ギンさんの様にしてください」というのが多くの家族の望みの様ですが、それは出来ません。ある娘さんは「母はまだ97歳ですよ。何で危険なのですか!!入院させたままで100歳までは生かして下さい」と無理難題を求めてきました。
医療不信で、すぐに患者さんと医師の間には対立関係が生じ、最近クレーマーがすごく増えています。
どうしてこんなことが起こるのかと思います。そのルーツは皆さん方の情報源がほとんどマスコミだから、と思います。勿論、自らの体験で情報を得ている方もいないわけではありません。昔は病気のご家族に付き添っておられた方も結構多かったのですが、そのような方々は医療機関の内情をある程度わかっていただけました。いまは完全看護なので付き添っていただくことは出来ません。逆に、2?3ヶ月も患者さんに合いに来ない方もおります。そのような方々は結果だけ、結果だけを論じます。そのためにすぐに病院と対立感情に易いのです。
3.国際的に高い評価の日本の医療
国際的に見ると日本の医療の評価は極めて高いのです。そして、諸外国の人はみんな「なぜ、こんなに安い経費でこれだけよい医療ができているの?」と言います。
ひとつは健康達成度の総合評価です。WHO(世界保健機構)は日本を第1位にしております。ドイツは14位、アメリカ15位です。患者さんをいかに平等に扱っているかについては、日本を第3位、ドイツ20位、アメリカ32位としています。そして、経済的にはどうかということで、GDP(国民総生産)に占める医療費の割合を示します。医療費が一番高いのがアメリカで、ドイツは3位、日本は18位です。
要するに、日本は安い費用で、世界で最高位の医療を行っているという諸外国の評価です。ところが日本人はそう思っていません。そのルーツは、情報がうまく伝わっていないところにあります。
国民皆保険制度をWHOが世界一と評価している理由は、命の価値が平等であることで、お金持ちでも、貧しくても、病院では平等です。医療費が安く、常に最善の治療が選択されることです。お金があってもなくても「骨髄移植をやりましょう」、「心臓手術もやりましょう」となります。これは、諸外国では考えられません。国民皆保険制度は患者さんに義務を負わせていません。受診は自由で、医療機関の選択も自由です。風邪を引いたから大学病院に行くことも不可能ではありません。諸外国ではこんな事は絶対できません。一方、医師は法で応召義務があり、病院は強く統制された経済の中でギリギリの運営を強いられています。
その結果、通院患者数が世界一になりました。そのため混雑して患者さんの不満も世界一になりました。
国民皆保険制度をWHOは世界一と評価していますが、医師や医療関係者にとっては極めて過酷な制度であることがわかっていただけると思います(図2)。
4.マスコミの医療報道の問題点
マスコミの医療報道の姿勢には問題点がたくさんあります。まず、マスコミは社会への影響力が大きいという自覚が欠けているのではないかと思います。マスコミは権力者としての一面も持っています。確かに、マスコミの指摘にとって社会の問題点が改善されて行くこともあるでしょう。
ところが、特に医療面に関しては、ネガティブの論調で取り上げることの方が多いのです。また、マスコミは弱者の味方という仮面で迫ってきますので、医療関係者はいつも追い込まれます。マスコミは政府・厚労省から情報を得ているために、その主張は国と大差ありません。
医師・医療機関に何かがありますとすぐにバッシングを始めます。特に大規模病院、医師会に関しては厳しい論調で迫り国民を煽動します。さらに、残念なことに医療問題については知識が乏しく、その報道は表層的で、その背景にある根本的問題点については報道しないのです。社会への影響力が大きいだけに、医療問題に関しては乏しい知識で語ってほしくありません。
その結果、多くの方は医療問題を誤解されています(図3)。
5.あらゆる根源は日本の低医療費政策
日本国民の医療費は、GDPの中で占めている比率を調べて見ますと、先進諸国30カ国の中で19番目でした。これだけでも日本は医療費を出し渋っていることが分かります。小泉さんはさらに抑制しました。その結果、医療現場ではいろいろな歪みが出てきています。
国家予算は平成13年度約85兆円で、そのうち社会保障費は約2割です。その2割のうちの60%、約10兆円が医療関係に使われます。国は医療にたった10兆円しかお金を出していません(図4)。
国民医療費が30兆円だと言いますが、実際には地方負担、本人保険料、事業主保険料国庫負担がありますから国はそのうちの1/4しかお金を負担していません。それを国が潰れるからもっともっと減らそうとしています。特に、この5年続いた小泉さんの政権では、どんどん減りました(図5)。
小泉さんは、どういうロジックで考えたのでしょうか。平成元年から12年までの医療費の増加傾向を示しました。国は「平成22年、37年には60兆円、140兆円とお金がかかるようになるから、早いうちに抑制しなければならない」という大キャンペーンを行いました。その結果、皆さんの大部分は「国は医療費を抑制しなければ潰れてしまう。だから医療費は抑制されても仕方がない」と思いこんでおられると思います。それは実は間違いでした。実際には平成12年度は30.4兆円と前年を下回りました。厚生省の予測は40兆円でした。この差はすごく大きいのです。このように誤ったデータを使って国民を煽動し、政府は国民を騙していると言ってもいいくらいの嘘でした。しかも、このニュースは多くのマスコミが取りあげて、皆さんの家庭にデータとして届けました。テレビも新聞も同じです。これにより国民の大部分は「これから高齢化も来るし、一層大変になる。国のためには医療費は抑制されても仕方がない」と思ってしまっています。だから、皆さん何も言いません。それが一番の問題点だと思います。
そして、小泉流の三方一両損という論旨があります。本来、三方一両損というのは「患者も、病院も、国も応分に負担しましょう」ということですが、小泉流は「患者さん、医療機関に耐えていただきます。国民も負担していただきます」という三方で、国は負担増をしませんでした。
6.更に一層医療を抑制
小泉政権は低医療費政策を次々と繰り出して来ました。一つはなるべく患者さんが受診しないようにしました。また、病院の在院日数をできるだけ短く制限しました。在院日数の短縮は医療機関の削減につながります。
医療機関には自助努力をもとめ、診療報酬を下ました。更に、患者さんの自己負担を上げ、民間保険や混合診療の導入を図り、最後は病院を株式会社に任せて運営させようとしました。「国は健康に関しては責任を負いません。株式会社でやりなさい」という、とんでもないことを言い出して来ました(図6)。このうちの多くは、何とかみんなで頑張って抑えているのですが、安倍さんも、いまのところ静かですが、そのうちにいろいろ仕掛けてくると思います。
結局、医療費の国庫負担はこの18年間で6%下げられました。昭和55年には30%でしたが、24%に下がっています。その分、国民の負担が40%から45%に増えました。皆さん方の多くは、病院の窓口負担が2割から3割に増えると、病院が儲かると思っているようです。しかし、それは間違いです。病院の窓口負担が増えた分、国から来る分が減るのです。つまり病院も同じ被害者です。
そして平成14年には診療報酬を大きく下げて来ました。ただし小児医療だけは重点評価して報酬を上げました。医師の技術料は1.3%下げ、患者さんで1ヶ月に4回以上来院する方は4回目からは再診料を安くしました。手術件数の足りない病院では、手術料を30%引かれました。その他に、社会的入院を追い出して下さいということで、6ヶ月以上の患者さんの給付の見直しもされました(図7)。
平成16年はもっと激しくなりました。診療報酬を3.16%減らしました。運営困難な状態です。そして小児科、産科、麻酔科、救急などは重点評価としてアップしています。しかし、その分、お年寄りを中心とする慢性期医療の分野が大幅に減らされました。3.16%どころではなく、もっと減らされました。入院の食事は有料になりました。検査費、歯科診療報酬、調剤報酬は減らされ、慢性期のリハビリは日数によってカットされました。そのようなことで何とか額面上でバランスをとったのです(図8)。
その結果、病院はどうなったのでしょうか。確かに1970?80年代は恵まれていた時期です。これは医療が量的拡充期にあったからです。その後、低医療費政策に転じ、1990年頃には存続にギリギリで殆どプラスマイナスゼロ状態、1995年以降はほとんど赤字運営となっています
(図9)。
7.病院は自助努力の限界で青息吐息
今、病院は厳しい経営状態にあります。診療報酬引き下げによって病院の収入が増えませんので、経費削減をしなければなりません。その第一は人件費の抑制です。病院は人件費がかかります。それを抑制しなければなりません。結果として医療レベルが下がることになりますが、なんとか下げないように努力しています。つまり、無理をしています。2000年前後からは病院を維持していくだけで精一杯です。悲鳴が聞こえます。私も悲鳴を上げています。
8.病院の生き残り対策?在院日数の短縮
では、医療機関はどうやって運営するのでしょうか。在院日数を短くするしかないのです。患者さんに早く退院していただかないと病院が運営できなくなります。パンフレットにありますように、分かりやすく「こまち」に例えて説明しますと、秋田から東京まで長距離の運賃は割引などですごく安く設定しているとします。代わりに短距離区間は高くするわけです。だから、乗客を盛岡で降ろし、盛岡で新しく乗客を乗せて仙台に降ろします。同じ座席数であっても「こまち」は長距離の乗客を制限して、短距離客を増やすことによって収益を上げます。病院もほぼ同じ仕組みです。長期入院の患者さんを減らして、短期入院の患者さんを増やすことでしか、医療機関は生き残る術がなくなってきました。さらに、マンパワーをどんどん削減していきます。小児科などを不採算部門として縮小する病院もあります。外来も不採算部門ですので病院から分離して別機関にします。また、IT化を進めて人件費を削減しています。だから、病院では医師が患者さんの顔をろくに見ないで画面を注視しています。ベッドの稼働率を上げて増収を図っています。もうギリギリ状態なのに一層サービスを向上しなければなりません。職員は無理に無理を重ねて、大変な状態で病院を維持しています。それでも青息吐息です(図10)。
これは、わずか2週間ばかり前に発表になったデータです。全病院の72.8%が赤字です。そして平均在院日数は、一般病院、例えば秋田市内で言えば市立、中通、赤十字、組合病院などは12-18日前後です。この日数に皆さんが縛られるわけです。72.8%の病院が赤字になるような医療行政が果たして正しいのでしょうか。一部の放漫経営をした病院が潰れるのは結構です。地域で良い医療を提供している大部分の病院が赤字に喘いでいる医療政策自体の問題点を指摘せざるを得ません(図11)。
9.医療費減額の仕組み
一般病院に対する医療費減額の仕組みです。入院14日以内は1日につき16,430円の給付を国から受けられます。その患者さんが14日を過ぎて30日以内までになると1日2,350円減額となり、14,080円になります。そして3ヶ月おられますと入院当初から12,210円となり、さらに90日を越えると半額近くまで下がります。このように同じ医療・介護をしていても、病院への給付額は減ってきます。このようにギリギリの病院経営の中で、患者さんを長くおきたくても出来ないのです(図12)。
国は耳当たりのいいことを言います。「急性期病院で手術などの重要な治療を受けて、すぐにリハビリ病院に移ってください。リハビリ病院に移って一定の体力がついたら家に帰りましょう。そして診療所にかかりましょう」と言います。しかし、先ほど紹介された文章のように、お年寄りの急性期の患者さんが、どうして1?2週間後に他の病院に移れるのでしょうか。
次のステップとして在宅に移行すると言っても、ご飯も食べれない方がどうやって家で1人で暮らせるのでしょう。このようにイメージは正しいけれども、現実が伴っていません(図13)。
国民医療費30兆円はパチンコ産業と全く同じ額です。道路行政や建設行政は85兆円も使っています。これも少し問題があります。もう十分、建物は建ちました。道路も十分できています。そろそろ国民を健康にしてはいかがでしょうか、と私は言いたいと思います。皆さんもそう言ってほしいと思います。
国民生活に対する世論調査によると、国民が望むことは「医療・福祉・年金の充実」が一番です。「道路を建設して下さい」とは誰も書いていません。国は国民が一番望むことをないがしろにして、どうでもよいことにお金を使っています。この前の道路財源の一般会計化も安倍さんは失敗しています。国は国民が望むことを最優先課題とするべきです。そのためには、国民が声を上げなければならないと強調したいと思います(図14)。
医療費は抑制策を改めてもらわなければ何もできません。いままでの国の医療のやり方では何もできません。多くの病院が赤字であり、技術料はタダ同然です。薄利多売で、医療関係者の過重労働、自己犠牲を始めから強要する政策です。
10.日本の低医療費政策が続けば医療は崩壊する
日本の医療は、医療費抑制策を改めない限り改善はのぞめません。もう諸外国は抑制していません。財源確保として、公共事業の見直し、医療材料価格の見直し、薬剤価格の見直し、たばこ税や道路財源の利用などが上げられます。また、どうしようもなければ場合によっては消費税を上げることも仕方がないかもしれません。国民の健康のためなら、仕方がないかもしれないと考えています(図15)。
先進国の医療費を1980年と現在で比べると、各国共増額しています。イギリスが特に増額幅が大きいのは、医療費をあまり抑制したために医療を駄目にしたので、急に増額しました。先進国の中で医療費を削減したのは日本だけです。これが日本の政府の行っていることです
(図16)。
公共事業費で比較してみます。イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、アメリカの公共事業費に対して、日本は大量のお金を使っています。日本以外の5カ国を全部足しても、日本より少ないのです。このくらい日本は公共事業費を使っていますから、ここから何とかしたいと考えています。
また、日本の医療材料は高過ぎます。ペースメーカーはアメリカの価格の倍、フランスの3倍です。心臓検査のカテーテルは1本20万円もしますが、アメリカでは7?8万です。日本ではこのようなものを高く買わされています。そのようなことで医療費がたくさんかかります。これも何とか諸外国並みに落としたいと考えています。
日本は薬剤費も非常に高いのです。他の国と比べたら医療費の中で薬剤費が占める高さも大変なものです。薬剤費を下げる方法がひとつのアイデアになると思います。このようなことに対応すると医療費は捻出できると思います。
11. 患者の、スタッフの悲鳴
私には患者の、スタッフの悲鳴が聞こえてきます。
まず、患者さんたちの悲鳴が聞こえます。「先生、待ち時間の苦痛も治療してもらえませんか」、「入院後間もなく退院を勧められた」、「話をよく聞いてくれない」、「病状や薬の説明をしてくれなかった」、「職員の態度が冷たかった」、「いつも忙しそうで話しかけられない」。これが患者さん方の代表的な意見です。
次は医療関係者の悲鳴についてお話しします。
「とにかく人手不足で忙しい」、「医師は欧米の5倍の入院患者を担当して、外来では8倍の患者を診察」、「看護婦も欧米の数倍の患者を担当しています」、「医療事故を起こしそうで心配」、「診療報酬が安くて増員する余裕がない」。スタッフは「もうイヤだ!! 明日からもう働かない!!! 病院に行かない!!!」と言って欠勤し、そのままいなくなります(図17)。
「技術料の評価がほとんどない」、「書類、雑用に追われる」。皆さん保険の書類を持ってまいります。それを書くのに数時間かかります。「医師らしい仕事をもっとしたい」「患者・家族からのクレームが毎日来るし、罵詈雑言も浴びせられる」。スタッフは「24時間、365日、私は何でこんな生活をしなければならないの!! 最近、眠れない」と言います(図18)。
皆さん信じられないと思いますが、私は中通総合病院の外来で1週間に約200-250人の患者さんを診察し、入院患者さんも25-30人ほど担当しています。ところが、私の外来、入院診療の経費を単独に計算すると、赤字なのです。
毎日、毎日業務におわれ、疲弊していながら、成果として何も残らない、こんな状況では医療関係者の意欲の維持することも困難です。
1月頃、秋田魁新報に「激務の勤務医、限界を感じ独立。納得できる環境を求めて開業する」という特集記事が掲載されました。このキャンペーン記事はとてもありがたいと思いましたが、やはり私の目から見れば浅いのです。なぜ勤務医が減少していくのか、その背景は何か、これを解決するにはどうすればいいのか、などには言及していません(図19)。
12.絶対的に不足の我が国の医療従事者
アメリカと日本の、300床規模の病院でスタッフを比べた資料を提示します(図20)。ボストンのセント・エリザベス病院は350床で職員の数が2000人です。日本は同規模で200人です。医師は400人に対して、日本は40人です。これほどスタッフが違います。そうすると、スタッフの労働環境の差は自ずから見えてきます。
さらに、日本人は医者にかかり過ぎているとは言いませんが、かなりの受診頻度です。アメリカ、イギリス、フランスでは、国民1人の年間平均受診回数は5回程度です。しかし、日本の国民は20回です。日本の国民が20回受診して、医者と看護師の数が少なければ、結果はたくさん診るしかありません。そして、疲弊するのです。しかも、病院はそれでも赤字です。
このような状態の背景には、医療費が安過ぎることがあります。ニューヨークで虫垂炎を手術すると、1日の入院で250万円かかります。埼玉県では1週間入院させて30万円です。ロンドンでは5日入院して約100万円。日本の医療費がいかに安いかがおわかりいただけると思います。
医師の技術料はアメリカの5分の1以下です。
日本人はよく検査するといわれますが、検査するから日本の医療のレベルが保たれています。検査は多いのですが、検査料は非常に低いのです。
時間が来たのでこれで終わります。本日は論点を単純化するためにリハビリの問題などは説明しませんでした。「どうしてこの病院に置いてもらえないのですか」という問いに対する説明として、すべて政府の医療費削減策のあおりであり、もう病院レベルではどうしようもない段階にまで至っています。
この厳しい現実を改善して行くには国民運動、選挙を通じて国を動かすしか策はありません。このような現実を少しはおわかりいただけましたでしょうか(図21)。
これが私のイントロです。どうもありがとうございました。
(第4回21世紀の医療を守る県民の集い 2007/3/11 で講演)
謝辞:図表は以下より引用しました。感謝申し上げます。
図3,7,9,20 鈴木 厚氏の著作より
図12,16 全国保険医団体連合会配付資料より
福田光之 1945年岩手県生まれ。 新潟大学医学部を卒業後、岩手県立宮古病院、秋田大学医学部第3内科を経て、 医療法人明和会中通総合病院(院長) 秋田県医師会副会長(2007年現在)
所属学会:日本内科学会 (認定医) 日本血液学会 (認定医,指導医)
2001年、私的ウェブサイト「これからの医療の在り方」を開設。医療に関するコラムや、拙い自叙伝、日常のどうでもいいようなことを徒然と書き綴っては一人悦にいっている。忙しくて最近、趣味のヴァイオリンを弾く時間がとれないのが悩み。
著者プロフィール詳細についてはこちら著者近影