日本医師会関係


日本医師会代議員会個人質問



第115回日本医師会臨時代議員会個人質問


看護配置入院基本料新設について

 今年4月の診療報酬の改定において,看護配置15:1(旧3:1相当)の入院基本料が一般病棟の最低基準となり,多くの病院で看護師の補充が必要になった.
 また,急性期医療を担う大病院や特定機能病院には,看護配置7:1(旧1.4:1相当)入院基本料が新設された。加えて,看護師の夜勤の評価が入院基本料の算定要件とされた。
 もともと日本の医療機関では看護師の配置数は欧米先進諸外国の医療機関より遙かに少なく、我が国の看護師の労務条件は厳しい。医療機関における看護師配置が増員されるとすれば看護師自体、患者、医師にとっても喜ばしいことである。
 しかし、看護師数が充足していれば歓迎すべきであるが、まだ我が国では看護師数が数万人のレベルで不足している。この看護婦配置の新基準と夜勤評価の導入は看護師不足に拍車をかけ、看護師確保の熾烈な競争が生じるのは明らかである。現に、東京大学は平成19年度に300人もの採用を見込んでおり秋田の養成所にまで勧誘に来ている。
 地元では勤務医不足と共に新卒看護師、若い看護師の不足が危惧され、中小病院、私的医療機関の機能の維持が困難になっていくことが予想されている。
 このように看護師不足のなかでの配置基準の導入、看護師の夜勤の評価の導入は、医療環境の改善ではなく、競争原理による病床減らしに主たる目的があると考えざるを得ない。
 この様に、7:1看護配置入院基本料新設は重大な問題を含んでいると思われるが、この点について日本医師会の対応は不十分と考える。日医の考え方と、今後の対応についてお聞きしたい。


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第109回日本医師会代議員会個人質問
SARS診療に関する質問・要望


 SARSは7月以降終息状態にあるが,流行の終息は季節的要因と、患者や疑い患者の隔離が功を奏したためである.
   ウイルスの性質上,冬期の再流行が危惧されているが,空港の検疫体制では感染早期者を発見することは不可能である。従って,再度どこかでSARSが発生し蔓延した場合,我が国でも感染者が発生することを前提とした,実効的な危機管理対策の構築が必要である。

 SARSにおいて注目すべきはその感染力の強さであり,特に院内感染,医療スタッフへの感染の危険性である。従ってSARSの診療においては患者の早期の「隔離」と「より濃厚に接触せざるを得ない者、特に医療関係者への二次感染予防」の2点が特に重要である。

 上記の視点からみて,厚労省の指針である,一般病院を利用してSARSを診療する方針は論理的にも誤りである。医療機関がとるべき感染対策は多岐にわたるために,一般診療との共存は不可能である。更に,住民,一般患者にも無用な不安を与えうる。その場合の風評による影響はあらゆる方面で甚大となるであろうが,とりわけ医療機関は患者減などのために壊滅的影響を受けかねない。

 SARS関連患者は一般患者と明確に区別した環境の中で集中的に,進めなければならない。

 日本医師会感染症危機管理対策室の対応指針は基本的に厚労省の危機管理対策を踏襲し、かつ、厚労省の補助金の交付等を高く評価しているが、この指針のもとでは、国民を、医療関係者を、会員を、医療機関を守ることは出来ない。

 日本医師会は学術集団として,SARSと言うたぐいまれな疾患の性格を前面に押し出し,諸外国の対応から学び取った教訓をもとにした対応策を国に要求すべきである。

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 秋田県医師会は以下の点を日医に要望致します。日医の見解は如何でしょうか。

●SARSを一般診療と平行して受け入れるとする対策指針は根本的に見直すべきである。

●SARS初期診療および入院治療医療機関は一般病院から分離・独立して設置すべきである.

●厚労省のSARSの対策指針を根本的に見直すよう、要望すべきである。

●大量の感染者が生じた場合の隔離,診療に関しての対策も厚労省に要望すべきである.

●現在の厚労省のSARS診療指針沿って診療した際に医療機関が受ける損失の補填を国に要望すべきである.


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第104回日本医師会代議員会個人質問

第104回日本医師会代議員会において私は個人質問で勤務医会員の立場から以下の2点について行った。


(1)介護保険施行後の一般病床の社会的入院の増加と一般医療への影響

 介護保険が施行され1年が経過したが、施行後、施設介護の希望者が急増している。一方、受け入れ施設が不足しているために、待機患者数が増加している。
 秋田市周辺部における2000/12現在の待機者は特養11施設で422人、老健施設13施設で220人で入所まで3ヶ月程度、療養型医療4施設の待機状況は申し込み後入院まで3-6ヶ月である。
 一方、急性期治療を終了したものの、在宅ケアは困難な患者がこれらの施設に入所を希望しても長期間一般病床で待機しなければならない事態が生じている。結果的に、一般病床の在院日数延長し、空床確保は困難となり、救急医療、急性期医療にも支障が生じている。
(なおこの待機患者の実態は現実の待機患者を正確には現していない。待機時間を可能な限り短縮するために一人で2-3箇所に予約するからである。)

 介護保険施行後の患者の流れを検討され、早期の見直しを提起していただきたい。


(2)病院医療のあり方を検討する部門の強化を求める。

 先に、NHKニュースにおいて「開業医の団体である日本医師会は・・・・」と紹介され驚いた。日医の会員数中の勤務医は最近48%に達したとされるが、日医代議員に勤務医が20名足らず、という現実をみるときそう思われてもやむを得ないかもしれない。

 病院医療の立場から昨今の医療情勢をみると、●在院日数の短縮による診療報酬上の締め付け、●長期入院患者の診療包括化、●受診抑制による患者減と大規模病院外来規制、●施設基準・人員基準の見直し等、次々に施策が行われつつあり、病院経営は厳しさを増してきている。
 また、●(1)として挙げた介護保険の影響、●消費税損税の問題、●医療廃棄物の問題、●卒後研修の必修化等も過小に評価できない問題である。

 これらの施策の前には、基盤整備、診療報酬による対応などが必要であることは論を待たないが、すべて財政的保障はなく、医療機関の自助努力が求められている。

 日医では勤務医委員会、病院問題委員会が一定の活動している。しかし、日医の主張や活動をみるとき、病院医療がかかえる諸問題への対応が乏しいように思われ、勤務医会員としては不満が残る。

 医療の円滑な推進のために、病院問題を扱う部門の強化を図っていただきたい。また、病院四団体との連携を密にし、共に問題解決に当たられたい。


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