インフォームドコンセント
(説明と同意)  

 新聞の読者の声の欄には、よく医療に対する苦情がのります。そのひとつに病状や治療方法について十分に説明してもらえなかった、ということがあります。どちらかというと不安があって大きな病院を最近訪れた患者さんに多いように思えます。

 自分の病気の原因や進行度、治療の方法や効果、副作用などを早く、詳しく知りたいのは患者さん方の心情として普通なことですし,長い闘病に力となります。しかし、病院の医師は4−5時間ほどの診療時間の間に60-70人、時には100人近くも診察せざるを得ないこともあります。重篤な様子でなければその日は説明もさらっとして、お薬を出しておきますよ、で済さざるを得ない場合も少なくありません。  

 私たち医師もこのような外来に決して満足はして居ませんし、何とかしたいと毎日考えています。しかし、このような事態を改善するためには患者さん方にも考えて頂かなければならないこともあります。患者さん方は待ち時間は出来るだけ短くして欲しいし、診察時間はもっと長くとって欲しいとおっしゃいますが、これを両方満足することは出来ません。これを成り立たせるには、通常はかかり付けの先生に丁寧に診て頂き,特殊な検査や治療が必要になった際に、しかるぺき専門医に紹介して頂き、検査結果や詳しい治療法についてはかかりつけの先生からも説明を受けるという、医療連携を十分に活用することなしに患者さん方の不満を解消することは出来ないと考えています.  

 病気のコンサルタントとして、
なんでも相談できるかかり付け医を見つけておくこと
はとても大事なことです。  医学の進歩は目覚ましく、その恩恵を十分納得して享受するには患者さん側の医学知識が少なすぎる場合が多く、外来診療の間に十分な理解を得ることは不可能に近い。胃潰瘍や胃癌ななどは群しく説明しなくとも大抵解ってもらえますが、C型肝炎のインターフェロン療法を了解してもらうには10分や20分はかかってしまいます。肝臓の場所や役割,細胞や細菌の形、血液の成分や作用などは中字・高校で大体のことは教えられている筈ですが,覚えている人はすくないのです。  公的な医学講座が時々開かれておりますか、月に一回位づつ短時間でも系統だてて聞かれれば、今日一段的になりつつあるインフォームドコンセント(説明と同意)が実のあるもとなると思います。