(3)重症者はまず初期対応、専門医に連絡、それから検査
重症患者が搬送された時、まず基本的に呼吸・循環の状況などから重症度を把握、緊急にやるべき対応をして状況の安定を図る。その間に何処の領域の疾患かを考え、意味で何らしいかを予測する。その次は専門医が対応すれば救命出来そうな、あるいは軽快させられそうな病状か否かを判断、専門医への連絡を考える。
専門医への連絡の時点で緊急検査の結果など無くても構わない。先日も、「脳外科医に連絡したか??」と問うたら、「まだ緊急検査が来てません、CTもまだ・・・」との答え。これでは駄目だ。くも膜下出血の可能性大、しかも緊急度が高いと判断したらまず連絡。
連絡の段階でデータなど聞かれることもあるだろうが、それは恥じることはない。怠慢でもなんでもない、時間を大事にしていると言う最善の判断で連絡しているのだから。夜間休日などラッシュとかで専門医の到着までに若干の時間があるからその間に大抵揃う。先日の脳外科医は連絡してから1時間もたってから到着したが、その間にCTを撮り診断を進め、最小限やるべき初期治療もしておいた。
データにこだわるオーベンは確かにいる。文句を言われてガックリ来ることもある。だが、その場合はそれなりの判断力しかないと考えよう。緊急時にはデータなんて二の次なのだ。緊急時は時間が全てのこともあるのだ。データ重視は救急医療に置いては本末転倒なのだ。要するについ先ほどまで元気だった人が多いからデータの変化など経験豊かな臨床医なら予想が出来る。どんなにデータが悪くても患者が比較的落ち着いていれば、例えば血色素が3g/dl程度でも焦ることはない。かなりの長期の経過の貧血だから。8-9g/dlでも時間との闘いの緊急対応をしなければならない貧血もある。
能あるオーベンは患者の状態を一目見て全てを理解し察することが出来る。
救急室では時間は重要。貴重な時間を失う様な逡巡はして欲しくないし、させない環境にしたいものだ。