中通看護学院同窓会創立30周年会員名簿発行を祝して

「命」と「いのち」

中通総合病院 院長 福田光之


 中通看護学院は昭和45年の創設以来、1.500名近くの看護師を社会に送り出しております。学院同窓会は昭和55年創立され、設立30周年の節目に同窓会会員名簿を発行することになったとのことで、ご同慶の至りと心からお祝いを申し上げます。

 近年、医療も看護も進歩し、その内容は一層学術的になり、看護技術も向上して大きく様変わりしつつあります。しかし、看護の質が如何に変わろうとも病を抱え、不安をかかえる患者の心理や姿は変わるものではありません。

 医療における医師の業務、技術、医療観は「命」を扱うがためにとても重要です。しかし、一連の医療の中において医師の業務範囲は決して広くはありません。従って、患者の立場に立つ全人的医療を提供する上で重要なのは各職種員からなるチーム医療です。その中における看護の重要性は言うまでもありません。

 表題の「命」はすなわち生命そのものを、「いのち」は患者の人生の質を指します。良い看護を提供された患者は「いのち」の回復を通じて闘病意欲も増し、順調に改善していきます。看護の定義はさまざまあるでしょうが、私は「看護とは、患者のいのち守り、人として生かす職業であり、その技術である」、と定義しています。
 私ども明和会は設立当初から「患者の立場に立つ医療」を追求し展開して来ました。法人各院所の看護師の親身でひたむきな仕事振り、看護観、看護技術は患者から高く評価されております。そのルーツは法人の理念にあり、学院の教育方針にあり、実習病院にあり、若手看護師の育成システムにあり、と思っております。

 いかに時代が変わり医療や看護が様変わりしても、その根幹を流れる医療観、看護観は些かも変える必要はありません。
 他の医療機関に働く看護師でも、中通高等看護学院の出身です、と紹介されればそれだけで大事な何かを共有している気がします。この節目に同窓会会員名簿を発行し、培った誇りを共有しあう意義は大きいと考えます。
                  


                                                       2009年9月 吉日
               

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