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マスクの効能
感染予防、咳エチケット、表情隠しなど
再びインフルエンザが蔓延する季節を迎えた。街中にはマスク姿の通行人が増えてきた。多くの方々はマスクに感染防御効果があると信じているようである。TVなどの健康番組でも感染予防にマスク!!!マスク!!!と言っている。 市販されている不織布を用いたマスク、医療機関や高齢者施設などで汎用されているサージカルマスク、これも不織布で出来ているが、よほどうまく装着しなければ感染予防効果はほとんど期待できない。感染症病棟で用いられるN95マスクは感染防御効果は抜群であるが、一般の方々が用いるものではない。 ここではインフルエンザ感染予防に関してマスクの効能について解説する。 (1)東京、大阪 目立つマスク姿 私はヘッドフォン (2)インフルエンザ マスクに効用はあるのか?(1) (3)インフルエンザ 一般のマスクの感染防御能は期待薄(2) (4)インフルエンザ 「うがい」に感染予防効果はあるのか? (5)「目は口ほどに物を言う」(2)マスクの看護師達の目 (6)ブタインフルエンザ(14)マスクの効用(1)人混みを避けるのが一番 (7)ブタインフルエンザ(15)マスクの効用(2)咳エチケットは分煙よりも重要 (8)ものぐさ(1)マスクの効用 ものぐさの私に都合が良い小道具だ (9)表情を10隠すためのマスク着用(1) まずい風潮だ (10)まずい!! マスクが無精ヒゲで浮き上がる (11)マスクの効能(1)私も癖になって手放せない (12)マスクの効能(2)マスク美人、目元美人 知らない人ほどきれいに見える |
(1)050411東京、大阪 目立つマスク姿 私はヘッドフォン
(2005年04月11日)
(2)インフルエンザ マスクに効用はあるのか?(1)
秋田は未だ平穏であるが、全国的にインフルエンザが流行し始めた。過去20年間の中では最も早い流行である。インフルエンザは毎年1000万人ほどが感染し、高齢者や乳幼児を中心に1万人も死亡する病気であるが、その恐ろしさは一般に知られているとは言えない。
インフルエンザは例年1-3月に流行のピークが来る。厚労省の発生状況では、今年の発生は例年より数週間早く、北海道を中心に、関東、関西などで増えている。患者は5-9歳が圧倒的に多く学級閉鎖もすでに300校とのことである。今期は大部分が「Aソ連型」で、この型はこの数年間国内で流行していないから小さな子供たちは免疫がない。このことと流行状況は一致している。流行が早期に始まると年末年始の国民大移動を機に全国的に一気に蔓延する可能性がある。
私は毎年この時期になると県医師会の感染症担当の立場から地方のマスコミから取材を受け、新聞やTVに登場するが、私もいい年なのでもう止めにして若手に道を譲らねばと考えている。
その際、必ず話題にするのが「うがい」、「手洗い」、「マスク」、「予防接種」である。特に最近は「咳エチケット」としてのキャンペーンもありマスクの着用が推奨されている。私もマスク着用を推奨しているが、通常手に入れられるレベルの市販のマスクはウイルスの捕獲率が表示されているよりも低いとのデータもあり、感染防御に対して効果はあまり期待出来ないが、感染を広げない意味では効能は大きいから是非着用を、と説明している。
インフルエンザは咳やクシャミでウイルスがまき散らされ、それを吸引したり、手に付着したウイルスを鼻や口に運ぶことで感染する。だから、流行期に感染を受けない、広めないためには人混みを避けることが一番であるが、現代社会ではまず不可能なことである。だから、次善の策としてマスク着用が登場する事になる。
私はインフルエンザと関係なく、咳やクシャミで飛び散る唾液、鼻汁等の飛沫の飛散範囲をいろいろな工夫で狭めることは他人への配慮として常識的なことだと思っている。突発的に出そうになったならば、口を手で覆うのも良い、タオルやハンカチで覆うのも良い、何でも良いが無防備のまま撒き散らさないで欲しい。ゾッとするほど不潔な行為である。咳やクシャミが頻回にでるならマスク着用である。手で覆ったら当然手洗いが必要である。これも常識的なことである。
(2007年12月10日)
(3)インフルエンザ 一般のマスクの感染防御能は期待薄(2)
マスクの効用の第一はクシャミや咳の際の体液の飛散を防止することで、この効果は大きい。咳やクシャミが頻回にでるなら「インフルエンザ」の流行とかに関連無くマスクを着用すべきである。
第二の期待は感染防御の効用であるが、これはマスクの種類によって千差万別である。
通常の市販品のマスクはウイルス、花粉を99%カットすると製品の説明書には記載されているが、WHOが推奨するフィルター効率検出装置によると、76nmのNaClを20分間吹き付けた実験的捕集効率は30-80%だったという。医療機関で多く用いられている薄い紙3層からなるサージカルマスクは40-50%と共に機能的に今ひとつである(林ほか、臨床と研究83;1807-1812)。この実験はフィルター能力だけを見ているので実際に装着した際に鼻や口の脇から出入りする呼気の量も勘案して考えると、感染防御は殆ど期待できない、と言うことになろう。
一方、かつてSARSで話題になった防塵用のN95マスクは実験的捕集効率99%以上で満足すべき結果だったという(林ほか、上記)。実際、SARSに関する感染防御の解析の中でマスク、手袋、ガウン、手洗いの効果を多変量解析すると、マスク着用が唯一の有効な感染防御数段であったと抽出された(Seito,W,H et al N Engl J Med,361:1519-1520,2003)。
このことから真にマスクで防御を図ろうとすればN95マスクと言うことになるが、このマスクは上手に装着すると密着性が高いために息苦しさを感じるし、顔面に密着させるためにゴムバンドもきつい。だから、長時間つけていると顔面痛、頭痛が生じてくる。私は今この文章を手持ちのN95マスクを着けて記載しているが、30分ほど経った今、痛くて、息苦しくて外したくなっている。
「インフルエンザ」の場合は成人は多くのウイルス型に若干の免疫を有しているし、ワクチンもある。治療薬もある。しかし、「新型インフルエンザ」の場合、前二者は共に期待できない。患者の隔離も不可能と言っていい。だから、N95レベルのマスクが最後の砦となるので、備蓄すべしと唱えている感染症専門家もいる。ただし、安くはない。備蓄費用は数億円にもなる。
(2007年12月12日)
(4)インフルエンザ 「うがい」に感染予防効果はあるのか?
インフルエンザの予防で必ず話題にするのが「うがい」、「手洗い」、「マスク」、「予防接種」である。このうちで「うがい」は幼児期の教育もあって広く普及しているものの、新にそれに価値があるのか、詳細に検討された文献を私はしらない。
咽頭や扁桃付近の粘膜下にはリンパ組織が発達し、免疫応答細胞が集合している。さらに、咽頭粘膜には感染防御に役立つ粘液が分泌され外から侵入してくる細菌やウイルスが容易に粘膜細胞や体内に侵入してくるのをガードしているハズである。「うがい」、特にヨード製剤等の薬品を用いた場合にこの自然のガード粘液を過度に洗い流したり、粘膜を傷つけたりして逆効果にならないのだろうかと心配している。また、粘膜表面に付着したインフルエンザウイルスは短時間で咽頭粘膜に侵入するとされることから、外出から帰ったらまず「うがい」というのはもう遅いのではなかろうか。また、「うがい」が有効な範囲は狭いだろうし、どれだけの洗浄力があるのかも分からないし、やり方によっても差が大きいと思う。
だから、私はあまり「うがい」に感染防御への効果を期待しているわけではない。しかし、私も「うがい」は勧めている。
それは、健康を守るための一般的な衛生思想の一つとしての位置づけが確立していると考えられることで、これを否定する根拠も持っていないからである。
一方、特に冬期間は空気が乾燥し、咽頭粘膜も容易に乾燥する。この場合、咽頭粘膜の分泌液は不足し、細胞の線毛運動も減弱し、一層感染しやすくなるとも言われている。だから、乾燥を防ぐという意味での「うがい」には一定の感染防御の価値はあると考えられる。だから勧めているが、あまり神経質になってやり過ぎるのは良くない、逆効果だと説明している。また、薬品は不要、水道水で十分だよ、と言っている。
私自身は「うがい」が下手であり嫌なので滅多にしない。ただ、頻回にお茶を飲む。お茶が通過する範囲は私の下手な「うがい」より広いはずだし、咽頭の乾燥は予防できるし、付着しているであろう病原体などはお茶と共に胃に流される。インフルエンザや風邪の原因となるウイルスは胃の中では不活性化されるはずである。だから、この季節、患者指導や講演では「うがい」を勧めているが、私自身はお茶である。
お茶や紅茶でうがいを勧めている方々もいるが、実に勿体ない。お茶は飲んで楽しむものなのだ。
(2007年12月13日)
(5)「目は口ほどに物を言う」(2) マスクの看護師達の目
顔は人を表す。個々人の識別は通常は顔の個性で判断する。それだけでなく顔つき、目つきで人柄までがよくわかる。顔の表情を通してその人の表から裏まで、すべてではないとしてもかなりの部分が透けて見える。
私が担当する外来に通院される患者は身体的にはあまり問題なく元気な方々である。だから、聴打診の意義は大きくないから通常は省略する。その代わりとして診察で最も重視しているのは視診、聴診である。聴診と言っても対象は患者の声のトーンであり、会話の内容、話すときの表情である。
患者が診察室に入ってくる時に私は大概その患者の情報画面を出すためにディスプレイを見ているが、それでも患者は見えるから動作が不自然でないかをチェックする。座った後には「どうですか?調子は・・」等と声をかけながら、あるいは血圧を測りながら顔、特に目の表情の変化をじっくり診る。顔と目から得られる情報は、重要な診断、判断の手がかりになるからである。
表情の変化から、この間に何かがあったのではないかなど、かなりのことが推定できる。顔の観察で大事なのは、表情筋の動きである。顔がむくむと、表情筋の緊張や力強さが打ち消され、表情の乏しい能面になる。うつ状態とか、神経疾患などでは顔の表情が著しく失われるのは当然であるが、疲労状態でも同じ表情に近くなる。本人が認識していようとしていなくとも、顔が勝手に心にある何かの葛藤を表現し、訴えている、ことも少なくない。
更に重要なのは目の表情である。目によって、すなわち目つきによって顔の印象だけでなく、人物としての様相ががらりと変わる。両目の輝き、鋭さなどさまざまの要素があり、よく人物の実体を表している。昔から「目は口ほどに物を言う」とされているが、私の日常の業務の中で顔つき、目つきの観察は重要な診療行為の一つとなっている。
私は顔についている部品の一つとして見れば、目、特に女性の目ほど美しいものはない、と思っているからそれを楽しんでいる、と言っていいかもしれない。付け加えて言えば暗い中で散瞳したネコの目も限りなく美しい、と思う。この程度の邪心?を持ちながらの診療は許されていいだろう。
(2008年01月20日)
(6)「目は口ほどに物を言う」(2) マスクの看護師達の目
顔つき、目つきは人を表す。人柄までがよくわかる。だから、濃い色調のサングラスをつけた相手に対しては心を開いて対峙できないから、そこには人間関係は成立しない。
最近の病院のスタッフ達、特に看護師達は逆である。かなりの頻度でサージカルマスクをしていて目だけ出している。職場によっては半数に近いスタッフがマスクをして仕事をしている。別に自ら咳をしていて、咳エチケッ6トのためにしているわけではなさそうである。
もともと感染防御のためにそれほど効果的なマスクではないからその目的ではないだろう。もしかしてマスクの効用を誤解して装着しているのかも知れない。何故だろうかと思う。ただ、スタッフの大多数がマスクをしている院内は結果的に何となく清潔っぽく見せる効能もあるようだ。一昔前はクレゾールの臭いが病院、診療所に漂っていて清潔なイメージを演出していた事を思い出す。
何れにせよ、マスクをした女性の目は他の部分がマスクで隠されているからか、私の目からは一層清楚で美しく見える。ただ、顔つき全体から瞬時に読みとれる情報が乏しくなるから、その代わりについ目を凝視してしまう傾向があるようで、若干看護師達を驚かしているようだ。
一日中マスクをつけているなら化粧もそれほど要らないだろう、口紅はどうしているのだろうか?・・などと外簾の勘ぐりもしたくなる。一方、普通に化粧しているのなら勿体なくないか?等々、くだらんことも考える。
目にはいろいろ表情がある。
「ぼんやりした目」をしたスタッフに出会うと心配になる。疲労困憊状態にあるのではないか?何か業務とは別な所に心配事や悩みでもあるのではないか?などと思ってしまう。一方、「輝きのある目、きらめく目」と表現したくなる目もあるが、何か良いことありそうだな、と何となくこちらも嬉しくなるが、観察していると単にド近眼だったりするからいろいろ面白い。
「細めた目」はスタッフ達から私に向けられることはない。この目の表情は私が小学から高校卒業まで一緒に暮らしたネコに見られたが、母親の優しさを漂わせたイメージの目であった。私はその表情でどんなにか救われ、勇気づけられたか、と今でも懐かしむ。
やはり、目には言葉以上に訴えるものが表現されていると実感する。
( 2008年01月21日)
(7)ブタインフルエンザ(14)マスクの効用(1)人混みを避けるのが一番
秋田は新型インフ陽性者がおらず未だ平穏である。
話題になり始め、我が国に感染者が出てからこの方、かなり時間が経ったから大丈夫かな?とも思うが、県内で第一例目が見つかった際の秋田県民の反応に若干の不安が残る。発熱外来へ患者が殺到した際の病院の診療体制の維持が大変である。
関西や関東地区にH1N1新型インフが流行している。と言っても関西でまだ300人規模、関東は数人程度で,我が国の検疫体制、休校等を含む感染拡大防止措置はかなりの効果を上げている、と言いうる。
今までのデータから見ると季節性インフよりは感染力が強いが、ウイルスの毒性は季節性インフ程度と考えられている。私は感染力は季節性インフよりも弱いのではないか、と思っている。
私がマスコミに登場する機会は例年よりもかなり多いが、その際、季節性でも新型インフであっても予防策として違いはなく、ポイントは「うがい」、「手洗い」、「マスク」、「人混みを避ける」と言っている。
新型インフ登場と共にマスクが売れ始め、今店頭から殆ど姿を消している。本当に買えないらしい。外来で「何とか手に入れられませんか?」と相談する患者が居る一方、もう「50枚ほど備えてます」という患者もいる。買えなかった方々はかなり不安を感じているようだ。私はマスクが無くとも心配不要と説明している。
その一方で、私もマスク着用を推奨しているが、感染防御に対して直接的効果をそれ程期待しているわけではない。「咳エチケット」として感染を広げない効果は大きいから是非着用を、と説明している。
マスクの面としてのフィルター効果はマスクの種類によって差が大きい。76nmのNaClを20分間吹き付ける装置でその機能を見ると、実験的捕集効率は市販の不織布製は30-80%、医療機関で用いられているサージカルマスクは40-50%と共に機能的には今ひとつである。更に、マスクとして装着した際に鼻や口の脇から出入りする呼気の量も勘案して考えると、感染防御は殆ど期待できない。だから、マスクをするか否かでなく、感染者が居るかもしれない人混みを避ける方が効果は大きい。
一方、防塵用のN95マスクは実験的捕集効率99%以上で満足すべき結果だったというが、このマスクは密着性が高いために息苦しさを感じるし、顔面に密着させるためにゴムバンドもきつい。だから、長時間つけていると辛い。H1N1疑い患者を診察する時は医師や看護師は患者の咳やくしゃみを直接浴びる可能性があるためにこのN95マスクを着ける。それでも感染防御としては完璧とは言えない。
(2009年05月23日)
(8)ブタインフルエンザ(15)マスクの効用(2)咳エチケットは分煙よりも重要
インフルエンザは咳やクシャミでウイルスがまき散らされ、それを吸引し、手に付着したウイルスを鼻や口に運ぶことで感染が伝わっていく。
カゼやインフルエンザの季節になると時折マスクのことが話題になるが、咳やクシャミをしている人のうちマスクをしている方は少ない。咳やくしゃみと共に飛び散る唾液、鼻汁等の体液の飛散をいろいろな工夫で狭めることは他人への配慮として常識的なことである。
マスクをしていないで状態で咳やくしゃみが突発的に出そうになったならば、口を手で覆うのも良い、タオルやハンカチで覆うは更に良い。無防備のまま自分の体液を撒き散らさないで欲しい。ゾッとするほど不潔な行為である。私は不快で身の毛がよだつ。その時、手には体液の微粒子が付く。そんな手で周囲のものに触って欲しくない。だから直ぐに手を洗うのも大事である。こんな事は改めて言わなくても良い様な、当たり前のことで、社会生活の常識の範囲である。家できちんと教えているのだろうか。
タバコの害に副流煙の害が強調されるが、体液を飛散させる行為はこれ以上の害がある。路上とかに唾や痰を吐き出す行為はかなりの罰金を科して良い、とさえ思っている。新型インフに関連したマスク論議の中で自らの体液を不用意に外にまき散らすべきでないと言う、社会人をしての常識、エチケットが醸成されていくことを望んでいる。
マスクの効用は主としてクシャミや咳の際の体液の飛散距離を狭くすることで、このことの効果は大きい。だから、咳やクシャミが頻回にでるなら「インフルエンザ」「新型インフルエンザ」の流行とかに関連無くマスクを着用すべきである。逆に自分が咳や痰がないなら着用する意味は小さい。また、人が少ない、広々とした空間では着ける意味は皆無だろう。
マスクの感染予防効果は通常のマスクではそれ程大きくないが、人混みに出る際等には不用意に飛沫をと飛ばす人が側にいないとは限らないから着用する方が良い。マスクには不用意に手指を口や鼻に近づけないと言う効果もある。それ以上に感染に対する心構えにも作用するだろう。咽喉頭の乾燥予防にも若干の効果はあるだろう。
我が国のマスク姿は欧米人からは奇異に映るらしい。これにはいろいろな意見があるようだが、私は上記の理由からマスク着用を是とする。
私は普段は病院内でも着けない。状況で分けている。
着けるのは自分が体調不良で咳や痰がある時、頻回に咳をする患者を診察する時である。今、発熱外来の当番医もつとめており先日2名の関西帰りの方を診察し、検査用サンプルを採取したが、この時はN95マスクを着用した。
(2009年05月25日)
(8)ものぐさ(1)マスクの効用 ものぐさの私に都合が良い小道具だ
新型インフの流行でマスク着用の人が増えた。かつてのようなガーゼ製のマスクは殆ど姿を消し医療機関で用いられてきた不織布のサージカルマスクが主流となった。一時は不足したが今は供給量も十分で安価になった。私もマスク着用を推奨しているし、秋以降は自分も外来に出るときは着用している。感染防御以外の効能があるからである。自己流で再生しているのでまだ5-6枚しか消費していない。
■ ウイルス、花粉,粉塵等の吸引防止
インフルエンザの感染予防に不織布製のマスクは完璧ではない。ウイルスを捕獲すると言う目的ではN95マスクが必要であるが、コスト面でも装着時の息苦しさから見ても非実用的である。それに、たとえ空中に浮遊しているウイルスを吸引したとしても感染が成立する確率は少ないから心配はない。
ただ咳やくしゃみに伴って排出される飛沫中には多数のウイルスが含まれるから問題であるが、この飛沫は大きいから不織布製マスクで捕獲できる確率は高い。だから、きちんと装着していると感染予防効果は大きい。これはウイルスより大きい花粉粒子についても同様であり花粉症対策にも効果的である。
■ 咳エチケット
咳やクシャミで飛び散る唾液、鼻汁等の飛沫の飛散をしないよう工夫することは他人への配慮として常識的なことである。この面でのマスクの効果は大きい。私もやってみたが、サージカルマスクをした状態ではどうやってもローソクの火を吹き消すことは出来なかった。飛沫飛散防止の効果は大きい。高齢者は耳が遠いから外来診療等では会話の際に顔を近付けなければならないこともある。時に患者の唾液を浴びることもある。この対策にも双方で着用すれば極めて有効である。
■ 無精ヒゲ隠し
私はとてもものぐさである。ヒゲを剃るのも嫌なのであるが無精ヒゲでとても貧相になるし、来客を迎える際や外の会議等では失礼なので仕方が無い。あわてて剃る。月曜朝は剃るが、その後何も予定がなければ一週間手を付けたくない。4月以降はひげそりの頻度は減るだろう。外来にはマスク着用で出るからヒゲを気にしなくて良い。時節柄、ものぐさ隠しマスクとは思われていない。
■ 表情隠し テューリップ隠し
マスクは上下に十分広げ、目の下から顎まで覆うので顔が半分以上隠れてしまう。と言うことは、表情も隠れている事にもなり、人と話をする際に表情と言葉の乖離を気づかれないようにする必要がなくなる。一方、相手をじっくりと観察する事も出来る。相手によっては私の鼻の下がグッと延びる事もあるだろうが、マスクのお陰で見えるはずがないから気にしなくて済む。この効用を私は「テューリップ隠し」と称している。
(2010年01月20日)
(9)表情を隠すためのマスク着用(1) まずい風潮だ
新型インフの流行でマスク着用の人が増えた。私も感染予防に、咳エチケットとしてマスク着用を推奨しているし、一昨年秋以降は外来・病棟回診に出るときは必ず着用している。
私自身、最近マスクを離すことが出き難くなってきている。
その理由の第一は感染防御・蔓延防止であることは論を待たない。加えて、最近は高齢の患者で耳が遠い方が多いために、診察時に会話する際にどうしても接近しなければならない。会話の途中でつばが飛んでくることも希ではないし、私が飛ばしているかもしれない。臭いも気になることがある。これも多分お互い様である。このようなことで人間関係の中でのエチケットの一つとして私はマスクを利用するようになった。
その他、私はひげを剃るのが嫌なので無精ヒゲ隠しには重宝している。喜怒哀楽の表情隠しの効能も否定は出きない。少なくとも、診療の場では医療者側も患者側もマスクをつけていることにそれほどの違和感はない。
ただ、最近気になる風潮が出始めているようである。数日前の朝日新聞の記述にあったのであるが、中学生、高校生中心にマスクで自分の素顔の一部を隠すことで安息が得られる、との考えから年中マスクを手放さない子たちが徐々に増えつつあるらしい。ある高校生は「完全に外すのは飯、風呂、寝る時だけ」という。素顔でないと「先生に怒られている時、マスクをしていると、聞き流したり反抗したり出来る」という効果も述べているようである。
顔を隠すことで安息を得る事が出来ると言う心理効果は確かにあると思う。私自身もそう感じることもある。
バイクに乗るときにフルフェイスのヘルメットを被るとホッとするものがある。個人の特定がし難くなることと、表情が読まれ難いと言うことによるのだが、だから乱暴な運転、非常識な行動を取るわけではない。特に、人との対話の時、例えバイクへの給油などの際でも私はヘルメットを外すし、書店などに立ち寄る場合も当然で、互いの顔を見ながら対話することは社会人としての最低限の礼儀である。
(2011年01月20日)
(10)まずい!! マスクが無精ヒゲで浮き上がる
10月22日の出身医局の同窓会に,私は礼を失しない様にヒゲを剃って出席したが、それ以降、大嫌いだったひげ剃りをすっぱりと止めた。今月26日に将軍野中学校で職員向けの講演が予定されているが、その時は無精ヒゲのままで許して戴こうと思い、担当の先生には既に連絡済みである。
意識的に伸ばしたわけではないが2ヶ月で2cmほど伸び、私は貧相でひどい顔つきになった。こんなひげ面は初体験で、どこまで,どの様に伸びるのか興味を持ってつねったり引っ張ったりして感触を楽しんでいる。50年以上前、飼い猫のヒゲをいじって遊んだが,自分のヒゲを介してその時のことを懐かしんで11いる。
私は2009年のインフルエンザのシーズンまでは病院内で日常的にマスクを着用する習慣はなかったが、それ以降は院内ではほぼ常にマスクを着用するようにした。
マスクの効用として多々挙げる事が出来る。
ウイルス等に対するフィルター効果も期待されている。材質にもよるがそれなりの効果があるのだが、実際に装着した際には鼻や口の脇から出入りする空気の流れが多くて感染防御目的では過度の期待はできない。特に私共が用いているサージカルマスクは一部の市販品よりも劣っているようだ。感染防御の目的では、私は着用しないよりは良いだろう,と言う程度と思っている。
一方、社会生活の中では咳やクシャミで飛び散る唾液、鼻汁等の飛散範囲をマスクで狭めることは他人への配慮として常識的なことだと思っている。これが咳エチケットと言われるものだが、この点から咳やクシャミがある方には着用を勧めている。
もう一つ、外来では私は高齢患者を多く診察しているが、会話する際にどうしても接近しなければならない。会話の途中でつばが飛んでくることも希ではなく、実に不快である。私が飛ばしているかもしれない。臭いも気になることがある。これも多分お互い様である。これの予防にフルフェイスのヘルメット、と言うわけにはいかない。で、このことから私はマスクを着用するようになった。
その他、無精ヒゲ隠し、喜怒哀楽の表情隠しの効能も否定は出きない。現に、前者に関してはかなり役立った。しかし、最近のヒゲはマスクの範囲を超えてボウボウだから隠すという意味は無くなった。しかし,業務の中で私のひげ面をすべて露出することは患者のためにも良くない。病院の品格が問われかねない。だから、かえって手放せなくなった。
で、今もマスクを着用し続けているのだが、徐々にヒゲでマスクが浮き上がってしまい、顔にピッタリと付けることが出来なくなった。真面目に感染防御のことを考えるとこれはまずい事であるが、上記の理由から私は実害はないだろう、と考えている。
ということで、マスクが浮き上がろうとかまわず、今しばらく無精ヒゲをこのまま延ばし放題にしておく積もりである。
(2011年12月24日)
(11)マスクの効能(1)私も癖になって手放せない
最近医療スタッフはほとんどがサージカルマスクをかけている。患者に直接コンタクトする事のない事務職員までかけている。しかも年間を通じてかけている。これはもう感染と関連無い一つの習慣になっている。何かメリットはあるのだろうか。化粧を減らすとか・・。病院の経費も相当な額になるが、感染予防の面から負担せざるを得ない。
かつてのマスクはメーカーによってフィルター効果はバラバラであったが最近のはかなり改良されている。しかし、いかに良いマスクであってもよほどしっかりと顔面にフィットさせなければ疾患の予防効果はない。面白いのは、町中で歩行中の人、ジョッギングの人もかけていることである。これなど殆ど意味がない。多くの方の着用の状態はゆるくて不完全で、マスクを通さない空気で呼吸している。顔面にマスクが付いてあるだけ、である。
マスクの効用は第一には咳を伴う呼吸器系感染症の時に飛沫を飛ばして病気を人にうつさないためで、基本的には「咳エチケット」と言われるがこの効果は結構大きい。一方、インフルエンザ等の感染症の予防にはあまり役に立たない。
そういう私も院内では必ず装着しているが、その目的はいろいろである。少なくとも「咳エチケット」の意味は私には殆どない。
■診察時に患者のつば等を浴びて不快な思いをするのを防げる。間接的に感染予防には若干役立っているだろう。耳の遠いお年寄りの診療時には必須である。
■かつて爪楊枝をかみながら診療して先輩医師に注意された事がある。爪楊枝は私には気を鎮める効果がある。マスクのおかげでまた悪い癖がでた。誰も気づかない。
■髪はボサボサ、ヒゲは伸び放題だから、そんな顔面を患者にさらさないで済む。
■表情も若干隠せる。
■冬場は暖かい、などなど・・・
私にとってはマスクの良い事ばかりである。私は3−4枚のマスクを毎日取り替えて使っている。殆ど補充の要はない。消毒を兼ねて完全に乾燥させている。汚れれば取り替えるが一枚のマスクは数ヶ月持つ。だから、病院に負担にもなっていないはずである。
サングラス、ノイズキャンセリングヘッドフォン、マスクは今の私にとっては手放せないアイテムであるが、これを一度に全部つけると変質者に見えるらしいから控えている。
(2013年12月24日)
(13)マスクの効能(2)マスク美人、目元美人 知らない人ほどきれいに見える
病院の新築を機会に診療システム変更があり事務員が何人か外来に配置となった。彼女らは必ずマスクをしているから顔全体はよくわからない。多分私にとって初対面の人たちである。
彼女らはいい目の表情をしている。総じて美人に見えるから不思議である。実際には目とか髪型、制服をまとったスタイルしか見えないから、本来は目元だけきれいと言うべきなのだろうが、全身的にとても素敵に見える、あるいは、きれいに感じるから不思議である。
この方々のマスクを外した表情は見た事はない。まさか、「マスクをとって顔見せて・・」とは言えない。「セクハラ・・」、「エロジジイ・・」とか言われそうである。本当はいつか「エロジジイ・・」と言われてみたいのだがちょっと恐い。彼女らの顔はいつの日か見れるだろう、と楽しみにしている。
この目元美人効果はマスクの効能の大きな一つである。
ただ、このマスク美人効果は一部の人にしか現れない。もともと顔を知っているスタッフの方々には当てはまらない。これらの方ではマスクで顔を半分隠しても何ら変わらない。
マスク効果は乏しい情報だから成り立つ、想像・妄想による美女像である。だから、女性は出来るだけすべてをさらけ出さないで見るものの妄想に任せている方が良いだろう。そのために身体にまとう衣装がある。私は素肌をさらす様な、スタイルをそのまま反映する様なファッションは一部の方々にしか似合わない、と思っている。想像・妄想も沸かない。その点、和服の効果は絶大である。
イスラム教徒の女性はヴェール状の衣服を着用する。そのうちブルカは全身を完全に覆い、ニカブは目の部分だけは開いている。預言者ムハンマドが女性の美しさを隠すように求めたことから始まった習慣と言う。映画とかドキュメンタリーでこれらの服装をまとった女性を見る事が出来るが、目元がきれいは女性が多く、総じて美人に思えるから不思議である。ムハンマドはイスラム圏の男性どもに夢を与えたのかもしれない。?? なお、これは私の個人的な感覚である。
(2013年12月25日)