〜欧州医療事情視察報告〜
ワルシャワ・ダミアナ病院
自由化されてまだ日の浅いポーランドの医療事情に触れ、激動期を乗り越えようと努力している医療者にエールを送りたい。
ワルシャワのダミアナ病院には、大きな会議室がないとのことで、病院長と二人の事務職員の3人の方が、9時には、私達が泊まっているフォーラムホテルまで、わざわざ来てくれて、ホールで1時間近くも説明してくれた。綺麗で(ポーランドの通訳さんは3人とも美人であった)優秀な通訳さんでしたが、医療事情をすべて理解する事はできなかった。それからバスに乗って15分ほど離れた病院にむかった。通った道路は広く、並木の間を色とりどりのかわいい電車が走っていた。最近、世界の都市でクリーンな乗り物として電車が見直されてきているが、貧しいポーランドが遅れている内に、先頭になってしまったようだ。
ダミアナ病院はダミアナ親子が経営するワルシャワに初めてできた私的病院で、建物は1994年に出来、最初は診断を主としたクリニックから始まり、ついで外科さらには産科と入院のできる病院へと発展してきた。医師17人職員150人病床数40床。1日最大外来患者数は400人。昨年の手術件数1700件。ポーランドでは最高のレベルの、広い範囲の医療サービスを提供しようといろいろの工夫をしているようであった。
常勤としては医師が3人のようであったが、17人がほぼ定期的に、検査や手術を時間を区切って行い、他に約200人の医師が特殊な治療や検査のために、細かく時間を区切って、法律の範囲内で(公務員のアルバイト問題がからむのでしょうか)登録されているようでした。このような交渉や登録は大変エネルギーの要る仕事とおもわれますが、事務部門が高い意欲と地位をもってこなしているようでした。ポーランドでは共産党支配時代の官僚主義の流れのためか、事務職の意識程度が高く、特にクラクフの大学病院を案内してくれた人は、病院の経営と国の医療行政とを同一問題と考えているようであった。
ダミアナ病院の平均入院期間は2日間で、眼科手術が多くお産も入院は2日間とのこと。大手術やターミナルケアなどはしていない。回転を早くして、最先端と自負している医療を、多くの人に、(有料で)提供することを使命と考えていることが、院長の話から窺えた。
親日家らしく院長室のかべに日本の風景写真も飾ってあった。クシュシトフ・ウルバニアク院長はよく日本のことを知っているようであったが、一般には知られていないようで、日本にはないような機械と言うので、聞いてみたらMRIのことであった。
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