小池 一夫, 小島 剛夕「首斬り朝」:秋田漫画文庫 1978
ここ1-2ヶ月,就寝前に5-10分ほど小池一夫&小島剛夕の漫画「首斬り朝」を読んでいる.20〜30年前の作品らしいが連載中は目にしたことが無かった.
山田家は将軍の刀の切味を試すことを家業とし、試し切 りに死体が必要であったため死刑人の斬首も請け負ったとされる。明治14年に斬首刑も廃止され、山田家は7代目で廃役したという。この漫画は三代目山田朝右衛門吉継が主人公。
私は二つの点で興味を持った.人間の最後の場面,そこに描かれた数多くの罪人の人間模様,当時の社会情勢が表情豊かに描かれている点で、人の死に際に立ち会うことが多い私の仕事とどうしても重ねてしまう。それと日本刀はそれほど切れるのだろうか,という疑問である.後者に関しては,中2の頃,深夜我が家の日本刀を密 かに持ち出し、藁束や1cmほどの径の立木に斬りつけてみたが,うまく切れなかっただけでなく刃こぼれを作った経験があったからである.
(2002/4/7)
ブラックジャックによろしく (1) 講談社 モーニングKC
佐藤 秀峰 (著), 長屋 憲価格:¥533
主人公は超一流の私立医科大学卒業して研修医となった青年医師 斎藤英二郎。給料は月額三万八千円! 医療の現場に放り出されて「医者っていったい何なんだ??」と疑問を持つ視点で貫かれているのが面白い。私が知っている限りにおいて研修医を主人公として医療界の告発的構成を持った本(漫画)は初めてで相当にインパクトのある漫画である。
恐らく、ある私大で研修医の過労死問題、その判決があったことも執筆の切っ掛けになっていると思われるし、また、医師の卒後臨床研修必修化が義務化されるこの時期に良い話題を提供するであろう。大体給料が38000円なんて世界は今どき医療界以外どこにも無いから信じてもらえないがこれは事実である。
まず、絵が巧い。目の表情が活き活きしている。先輩医師との対話の中での激しい心の葛藤が良い。保険診療の話、医局制度の問題点も雄弁に語られる。その中でも指導医クラスの中堅外科医師の描かれ方が医療に真摯に立ち向かう情熱を感じさせる。
漫画なので全体的に誇張があるが、記載内容には大きな間違いはない。監修者の医療情報研究所の長屋 憲氏が細部までチェックしているのだろう。
医療の世界、医師の世界のことは一般の方々には殆どまともには伝わっていないが、このような本を通じて読者が少しでも医療の問題点を感じてくれればいいと思う。まだ一巻目しか読んでないが私も全巻購入して読みたいと思う。
(2003年3月8日)