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このページは秋田県医師会情報誌 すこやかさん in AKITA に掲載した「ミニミニ解説」を抜粋したものです
■「すこやかさん i n Akita」 7号 | 医師会(1) 日本医師会、県医師会、郡市医師会 |
■「すこやかさん i n Akita」 8号 | 医師会(2) 秋田県医師会の活動(1) |
■「すこやかさん i n Akita」 9号 | 医師会(3) 秋田県医師会の活動(2) |
■「すこやかさん i n Akita」10号 | 医師会(4) 医師会の診療情報提供について |
■「すこやかさん i n Akita」11号 | 医師会(5) 秋田県医師会の活動(3) |
■「すこやかさん i n Akita」12号 | 医師会(6) 秋田県医師会のSARS対策(1) |
■「すこやかさん i n Akita」13号 | 医師会(7) 秋田県医師会のSARS対策(2) |
■「すこやかさん i n Akita」14号 | 医師会(8) 医療の質と安全の保証を求めて |
■「すこやかさん i n Akita」15号 | 医師会(9) 主張する医師会 |
■「すこやかさん i n Akita」16号 | 混合診療Q & A |
■「すこやかさん i n Akita」19号 | 医療機関における個人情報保護について |
■「すこやかさん i n Akita」23号 | 秋田県の医療供給体制----きびしい医師不足の現状と課題 |
「すこやかさん i n Akita」7号
ミニミニ解説 医師会(1) 日本医師会、県医師会、郡市医師会
【 歴史 】
大日本医師会が大正5年に発足、初代会長は北里柴三郎でした.大正8年に県や郡市区医師会が作られ、強制加入になりました。
終戦時にGHQにより解散させられ、昭和22年に「任意設立・加入」の新生医師会として再発足しまた。
【 会員の構成 】
日本医師会員は約15万人で、勤務医は48%です.しかし、今でも医師会は開業医のまりと誤解されてます。
【 郡市医師会 】
秋田県には鹿角市鹿角郡、大館市北秋田郡、能代山本郡、男鹿市南秋田郡、秋田市、秋田大学、本荘市由利郡、仙北郡、大曲市、平鹿郡、横手市、湯沢市雄勝郡の12医師会があります.
【 医療モニター 】
秋田県医師会では外部の方々から活動をモニターしていただき意見を聞く医療モニター会議を年3回開催しています.高杉さんはそのメンバーのお一人です.
【 医療倫理・医道の高揚 】
これを県医師会では最重要課題としています.
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「すこやかさん i n Akita」8号
ミニミニ解説 医師会(2) 秋田県医師会の活動(1)
【 秋田県の医療 】
秋田県の実情を考える場合,人口は丁度国の1%ですので,数的には全国の1%を標準的と考えれば理解が容易です.病院数・医療機関数は全国の0.9%,病床数は1.1%,医師数は0.9%,看護師も1.1%で,秋田県の医療は数値上では抜きんでた特色はありません.
【 県医師会の特徴「若さ」 】
秋田県は有数の高齢者県ですが、県医師会の執行部の平均年齢は全国一若いという特徴があります.更に、勤務医の割合も高く(60.1%)、新しい発想を県内や中央に向けていろいろ発信しています.
【 学術的活動 】
医師会は医療の専門職集団ですから学術活動を重視しています.まず、東北6県の医師会が持ち回りで毎年学術大会を開催しています.今年は秋田で9月に行いました.また、診療レベルの向上のために日本医師会や県内の各郡市医師会と協力して医療情報を提供したり、講演会や学習会を開催し会員の生涯学習を支援しています.会員の医学論文の発表のため「秋田県医師会雑誌」を発行しています.多くの医師会員は生涯にわたって勉強し続けています。また、医師会内に「自殺予防対策」「少子化対策」「IT化対策」等のプロジェクトを立ち上げ、種々の提言をしています.
【 広報活動 】
県民向けの広報としては、各郡市医師会と協同して住民との対話集会「医療と健康を考える集い」を年1回開催しています.「すこやかさんin Akita」を年に4回、4万部発行し、TV・ラジオの健康番組を年間200本ほど放送しています。ホームページもあります。これらを通じて正しい医療情報を県民に提供しています。健康や医療に関しての質問や意見も受け付けています。担当者が迅速に回答いたします。会員向け広報活動として「秋田医報」を月2回発行しています。
【 県民の医療や保健・福祉への活動 】
エイズやインフルエンザ、O-157などの感染症などへの対策、乳幼児検診や予防注射等による小児・学校保健対策、働き盛りの方々の健康の管理としての産業保健活動、検診や介護保険対策を中心とした成老人医療福祉活動等、多方面の対策を進めています.その他にも救急や災害医療を検討する部門、炭疽菌事件のような緊急事態に即応する体制などもあります。
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「すこやかさん i n Akita」9号
ミニミニ解説 医師会(3) 秋田県医師会の活動(2)
【 秋田県医師会の会員構成 】
秋田県医師会は現在会員数1500名で、全員が郡市医師会及び秋田大学医師会の会員です.県内の医師数は約2200名ですので加入率は70%弱です.未加入医師の大部分は大学病院や病院に勤務する若手医師ですので、診療所医師、病院医師の中堅以上の大部分が会員と考えて良いと思います.
【 役員はとても多忙、ほぼボランティアです。】
会長を始め県医師会の役員は各地区の医師会から選出された代議員により選挙で選ばれます。任期は2年で、会長1名、副会長2名、常任理事9名、理事9名です.定例の常任理事会、理事会が月各1回開催される他、各役員が業務を分担し、会議等も頻回にこなしています。活動は診療が終了してから夜に行われますので結構大変です.また、役員は秋田県の医療福祉分野を始めとする各種委員会の委員としていろいろ提言しています。日本医師会にも役員、各種委員会委員を派遣しています.
【 県医師会の今年度の活動計画 】
多方面わたる活動が進められていますが、それを大別して一部を紹介します。
第一の柱は、医師会員の生涯教育や研究活動です。少子化や小児・青少年の健康、自殺予防対策等の調査研究活動では貴重な成果を得ています。会員の診療レベルの向上のために学術雑誌も出版していますし、県内各地で講演会等を頻回に行っています.出席率もよく秋田県医師会会員は勉強家が多いと思います。
第二の柱は会員の医道の高揚、医療の安全対策・危機管理体制の構築と普及です。
第三の柱は県民の健康・医療・福祉の向上を図ることです。診療の場や広報活動を介する活動だけでは遂行出来ませんので年に2回秋田県の担当部署と医療行政懇談会を行い、積極的に意見交換を行っています。
【 県民にとっての医師会活動 】
県民のみなさんにとって広報以外の医師会活動はなかなか見えていないと思います。最近の活動の成果の一つを紹介します。高齢者のインフルエンザワクチンは昨年は居住地以外での接種の場合は煩雑な手続きが必要でした。今年は県民は県内どこでも簡単な手続きで受けることが出来るようになりました。これも医師会あっての成果といえます。
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「すこやかさん i n Akita」10号
ミニミニ解説 医師会(4) 医師会の診療情報提供について
(1)カルテなどの診療情報
【 ご遺族の方にも提供いたします 】
最近、各方面で情報の開示が求められ、医師も患者さんに病状などを積極的に説明するようになってきました.それでも、患者さん方の半数以上は医師の説明に不満があるとされます.
この溝を埋めるために、日本医師会は「診療情報の提供に関する指針」を決め、平成13年1月から「患者さん本人」にカルテのコピーなどで診療情報を提供してきました.この指針は、わが国の医療界の意識に大幅な変更を迫るものでしたが、いまでは会員のみならず、医療関係者の間にも広く知られ、診療情報公開の基準の一つになっています。このたび改訂され「後見人」や「ご遺族方」にも情報を提供することにしました。ただし、プライバシー保護のために所定の手続きを要します。
【 最も大切なのは診察時の対話 】
カルテの記載内容は患者さんに関する情報ですので、その提供は良いことです。しかし、カルテにはポイントしか書けませんから、提供されても知りたいことが解るとは限りません。実際には診察の際に交わされる対話の方が遙かに情報量は豊かです.患者さん方も疑問点などを遠慮なさらずに医師に問いかけていただきたいと思います。
(2)国民の健康のためと自分たちのために活動しています
最近の活動の一つを紹介します。政府は昨年医療費を値下げした上に、本年4月からサラリーマンの医療費の窓口負担を2割から3割に増やす決定をしました。これには納得できない点が多々あります。第一に、1割の増額とは支払額が1.5倍になると言うことです。だから患者さん方が受診を控えるようになります。働き盛りの方々が体調が悪くてもなかなか医療を受けられなくなる、これは大問題です。第二に、我が国の医療は最小限の費用で最大限の成果を上げていますが、それだけ医療者側が難儀しているのです。医療を提供する環境がこれ以上厳しくされるのを医師の立場としてもうだまって見ているわけにはいきません。歯科医師会、薬剤師会、看護協会と共同してこの窓口負担増を凍結するよう求めています。
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「すこやかさん i n Akita」11号
医師会は医療・医学を業とする専門家の学術集団です。自由な意志と自覚によって加入する団体で,医道の昂揚,医学・医術の発達普及と公衆衛生の向上を図り,社会福祉を増進することを目的としています。そのために多くの事業を推進しています。秋田県医師会ではこの4月から新年度の活動が始まりました。今年の活動の骨子は(1)会員の生涯教育や研究活動として「少子化」や「自殺予防対策」等の調査研究活動,学術雑誌「秋田県医師会雑誌」の発行、研修会や講演会等の開催(2)会員の医道の高揚、医療の安全対策・危機管理体制の構築と普及,そのための情報提供(3)県民の健康・医療・福祉の向上を図ること、です。
ミニミニ解説 医師会(5) 秋田県医師会の活動(3)
【県医師会の今年度の活動計画】
【医道の昂揚は最重点課題】
会員同士の交流は日々盛んですが,それだけに,ともすれば自己中心的になる側面を持っています。県医師会では医療モニター会議(年三回),倫理委員会(年二回)を開催し医療界以外の方々から医師や医師会活動についての感想や意見,提言をうかがっております。また,報道関係者とも年一回懇談会を設けています。いただいた提言や意見は「秋田医報」を通じて会員に伝達されます。日本医師会では「自浄作用活性化委員会」を設置して会員の意識の啓発に努めるなど,この方面の活動は最近盛んに行われています。私たちも「医師会会員なら安心」と内外に評価されるように活動していきたいと思います。
【県民の健康・医療・福祉を県民の視点で考える】
医療を取り巻く環境はとても厳しく、患者さんの医療費負担が大幅に引き上げられ、一方では診療報酬が引き下げられ、患者さん、医療機関ともに厳しい状態に直面しています。この「医療福祉の後退」「医療の危機」を私たちは医療の専門団体として決して見過ごすことはできません。この「医療福祉の危機」を機会ある毎に患者さん方,県民の方々、国民,政府にアピールし,改善するよう主張していきます。その際、いつも秋田県民の視点で考える姿勢を大切にして行きたいと考えております。
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「すこやかさん i n Akita」12号
ミニミニ解説 医師会(6) 秋田県医師会のSARS対策(1)
【県医師会のSARS対策】
本年3月頃から中国、東南アジアを中心に猛威をふるい、国際的に大問題となったSARSに対し、秋田県では県医師会等と協議して、初期治療を担う13病院、入院治療を担う病院を指定し、診療体制を構築ました。幸い国内で患者発生はなく、国際保健機関(WHO)は7月に制圧宣言を出しました。
何にも解っていないSARS
SARSコロナウイルスの動物からヒトへの感染の詳細は未だに不明ですし、感染の迅速診断法、確定診断法、ワクチン開発もまだ不十分です。
コロナウイルスは冬場に活動しますので、SARSは今冬が正念場です。秋から冬にかけてどこかで感染者が再発生し、ひとたび国内で発症した場合には国を挙げての対策で蔓延を阻止しなければなりません。
より進んだSARS対策を県医師会は提起しています。
県医師会では行政と一体となってより進んだ診療体制を構築します。県や秋田市、厚労省に対し、今冬に向けてより進んだ診療体制の構築を提起しています。
県民のみなさんには冷静な行動を期待しています。
「あなたの冷静な行動は、県民を、日本を救います」は県医師会が作成した号外のキャッチフレーズです。冷静な行動は正確な知識の蓄積から生まれます。県民の皆様方は今のうちにSARSについて十分勉強しておいてください。更に、SARSとインフルエンザの区別は困難です。秋口にはインフルエンザの予防接種を是非受けて下さい。
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「すこやかさん i n Akita」13号
ミニミニ解説 医師会(7) 秋田県医師会のSARS対策(2)
【 今冬、SARSはどうなる? 】
この冬、SARSが世界の何処かで発症する可能性は50%ほどと言われていますが、世界中が対策を知っていますので、春のように蔓延することはないでしょう。日本で、秋田県でSARSが突然発症する可能性はまずありません。
【 SARS対策は進んでいます 】
SARSコロナウイルスの詳細はまだ不明ですし、ワクチンの開発はまだ先のことです。迅速診断方法は間もなく実用化しそうです。県では県医師会等と協議して、万が一のためにSARSの初期治療、入院治療の診療体制を構築しています。
【 冷静な行動を期待しています 】
「あなたの冷静な行動は、県民を、日本を救います」は今春に県医師会が作成した号外のキャッチフレーズです。冷静な行動は正確な知識の蓄積から生まれます。SARSとインフルエンザの区別は難しいのでインフルエンザに罹らないように予防接種を是非受けて下さい。
【 医療の質と安全の保証について 】
医療の質を一定水準以上に維持すること、医療を安全に行うことは、医師を始め医療関係者に特段の努力が求められるのは当然です。県医師会では医師の生涯教育と医療の安全性の確保も重点課題の一つにしています。
医師には、日常的な診療活動に必要な知識や技能の保持はもとより、専門分野のみならず、医学・医療全般にわたるの知見や技術の修得が必要です。また、医療における諸制度の改定に伴う手続き方法や、医療の今日的な概念の学習などについて、診療していく限り継続的に学習していかなければなりません。実際に、多くの医師は各分野の学会に参加し、認定医・専門医の資格を取っています。また、医療関係団体などが実施する様々な研修会や講習会を受講しています。日本医師会は昭和62年に生涯教育制度を発足させ、自主的で効果的な自己研修の継続を支援しています。県医師会では生涯教育カリキュラムなどに基づいて生涯教育講座を実施していますし、独自の研修会も頻回に開催しています。
医療の安全確保に関して昨年日本医師会が行った調査では、医療機関を安全だと考えている患者さんは57%、一般国民は48%、医師ですら61%と言う結果でした。これは大変な結果です。早急に何とかにしなければなりません。県医師会では昨年度から「医療の安全に関する委員会」を新設し、問題となった一つ一つの事例について多方面からの検討を行い、その情報を会員に伝達し、医療の安全性の確保と信頼関係の構築につとめています。勿論、この分野の研修会も開催しています。今まではあまり語られて来なかったことですが、医療とは「大きなリスクを回避するため」に小さなリスクを与えるものですし、どうしても不確実な部分もあります。従って、100%安全と言うことは有り得ませんが、より近づける事は出来ます。この状況を理解していただき、安全確保のために患者さん方にも参加していただく必要があります。
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「すこやかさん i n Akita」14号
ミニミニ解説 医師会(8) 医療の質と安全の保証を求めて
医療の質を一定水準似上に撲持すること、医療を安全に行うことは、医師をはじめ医療関係者に特段の努力が求められるのは当然です。県医師会では、医師の生涯教育と医療の安全性の確保も重点課題の一つにしています。
医師には、日常的な珍療活動に必要な知覆や技能の維持はもとより、専門分野のみならず、医学・医療全般にわたる知識や技術の修得が必要です。また、医療における諸制度の改定に伴う手続き方法や、医療の今日的な概念の学習などについて、診療していく限り継続的に学習していかなければなりません。
実際に、多くの医師は各分野の学会に参加し、認定医・専門医の資格を取っています。また、医療間係団体などが実施する様々な研修会や講習会を受講しています。日本医師会は昭和62年に生涯教育制度を発足させ、自主的で効果的な自己研修の継続を支援しています。県医師会では生潅教育カリキュラムなどに基づいて生涯教育講座を実施していますし、独自の研修会も頻回に開催しています。
医療の安全確保に関して昨年日本医師会が行った調査では、「医療機関を安全だ」と考えている患者さんは57%、一般国民は48%、医師ですら61%と言う結果でした。これは大変な結果です。早急に何とかしなければなりません。
県医師会では、昨年度から「医療の安全に関する委員会」を新設し、問題となった事例について多方面から検討を行い、情報を会員に伝達し、医療の安全性の確保と信頼関係の構築に努めています。もちろん、この分野の研修会も開催しています。
今まであまり語られてこなかったことですが、医療とは「大きなリスクを回避するために、小さなリスクを与えるもの」ですし、どうしても不確実な部分もあります。従って、100%安全と言うことはあリえませんが、より近づけることは出来ます。この状況を理解していただき、安全確保のために患者さん方にも参加していただく必要があります。
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「すこやかさん i n Akita」15号
【 医師は何故医師会に加入するのか 】
国民の健康を守るのは国の責務です。医師の最大の務めは患者さんの病気を治療することですが、公衆衛生活動等を通じて住民の健康を守る使命があります.しかし、医師個人の力には限界があります。医師同志が互いに結束し協力し合うことによって、地域住民の健康を守ること,患者さんに良い医療を提供すること,臨床医としての希望や夢を実現すること、自らの生活を守ること、などがはじめて可能になります。だから、医師は医師会に加入するのです。
【 医師会は何故主張し活動するのか 】
医療は社会的,経済的状況の影響をもろに受けます。近年、景気の低迷や高齢化のために、医療費は抑制され、患者さん方の窓口における自己負担はだんだん高額になっています。そのため、具合が悪くなっても受診をひかえ、病気が悪くなってから受診する患者さんも増えてきています。医師の診療上での自由度も一層狭められ、やりたい治療が出来なくなっています。国はわが国の医療を競争原理に立つ米国型の制度に近づけようとしており、株式会社による病院経営や、保険診療とは別枠の自費による混合診療の導入も検討しています.このままでは医療関係者と患者さんとで長年培ってきた、良い人間関係を背景にした、納得のいく医療の提供が困難になります。
だから、良い医療環境を守るために医師会は活動するのです。医師の仕事場は診察室だけではないのです。
【 医師会活動のキーワードは 】
県医師会は県の関係部門と協力しあって県民の健康を守る活動もしています。県民の皆さんに具体的に見える活動としては学校検診、予防注射、産業医活動、看護師養成などなど沢山あります。この「すこやかさんin Akita」をはじめ、ラジオやテレビ、ホームページ等を通じた広報活動も重視しています。県医師会活動のキーワードは「県民の健康を守る」「良い医療の提供」です。
(次回からは私たちの主張を解りやすく解説します)
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「すこやかさん i n Akita」16号
ミニミニ解説 混合診療Q & A
今話題になっている「混合診療」って何ですか?
日本の健康保険制度がまだ未発達の頃、患者さんの家族から、「保険の利かない薬を使ってでも何とか治して下さい!!」とよく言われたものです。当時は健康保険の利かない治療法も随分ありましたから、この様な切実な声が聞かれたのです。
「混合診療」とは、解りやすく言えば、この様に「健康保険による医療」に「健康保険範囲外の自費負担部分」を上乗せして受ける医療のことを言うのです。
と言うことは、要するに「保険診療」はレベルが低いのですか?
いいえ、そんなことはありません。日本の健康保険制度は今では十分に発達していて国民の医療に必要な部分は十分にカバー出来ています。
そうは言っても保険診療の枠は決められていますので、この枠から外れる疾病をを持つ患者さん方からは「混合診療」の希望は常に出されています。この意見は常に傾聴し、解消していくように努めなければなりません。
しかし、今話題となっている「混合診療」は医療を受ける患者さん方からの希望でなく、政府や経済界から出されている事実に注目していただきたいのです。
彼らの言う「混合診療」の目的は良い医療の提供ではなく、自己負担分の医療を増やして医療費の国庫負担や企業の健康保険料の負担を軽減していくことの方に主たる目的があります。
だから「混合診療」を導入することは国民の医療費の負担を増やすことと同じと考えるべきなのです。
今は「混合診療」が認められていないのですか?
認められていません。健康保険で診ることができる診療の内容及びその価格は厚生労働大臣が決めています。そして、もし「健康保険の範囲を超えた診療」が併せて行われた場合、その部分の診療費を患者さんに請求することを禁止しています。 もし、患者さんから費用を別途徴収するとすれば、その診療は全てが「自由診療」扱いとなり全額患者さんの負担となります。
これは国民皆保険を発展させ、堅持するためのルールなのです。
差額ベッド費用などと同じ考え方で自費診療費部分を上乗せ出来るようにすれば、患者さんはより良い医療が受けられるのではありませんか?
差額ベッド費用は、診療費ではありませんので「混合診療」論議とは全く別物と考えてください。
患者さんの選択・納得による自費分診療の上乗せによる「混合診療」は、より理想に近い制度にみえるかもしれませんが、今議論されている「混合診療」には、いくつかの重大な問題が隠されています。
政府や経済界人は、混合診療の導入によって、より一層良質で、高度の医療を提供出来る、と言っていますが、目的が医療費の削減ですから何れ保険の給付範囲を狭めて来るでしょう。今健康保険で診ている医療、例えば「感冒」「急性胃腸炎」などの、誰でも罹るような当たり前の病気を「保険外」とする考え方も真剣に論議されています。そうなると国民の大部分の方々が大きな影響を受けることになります。
「混合診療」が導入された場合、保険外診療の費用は患者さんの自己負担となります。支払い能力の有無で受けられる医療のレベルに差が生じます。医療を受ける権利は憲法で平等に保証されている基本的人権です。「混合診療」の導入は、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることにつながります。
だから「混合診療」を導入することは国民の基本的人権の侵害とも言えるのです。
保険で認められていない薬が安全で有効なら、自費でも使用を認めるほうが患者さんにとってよいのではありませんか?
安全で有効である薬、治療法ならば、健康保険で使えるようにすれば、すべての患者さんが平等にその恩恵を被ることができます。これが国民皆保険の基本的な理念です。
だから「混合診療」を導入することはわが国の保険診療の理念を崩壊につながります。
上記のような視点から、医師会では「混合診療」の導入に反対しているのです。
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「すこやかさん i n Akita」19号
ミニミニ解説 医療機関における個人情報保護について
はじめに
近年、コンピューターの発達と通信の発達によって、大量の情報を瞬時に諸外国に送ったり、求めたりすることが可能になりました。とても便利で良い時代になったものです。しかし、それだけに、国際的に共通に通用するレベルの情報管理の基準が各国に必要になってきました。一方、コンピューターの不適切な管理や使用等で「個人情報の大量流出」事件が方々で発生しています。秋田県でも何件かの事件が生じています。この様な事故を防止するために、国際的には「OECDの8原則」と言われる規範が作られ、我が国でもそれに則って「個人情報保護法」が作られ、本年4月1日から施行されました。
どんな法律か
この法律は簡単にいえば「各種の情報の利用は社会的に見て大きな利益なので、個人の権利や利益を守りながら、有効に活用しよう」という前向きの趣旨で作られたものです。ここで言う個人情報とは、特定の個人を識別出来るような、名前、生年月日、住所、電話番号とかが付いたままの情報のことを指します。
この法律は医療機関を含め5000件以上の個人情報を扱う事業所や個人に適応されます。従って、ほぼ全ての医療機関はこの法律の適応を受けることになります。医療機関は特に患者さん方の重要な個人情報を扱っています。そのために診療所でも病院でも、この法律を守るためにいろいろ準備を重ねています。
秘匿義務がいっそう強まった
もともと医療機関、医師には患者さんから得た情報は外に漏らしてはならない、と義務づけられていましたが、この法律によって一層厳しくなりました。そのために、医師や看護師だけでなく、全ての従業員は勿論のこと、取引業者の方々に対しても個人情報の保護の面で監督しなければならなくなりました。
一方、医療機関は国民や県民の健康状態の調査や未知の感染症等の蔓延防止のためには患者さんから得た情報を提供しなければなりません。その様な場合であってもどの患者さんから得た情報であるか、外部の方には一切解らないような形にしてから提供することになります。
その他、医療機関に義務づけられた対策として、
●情報の利用目的をはっきりと決めて、患者さんに通知する、
●情報の確認を希望する患者さん本人には情報を開示し、間違いがあれば訂正する、
●個人情報の収集や保存、第三者への提供等に関する苦情を処理する体制を整備する、ことです。
患者さん方にとってこの法律の意義
この法律が施行されたからと言って、患者さんの方で変えなければならないことは特にありません。
ただ、医療機関の待合室等にはこの法律に沿って、「お知らせ:患者さんの個人情報の保護について」「当院における個人情報の利用目的」と書いてあるポスターが張り出されているはずです。その末尾には「上記に関して、同意しがたいことがある患者さんはその旨をお申し出下さい。お申し出がないものについては同意戴いたものとして取り扱わせて戴きます」とあります。医療機関側では、患者さん方は既にこれらをお読み戴き、記載内容に同意戴いた上で受診しているものとものとみなします。ですから、みなさん方は受診した際に、一度は必ず目を通しておいて下さい。
診察の時に「貴方の病気について、ご家族のどなたに説明すればいいのでしょうか?」と思いもしなかった質問を受けちょっと戸惑う様なこともあるかも知れません。これは、例えご家族の方にであっても患者さん本人の許しがない方には原則として病気について説明出来ないからです。
もう一つ、患者さん本人は自分の情報を確認して、誤りがあれば訂正を求めることが出来ます。そのために自分の情報の開示を医療機関に求めることが出来ます。そのための相談窓口や書類も用意されています。
このことも含めて、お解りにならないことがあったら医療機関や県医師会にお問い合わせ下さい。
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「すこやかさん i n Akita」23号
秋田県の医療供給体制----きびしい医師不足の現状と課題
広大な面積、少ない医師数
本県は総面積で全国で6番目の広さです。病床数は全国平均より多く、医数は少ないのです。その上、医療機関も医師も秋田市周辺に集中しています。このことが秋田県の医療供給体制の問題の源です。県北・県南における医療供給体制は不十分で、病院の診療機能維持も困難になりつつあります。
県内には813の診療所と78の病院があり、設立母体別病院は国立大学1、独立行政法人2、県市町立15、赤十字1、厚生連9、民間病院が50です。総病床数は約1万7000床です。秋田市周辺以外の地区の医療は、市町村立、厚生連、民間の病院および診療所が担っています。
人口比率の医師の数は全国で34番目
医師数は2,100人で、人ロ10万人あたり180人で全国平均200人に比べて少なく、都道府県順位では第34位です。病院勤務医は約70%、診療所医が30%で、医師の約半数が秋田市周辺に集中し、ここでは人ロ10万人あたりの医師は250人と多いのですが、秋大を除けば173人です。医師が少ないのは湯沢雄勝地区の104人、次いで鷹巣阿仁地区、大曲仙北の約120人となっています。
医師の充足率は県全体では112%ですが、秋田市周辺を除く地域では慢性的な医師不足です。特に鷹巣・阿仁医療圏は76.2%と低く、地域的偏在が著しいのです。診療科別では小児科、精神科、麻酔科、産婦人科医が不足し、診療を縮小している病院もあります。
地域格差が大きく、医師の勤務は多忙
地域の中核病院は24時間救急対応を行っていますが、医師は日常業務も多忙な上、日当直回数も多く、長時間勤務で疲弊状態にあります。心身の限界のため開業医に転向する医師が増え、病院医師は減少する一方です。診療所医師は平成4年から13年間連続で増加しています。
この様に、秋田県民への医療供給体制には地域格差が大きく、県民も医師も医療機関も大変な状況にあります。解決には困難な点が多く、行政の関与も必要です。秋田県は県民の医療を守るために、関係機関と協議の上、実現可能な対策から早急に実行に移す必要があります。
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