2006年度第一回法人管理職会議、懇親会挨拶(2006.6.03) |
本日は第一回の明和会管理職会議にご出席いただき、有り難う御座いました。
挨拶一言と乾杯の音頭をとのことですので一言ご挨拶を申し上げます。
さて、私共の法人は県内で最も大きい医療法人であり、国より認可を受けている数少ない特定医療法人の一つであり、単なる私的医療機関ではないと考えております。公的病院に準じた扱いをされてしかるべき病院だと思っております。先日の評議員会では、ある評議員の方から、住民から最も信頼を受けている医療機関である、との高い評価をいただきました。
しかし、外から病院や法人がどう見なされているのか、どういう扱いを受けているか、今日はそのことについて若干のお話をさせていただきます。
私は性格的にそう悲観的ではありませんし、物事にそれほど不満を感じる方ではありません。にもかかわらず、私が院長になってから不快に思う3つの出来事がありました。
● 一つは、県の医学生奨学金の件ですが、これは県内で9年間勤務した場合には支払い免除になると言う制度ですが、この勤務対象医療機関として中通総合病院は含まれておりません。このことは県の奨学生は初期研修に私どもの病院を選択しないと言うことを示しており、県による医療機関差別化であり、決して無視することは出来ません。
● 二つめは、新しく医療法人の病院長になった場合、院長は特別徴収金を納めなければならないと言う条文が秋田市医師会に出来ていて、私に20万円請求が来る事が分かりました。市内のほかの病院、公的病院の院長は対象外でした。
● 第三には、法人では県内各界で活躍している方々を評議員にお願いしておりますが、今回、市の医師会において私的医療法人の評議員として市の医師会長が参加するのは如何なものか、との意見が出たとのことです。
このうち、第二の件は理不尽との事とクレームを付け、結果的に定款を改定して貰い、解決しました。しかし、それを進める段階では中通総合病院は大きな規模の開業医と見なすべき、との発言も聞かれました。第三番目の件は福島会長、彼は南中脇の福島医院の院長ですが、がその意義を認め、お引き受けいただくことになりました。
最初の件に関しては、私は何度か県の方にクレームを付けていますが未だ変化は見られません。公務員の頭や思慮の範囲には私的医療機関の事など無きに等しいようなものです。しかし、現実に奨学生が卒業するのにあと6年間ありますから、私は6年間クレームを付け続け、良い結果を勝ち取ろう。と思っております。
この様に、私どもが内部で感じていることと、外の人々が感じていることとの間には大きな乖離があります。そして、行政とかからの扱いを見る限り、公的医療機関に比較すると弱い立場にあることは認識しておく必要があります。
ここで私は野村克也氏の言葉を思い出します。「強者は勝者ではない、弱者は敗北者ではない、しかし、弱者は勝たねばならぬ」というものです。この短い語句にはいろいろな意味が含まれていると思いますが、私どもはこの視点で法人を、病院を運営していかねばなりません。
さて、平成17年度の法人の決算は額面上黒字でありましたが、実質的には若干の赤字でありました。このことは各職員が一人一人厳しく受け取らなければなりません。
この4月からは小泉首相の一言によって診療報酬が3.16%も引き下げられました。この下げ幅は歴史上最大であります、しかも、社会問題になっております小児科、産婦人科、救急医療関係には手厚い配慮をせよと求められたために、高齢者福祉・医療の分野はより大幅に削られております。結果的にわが国の医療機関、特に中小の私的医療機関は運営が困難な状況になると予想され、パニック状態にあります。
創立以来、高齢者の医療・福祉を大切にして来た当法人にとっては、従来以上に大きな打撃となることが予想されております。新年度は昨年度までと様相がすっかり変わります。かつては大曲中通病院の、昨年度までは中通リハビリテーション病院の収入によって何とか収支バランスがとれていたのですが、今年からはそのような期待は出来ません。中通総合病院は今年は何としてでも経済的に自立していかなければなりません。
まず、法人内の各施設において新しい発想を導入しつつ、この難関を乗り切っていくよう体制を整備して行く必要があります。
中通総合病院でもいろいろな対策を進めておりますが、究極的には、全職員のコスト意識の高揚が求められます。
その目的は短期的には今年の、この正念場を乗り切ることです。具体的には、1000人外来の堅持、病床利用率94%、入院単価4万円の達成です。過去2ヶ月の実績を見る限り不可能な数値ではありません。ここを乗り切ることによって私どもの前には新しい大きな展望が開いていくことになります。その目標は新病院の建築であります。私は「新築無くして存続無し」と考えています。
厳しい一年になろうかと予想されますが、安全で良質な医療を提供し、職員の生活を守るために何としてでもこの難関を乗り切らなければならないと思って居ります。
医療機関の運営は何と言っても人が要です。どうか管理職の皆様にはこの一年間健康にも細心の注意をされますよう願っております。以上、ご挨拶とさせていただきます。