勤務医の加入率は医師会を映す鏡

1月15日号、本号と医報編集委員会企画の座談会「勤務医にとって医師会とは」が掲載されている。これは先月上旬に行った座談会の記録である。会は終始和やかな雰囲気で進んだが、出席者の活発な意見を司会者としてまとめるのに難渋した。
従来の医報の座談会記録を改めて見直すと、個々の発言は数行から10数行と短い。今回は各人が日頃思っているであろう心情を一気に吐露してくれたため、記録してみると1ページにもわたる長い発言が目立った。
勤務医の医師会に対する感想は、

1)医師会には病院の都合で入会(させられた)。日常は会員であることを全く意識もしていないし、活動にも殆ど関与していない。
2)医報はあまり読まないが、巻末の催しもの情報、感染症情報などは役立つ。
3)勤務医にとって医師会へ加入することの具体的なメリットは全くない。
4)行政に発言力を持つ団体は医師会のみだとすれば、日本の医療、地域の医療をよくするために、勤務医としても参加はやぶさかではない。
5)会員が意見を述べる場が少ないなど組織上問題がある。
6)それにしても会費が高い。法人会員の新設とか若い勤務医が加入し易い会費体系が欲しい・・と集約できると思われた。

勤務医としては
1)概して多忙。
2)今の所開業の予定はない。
3)公的病院にはそれなりの悩みが付きまとう。私的病院には厳しさもあるが、自由な発想が実現できる有利な点があり、それが喜びである、

などと語り充実した仕事ぶりがうかがえた。
問題ある発言もあった。会員にとって腹に据えかねる部分もあったかもしれないが、この記事が新たな討論や企画の発端になれば良いと思う。
編集委員会のメンバーは先輩面して討論に参加していたが、会員としてのスタートは、今回出席頂いた勤務医と全く変わることがなかった。ただ、何かの活動を機会に医師会の意義や重要性を理解し、自らの判断で活動するようになっただけの違いである。
医師会は会員を会員として育てていくような機構を持つ必要がある。
医師が医師会に参加することの最大のメリットは、医師としての社会的責任を医師会活動を通じて地域に還元出来ること、流動する医療行政に対して医療の現場を担っている立場から、情報や意見を郡市医師会、県医、日医を通じて医療行政にまで発信出来るところにあるのではないだろうか、と私は思う。この立場からは開業医、勤務医の別はなく、老若男女の別もあり得ない。医師は全員医師会員になりうる。勤務医の加入率は医師会に対する期待と現実との差を示しているのでなかろうか。
勤務医がこぞって参加したいと思う様な医師会にしていく必要がある。