献血のお話
血液を用いて患者を治療している医師の一人として
輸血を必要とする病気の筆頭は、なんと言っても白血病などの血液疾患ですが、
事故や手術で大量に出血する時にも欠かせません。私が担当している消化器内科の場合
胃・十二指腸潰瘍、消化管の悪性腫瘍からの出血や食道静脈瘤破裂などによる出血も決して珍しくありません
?に触れがたいほどひどいショック状態で運び込まれる患者もいます。
日常極力輸血をしない方針で治療していますが、このような場合には輸血意外での救命は困難で、直ちに行います
。ショック状態での患者に数箇所からの血管から同時に輸血を行いながら内視鏡で止血を試みることがあります。無事止血できて患者の顔にほんのりと赤みが戻ってきたときは心からほっとします。
かつて輸血用血液は売血制度によって確保されていました。必ずしも健康といえない人からも採血したので、輸血後に急性肝炎が頻繁に生じて、時にはそれが原因で亡くなる患者もいました。
今日では献血制度が確立し、かつ肝炎はウィルスが検査されるようになっていて、輸血後に肝炎にかかることはなくなりました。
患者にとっても輸血を決断する医師にとっても実にありがたいことだと思っています。
県赤十字血液センターの要請で私の時々献血車に乗り、献血にきた人たちの健康をチェックしていますが、そうした人たちの顔が、とても輝いて見えます。
いかにも突っ張っているような話し方をする若者たちも大勢来て、針をさす時などは仲間同士で大騒ぎしたりしますが、根は優しくて明るいのだと教えられます。
献血は薬を服用していなければ、ほとんどの人ができます。病気で苦しむ患者にきれいな血液をあげれらるようさらに多くの人たちに協力してもらいたいと思います
私も献血者に乗るときは献血しています。
1996 9 15 福田二代 (秋田組合総合病院消化器科長