秋田県医師会「新型インフルエンザ」対策

秋田県医師会副会長 福田光之

 
日時:平成18年11月24日(金)午後6時30分

報告

 担当より本委員会開催の意義について説明した。今年度の県医師会の活動方針、その中で感染症危機管理部門の方針を提示した。今年度は会員への広報活動を●HIV針刺し事故時の対策、●新型インフルエンザ対策、に絞って行いたいと担当から報告された。

議事

1)委員長選任

2)HIV、AIDSの現況〜針刺し事故時の対応〜

 秋田県よりエイズ拠点病院、診療協力病院に針刺し事故時に迅速に対応するためにHIV診断キットと感染予防薬が配備されている。過去にこの件について医報に掲載したが、既に風化していると考えられる。一方で、針刺し時の感染予防対策も進展が認められる。

 そこで、県医師会感染症等危機管理対策委員会では秋田医報を通じて以下の広報をすることとした。

● STDについて、特に秋田の現状
● 標題について、基本から

 日本国内でのエイズ患者は年間約1,000人発生しており、10年前の約3倍の発生数となっている。今後は更に増加していくだろうと予想されている。エイズ発症者が増え続けているのは先進国として異例のことである。最近ではHAART(highly activeanti-retoroviral thrapy)療法を正しく行えばエイズの発症を効率よく予防することが出来るから、本来ならばエイズは減少するはずである。にもかかわらずエイズが増加していると言うことはHAART療法の恩恵に浴する機会もないままにエイズを発症してしまう患者、即ち、晩期の発見例が多いことを示しており、伝播を防ぐためにも感染者の多くがもっと早く感染の事実を知る事が出来るような体制を作る必要がある。

 

3)新型インフルエンザ対策
 新型インフルエンザは発症が恐れられているが、実際にはまだ全世界で一人も発症していない。しかし、強毒性の鳥インフルエンザウイルスが世界各地で発症しており、鳥と濃厚に接触した場合には人にも感染することもあることが判明した。しかも、ヒトにも感染し、ヒトの体温下で増殖する能力も備えた変異ウイルスの出現も疑われているなど、新型インフルエンザの発現の危険性は刻々と高まりつつあるとみなされている。

 過去に人類を大きく脅かした3回のインフルエンザのパンデミックはいずれも鳥インフルエンザの弱毒株から変異したものであるにもかかわらずあれほどの死者を出したが、いま新型インフルエンザとして予想されているのは強毒型の鳥インフルエンザ株の変異である。だから、新型インフルエンザがどの様な性格を有するウイルスに変異するのか、それによってどの様な事態が生じるのか、予測はいろいろあるが具体的には分かっていない。

 その予防対策は●初期の封じ込め対策、●封じ込めが出来なかった場合の対応、に分けて考える必要がある。

 秋田県では「秋田県新型インフルエンザ対策行動計画」を策定している。これの作成過程には県医師会の立場から感染症等危機管理担当の福田が種々提言して作成したが、あくまでも行政側のマニュアルであり、医療側の具体的なマニュアルはまだ作られていない。

 医療側のマニュアル、秋田県医師会版は本委員会で土台をつくる事とした。
 今回、医報には福田委員が新型インフルエンザ対策の現況、パンデミック時の社会情勢について広報することとした。

秋田県医師会「新型インフルエンザ対策」(2)  〜フェーズ3 までの封じ込め対策中心に

(秋田医報掲載)



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