書評 -文芸書&一般新書 |
3分以内に話はまとめなさい―できる人と思われるために
高井 伸夫 (著) かんき出版
価格: ¥1,300
病院の近くの行きつけの書店、と言うより老夫婦二人で細々と経営している本屋で、月払いの会計をしている間にたまたま見た背表紙のタイトルが気に入って、半ば衝動的に購入した。各種の会合で司会をする機会は多くなったが、発言者の話が長く、何時途切れるのか、何を言いたいのかつかめなくて閉口することも希でない。私自身は出来る限り結論を先に提示して話すようにしており、通常の会合での話が長いとはあまり感じていないが、発言の機会が多いだけに、出来ることであれば更に短くすべきだろう。
著者は、話を短くする効用を得々と説く。なるほどと思う。ただし、本書は話を短くすることばかりに終始しているわけではない。数値化した表現を交える方法など、印象的な話をするうえで身につけておきたい技法にも言及している。また、講演などの長い時間が与えられている場であっても、「1つの話を3分以内にまとめる」という姿勢が肝要とも説いている。時折有名人のスピーチが引用されているが、カルロス・ゴーン社長の引用部分は参考になった。
この本は主にスピーチの技法を説いているが、著者の意向が構成にも生きており、小項目ごとに程良く簡潔にまとまっている。この考え方は小文を書く際にも大いに参考になると思う。
結局、著者が最も言いたかったことは最終章の「自分を磨けば言葉が生きる」と言うことに集約されている。
この様な、常識的で分かり切った内容のことを解りやすい文体で延々と説くことは簡単なことではないと思うが、著者は上手くやりきっている。別著に「朝10時までに仕事を片づける」があるが、私は朝8時半までにルーチン業務は終了させることにしているが、彼はどの様に論旨を展開しているのか、興味を覚えた。これも是非読んでみたくなった。